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silent3話の亡霊

3話の翌日、金曜日の朝。
目を開けたら視界が狭くて目がひどく腫れていることに気付く
そうだった、昨日silent観て大泣きに泣いて……そのまま疲れて寝たんだったと思いながら開かない目を無理やり開けて、会社に行く準備をする


『無理なことってあるんだよ。
無理してやったことって、無理なことなんだよ。
無理すると、ホントに全部無理になっちゃうんだよ』


生きていて無理をしないといけないことなんて本当はとてもとても少ないはずなのに
たくさんの人の色んな無理によって毎日この世の中は回っている

紬にこんな事を言えてしまう湊斗は、無理をすると全部が無理になること、いつどこで知ったんだろう

『わたし、湊斗のこと大好きなんだよね』

紬がカフェで想にはっきりともう想のことは好きじゃないと言ったシーンは、今思い出しても胸が痛くなる

手話は手を動かす間、相手に伝わるまで少し時間があるのに
声で伝える言葉は相手に伝わるまでが一瞬で、紬が語る湊斗への気持ちがアプリ上に文字となって次から次へと並んでいくのを観るのはとても残酷だった

『今はもう、佐倉くんこと、高校の同級生としか思ってない
今好きなのは湊斗
佐倉くんは違う。好きじゃない』


言葉と気持ちは違うの
『こんなのデートじゃないんだからね』って言うのは
デートでしょ
『絶対怒らないから本当のこと言って』って言われて
本当のこと言ったらめっちゃ怒られるでしょ
それが行間。

『連絡しますね』っていうのは『連絡しないでね』
っていう意味でしょ
カルテットより


言葉と気持ちは違う。
今はもう好きじゃないと言った後に紬が泣いていたのは、どういう気持ちだったんだろう



『なんで俺に言ってくれなかったの』

私には、男の友情はよく分からないけど

想のことが大切で、紬のことも好きで、そんな2人をずっとそばで見てきた湊斗には想が自分に何も言わずにいなくなったやるせなさと、好きな人が傷ついてる事実と、2人が別れたことに自分が少しだけ嬉しい気持ちを抱いているその全てが1人で抱えきれるものではなくて、
いっそのこと想を悪者にしておく方が楽だったという気持ちだけはとてもよくわかる

silentに出てくる登場人物はみんな優しくて、脆くて、不器用で、話が進むにつれてボタンが1つずつかけ違っていってしまう様がとてもリアルで苦しい

湊斗はきっと紬と付き合いながらもその後ろに見える想を見ていたんだろうし
8年分進んでいるのは時間だけで、想も紬も湊斗も8年前から1歩も動けていないようにさえ感じた


紬と付き合い始めてからの3年間、湊斗はずっと無理をしてきたんじゃないだろうか


「無理をすると、全部無理になる」

これが伏線じゃないといいなと願ってなんとかまた私は
いつもの世界を、少しだけ無理をして生きていく



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