ぜろ

なんだか上手く言えないことを上手く言うための練習

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最近の記事

イケメンの用法用量を守れなかった日の話

最後に男の人とのデートの予定があったのは、いつだったっけ。 彼氏と手を繋いで歩くなんてことも、 もう大昔すぎて前世の記憶くらい思い出せないけど でもそれと引き換えに、私にとって 毎月せっせと通う美容室やネイルサロンの立ち位置が "好きな人の好みに少しでも近づくために行く武器屋"じゃなくて、"自分の好きな自分になるためにパワーアップする宿屋"になったのは、恋愛最前線から退いて良かったことの1つとして心に留めておきたい。 1月の終わり頃から気付けば忙しくて残業が増え、3月に入

    • 絶望は沼の底へ沈めて

      光陰ロケットの如し 2023年がもう終わる。 これは毎年感じていることだけど 「1年早すぎ」問題はやっぱり今年も目の前に横たわっている。 その問題は師走を生きるたくさんの大人の心を無駄に焦らせ ドラッグストアのサッカー台に置いてある ユーキャンの資料請求のチラシに 思わず手を伸ばしたりさせる。 大丈夫、あなたは今年もめちゃくちゃ頑張った。 今の世の中を生きていて頑張ってない大人なんかいないんだから。 「来年こそなんか勉強しないとなぁ」なんて血迷わずに ちょっといいお菓子と

      • あの日の夢が醒めても

        私は、人生で何度目かの絶望を感じていた。 でも先に言っておくと、そこまで深刻な話では無い。 今から書くことは、そこら辺にいる普通のオタクがひょんなことからオタクをやめた、ただそれだけのお話。 私の前回の絶望は確か、次のタイミングで選出されるよと上司から言われていた会社の狙っていたポジションに、 独身で自分より歳下の男性が選ばれたことがわかった時だった。 もしかしたら本当に仕事の出来だけで選考され 私が単純に彼より能力が低かった、それだけのことだったかもしれない。 だけど

        • それぞれの答え

          仕事を終えてTwitterを開いたら、大好きな芸人さんが解散していた。 あと2週間後には結成15周年の全国ツアーも始まっていたはずで、もちろんそのチケットは取っていたし最初は冗談かと思った。たまに芸人さんがやる、ちょっとした悪ふざけが過ぎる類の。 あまりにも『そうはならんやろ』なタイミング過ぎて、 ご本人たちからのお知らせを読んでも なんでいきなりこんな冗談を?としか思えなかった。 だけどそういう冗談をやるところから対極にいるのが 私の大好きなお笑いをやる2人だった。

        イケメンの用法用量を守れなかった日の話

          ひらり きらり 継ぐ夢を誇れ

          気付けばもう、滝沢歌舞伎の大千穐楽だ。 SnowManのファンにとって、"滝沢歌舞伎"はもはや春の季語。 そんな滝沢歌舞伎の最後の桜が、新橋演舞場で華麗に舞い踊ろうとしている。 私はデビュー後のファンなので、2006年の滝沢演舞城の初演から今までの歴史まではあくまで情報の文字上でしか知らないことが多い。 そして私みたいなファンもいまや多いであろうSnowManだけど、やはり滝沢歌舞伎という舞台には特別な想いを感じる。 SnowManという名前を授けられた舞台、今とは違う

          ひらり きらり 継ぐ夢を誇れ

          人生近道なんて、きっとないから

          この世は何事もコツを知っている人が強い、と思う。 例えばゆで卵の殻を剥く時は水を流しながらやると剥きやすいとか テストでわからない問題に出くわした時は一旦飛ばしてわかる問題から解いた方がいいとか 新しい職場では仕事を覚えるより先に誰がこの場を仕切っているボスなのか、 誰を敵に回すと今後が厄介かを早めに見極めて、その人との付き合い方をまず会得しておくとか 誰かが教えてくれる訳ではなく 生きていく中で自然と学んでいくものだけれど どれだけこういうコツの存在に気付けるか、そし

          人生近道なんて、きっとないから

          オタクは今世のために徳を積む

          今期、日曜22時30分から放送されているブラッシュアップライフというドラマが、はちゃめちゃに面白い。 33歳の安藤サクラさん演じる主人公 近藤麻美(あーちん)が不慮の事故で亡くなり、来世は『オオアリクイ』になると言われたことでまた人間になるべく記憶があるまま人生をやり直して、徳を積むお話。 脚本がバカリズムさんでこの手のお話をバカリさんが書いたら観なくても面白いと言い切れるほど、バカリさんの作るお話には絶大な信頼を置いている。 このお話のメインテーマとなる『徳を積む』とい

          オタクは今世のために徳を積む

          【映画月の満ち欠け 感想】母と見上げた月を思い出した

          人間にはいつか必ず死が訪れる。 肉体が生きる活動を全て止めた瞬間、もうその肉体が蘇ることはない、 少なくとも現代の医学では。 私は両親を若い頃に亡くしていて、有難いことにどちらの最期にも立ち会うことはできたのだけど その悲しみの消化の仕方は1度目も2度目もまるで分からなかった。 その後人生で色んな岐路に立たされる度、もし今両親がここにいてくれたら、と思ったことは数え切れない。 でもどれだけ願っても目の前に現れることはないし、もう二度と声を聞くことすら叶わない。 「死」に

          【映画月の満ち欠け 感想】母と見上げた月を思い出した

          推しの誕生日を祝いたくて1400キロ移動した話 ③

          2022年11月28日 生誕祭翌日 阿部亮平さんが航空管制官役を演じた2022年のうちにJALに乗りたい、できることなら同じ空気を吸い込みたい という欲望にまみれて始まった2泊3日の旅も、あっという間に帰る日になってしまった。 毎日ぎりぎりまで遊び尽くし、ホテルに帰ってきてもべべちゃんとのオタクトークが止まらないので 私のここ3日間の睡眠時間は全て合わせても10時間程度。 そろそろ命とお肌の危機を感じてきたが仕方ない。 阿部亮平生誕祭 in 福岡を1ミリも無駄にしたく

          推しの誕生日を祝いたくて1400キロ移動した話 ③

          推しの誕生日を祝いたくて1400キロ移動した話 ②

          とうとう迎えた阿部亮平さん生誕祭 in 福岡、本番の日。 睡眠時間は2日連続で4時間程度だったけれどアドレナリンが出まくっているせいかすっきり目が覚めた。 阿部亮平さんが29歳を迎えたこの素晴らしき日に、のんびりホテルのベッドでごろごろしている訳にはいかない。 張り切って向かったのは、お友達のべべちゃんが行きたかったダコメッカというパン屋さん。 15分弱歩いて到着したはいいものの、もうすでに行列で翌日出直すことにした。 阿部亮平さんが29歳を迎えたこの素晴らしき日に、パ

          推しの誕生日を祝いたくて1400キロ移動した話 ②

          推しの誕生日を祝いたくて1400キロ移動した話

          2022年8月8日、私は推しのツアー日程とにらめっこしていた 今年の阿部さんの誕生日は福岡公演だ…… しかも今年は阿部さんがずっと念願だった初ドラマレギュラー出演を叶えて、そのNICE FLIGHT!はJALの全面協力だった……今年中にJALに乗りたい…… よし、福岡に飛ぼう。はい予約完了。 阿部亮平さんが29歳という素晴らしき素数のお誕生日を迎えるときに福岡にいるのなら、 同じ福岡の酸素(とその他多少の成分)を体内に取り込みたい、それどころか私が吸う空気は巡り巡って阿

          推しの誕生日を祝いたくて1400キロ移動した話

          silent 9話の亡霊

          『なんかあったら言ってね』 いまではもうすっかり昔の話だけど 10代前半で親を亡くした時にたくさんの人にそう言われた そういう時に言う「なんかあったら言ってね」は 仕事を退勤する時の「お疲れ様でした」と同じ種類のものだと思っていた もしかしたら当時子どもだった私にそう声を掛けてくれた人は心からそう言ってくれていたかもしれない だけど「何か」があってもどう言っていいのか 一体誰が、何をしてくれるんだろうと思っていた 『誰がどうやって支えになってくれるの?』 だからこの

          silent 9話の亡霊

          silent8話の亡霊

          孤独【こどく】-ひとりぼっちであること 辞書によると、孤独とはひとりぼっちであることらしい だけど、ひとりじゃなくても感じる孤独がこの世にはある 誰かといる時に感じる「ひとり」の方が「ひとりぼっち」より私は寂しかったし、私がもし辞書を作るなら孤独のページにはこう書きたい 『孤独【こどく】-自分の気持ちが相手に届かないこと』 8話の亡霊というタイトルをつけながら7話の話をしてしまうのだけど 7話の冒頭、振り返った奈々の目に紬を追いかける想が映るシーンはなぜだか私には心当

          silent8話の亡霊

          silent6話の亡霊

          まだ学生の頃、スーパーの店内で抱っこしてと泣き叫ぶ小さい子を連れたお母さんが子どもの方を見向きもせず野菜を選んでいるのを見ると、なんで抱っこしてあげないのだろうと思っていた そういう時には子どもの相手をするより少しの間心を無にしてとにかく買い物を終えて外に出た方がよっぽどお互いにとって良い時があるというのを知ったのは、自分が母親になってからだった 日常を生きていると、常に自分のいるこちら側がこの世の正解であり正義だと思ってしまうけれど 私の心にあった「どうして抱っこしてあ

          silent6話の亡霊

          silent5話の亡霊

          好きな人と別れた後に初めて迎える朝、という種類の絶望がこの世にはある 好きだった人と別れた夜 ほとんど寝ていない朝方に目を開けた時のあの絶望感は独特なもので、身体に染み付いた癖と少しの願いを込めてLINEの通知が来ていないか起きてすぐスマホの画面を見るけれど まだ早朝の時刻を伝える表示だけが残酷に目に入る、そんな朝 大人になるにはもしかしたら、そんな朝をいくつか越えなければいけないのかもしれない 『このまま紬と一緒にいたら無理になる』 3話で湊斗が言っていた「無理する

          silent5話の亡霊

          silent3話の亡霊

          3話の翌日、金曜日の朝。 目を開けたら視界が狭くて目がひどく腫れていることに気付く そうだった、昨日silent観て大泣きに泣いて……そのまま疲れて寝たんだったと思いながら開かない目を無理やり開けて、会社に行く準備をする 『無理なことってあるんだよ。 無理してやったことって、無理なことなんだよ。 無理すると、ホントに全部無理になっちゃうんだよ』 生きていて無理をしないといけないことなんて本当はとてもとても少ないはずなのに たくさんの人の色んな無理によって毎日この世の中は回

          silent3話の亡霊