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【着こなし】トレンチコートの着こなしを一挙大公開!春はどんなスタイルを楽しむ??

最初に登場したのは第一次世界大戦。
イギリス軍で採用されたのをキッカケに、その完璧とも言える機能的なディティールが評価され、アメリカ軍を始め様々な軍で採用される事になりました。

今ではファッションアイテムとして老若男女関係なく、どんな方でも一回は着たこと(試着含む)があるアイテムだと思います。

しかし、その誰でも来たことがあるという事実故に、あんまり着たくない・・・。着こなしに迷う。という方もいるのではないでしょうか。

今回は、そういう価値観を一旦フラットにして、今一度『トレンチコート』ってどういうアイテム?というのを見直し、着こなしについて深掘りしていきたいと思います。


トレンチコートとは。

トレンチコートとは、第一次世界大戦でイギリス軍で正式採用された、軍用コートが最初です。

その目的は、塹壕(トレンチ)で着ること。

1850年以前の戦争は、いわゆる殺傷戦で、主に剣や弓矢でドンパチぶつかり合う戦闘がメインでした。それが、1800年代末期になると、銃などの機械式武器が開発され、戦闘の距離を引き延ばしました。

その結果、塹壕(トレンチ)という地面を大きく掘った穴の中で籠城しながら戦う、籠城&消耗戦に切り替わったのです。

すると、どうなるのか。
塹壕の中はとても寒く、凍傷の危険性があったり、その裂傷から感染症が広がったり、イギリス軍の悩みの種は「どうやって効率的に戦うか」から、「どうやって感染症などの無益な死から脱却するか」に変わりました。

つまり、トレンチコートは

  • 寒さを凌ぐ

  • 水溜りから濡れて凍傷になるのを防ぐ

  • 釘や木の破片から体を守る

この3点の問題を解決するために、開発されたのです。


第1次世界大戦で登場した、トレンチコート初期型

こちらが、第1次世界大戦(1915年)に登場した、トレンチコートの初期型と言われているイラストです。

ポケットが、斜めに切られたストームポケットではなく、マチ付きのパッチ&フラップポケット型。更に、肩の部分に補強ディティールであるガンパッチがないのが特徴と言えます。

この初期型の試作品はすぐに軍服として導入され、やがて『バーバリー社』&『アクアスキュータム社』によって、いわゆる完成形が発表されます

トレンチコート完成へ

アクアスキュータム社が公開した文献より


このような形に変更されています。
補足をすると、トレンチコートの代名詞的な生地である『コットンギャバジン』ですが、初期型は『コットンドリル』という生地を使っているのがわかります。
これは、より撥水性を高めるために、バーバリー社が開発したギャバジンという生地を採用しています。

また、襟もやや大きめに改良されており、これは襟を立ててより風を防げるようにするためです。

この形は、全く姿を変えずにアメリカ軍にも採用されており、ディティールを変えずに採用したということは、完成されていて、これ以上変える余地がなかったという裏付けにもなります。


トレンチコートの着こなしを考える

大変お待たせしました。
今までは下準備で、ここからが今回のメインになります。

今回、トレンチコートの記事を一本上げようと思ったのは、その完成されすぎたディティール故に、見た目がてんこ盛りになっており、着こなすのが難しいと感じたからです。

より理解を深めて貰うために、一度トレンチコートを定義し直しましたが、やはりこれだけのインパクトがあるコートを着るというのは、現代的な感性からすると難しいと言わざるを得ません。

しかし、あまりにもディティールを削りすぎると、それはトレンチコートと言えない代物になってしまいます。

そこで、私が提案するオススメのトレンチコートのディティールと、その着こなしについて解説していきたいと思います。


オススメのディティール

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