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「そ」の歌 - 原爆の図 丸木美術館 -


そうだ おもしろいはなしをしましょう
その人に はじめて会ったときのおはなし

常識をこわすために必要なこととは なにか
価値観の変革が起こるときの 必要条件とは

そんなことを たまに考えます

それは  奇を衒うことではなく
そうこを  ぶっこわすことでもない
それは 大切なものを大切にし続けること

そう私にささやいたのは 丸木美術館でした


そもそもミュージアムというのは 建築物です
そう考えると 時の流れについていくのは
それはそれは むつかしい
そらそうだよね 展示のなかみは変えられても
それ自身を変えるって とても大変なんだから

そんな簡単に  いわないでちょうだい
それだけの 時間 お金 人 使う価値はあるのか

そのときは  最新技術にとびついて
そーらーぱねるなんか  付けてみちゃって
そんなの10年もたてば  忘れられてしまう
それって なんだか みっともない


そんなことないよ


そらみみ、? え、、?


そんなことないよ


(みっともないだって?)
(ゆづちゃん なにいってるの?)
(ぼくね てあて されてきたんだよ)
(ぼくもだよ)
(そーらーぱねる かっこいいでしょ?)
(愛の証)
(ほら この掲示板も)
(このカンパ箱も)
(ほら みて 特別にみせてあげるからね)


てあて

そっと口にすると なんてあたたかい響

改築 修復 建て直し

そんな言葉たちがコンクリートに見えてきた

てあて テアテ 手当

その人たちは
それによって  生き続けている

その建物を 大切に思った人が
その人を 大切に思った人が
それとなく てあて したのでしょう

そうか だからこんなにも嬉しそうなのか
そうか だからこんなにも誇らしげなのか

てあて テアテ 手当
てあて テアテ 手当

そこにたたずみ すべての感覚を研ぎ澄ませ
そこが守る記憶を 痛みを 全身に受ける
そのとき 私はひとりじゃない
そこには 私が あなたが あの人がいる

その場所 を この場所 にするために
その人 を この人 にするために
そのために私は 会いにゆく


帰り際 思わず言ってしまいました
往復4時間 2000円もかかったのにね

「また来ます」

少し驚いて にこっとほほえんでくれました


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