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〈知らない場〉に行ってみたレポート2023

2023年、ひそかに立てた目標があった。
それは、月に1回〈知らない場〉に行くこと。

わたしの場合、大学生活が後半に差しかかる頃には、自分の興味がとてもはっきり見えてきていた。災禍やその記憶を受け継ぐことについて、自分の人生を捧げて考えたいと思うようになっていた。

でも同時に、生きる中で触れる様々なものを「自分に関係がある/関係がない」と無意識に区別するようになっていた。このことに気づいて、違和感と危機感を覚えた。

全然関係ないと思っていたものどうしがつながって、発明が生まれることってあると思うんだよね。
その瞬間が、とても面白いと思うの。

だから「関心がない」という一言で切り捨てたくない。
でも卒業論文や進路決定が忙しくなれば、ますます視野が狭くなってしまいそう。
どうしよう。

そこで自分に課したのが、月に1回〈知らない場〉に行くというミッションである。

〈知らない場〉は、物理的な距離の遠さを問題としない。普段足を踏み入れないようなコミュニティや自分が知らない話題で盛り上がっている場所であれば、なんでも構わない。ただし、オンラインの〈場〉は含めない。
とにかく、自分が〈よそ者〉であれるようなところに、毎月足を運んでみることにした。

とはいえ、まさか本当に年末まで続けられるとは思わなかった。最初のルール設定が甘々だったのが功を奏した気がする。
無事に12か月にわたるミッションを達成できたので、ここに「〈知らない場〉に行ってみたレポート」を残したいと思う。

できれば今年中に書き終わりたいという願いのもと、雑多な文章になってしまうことをお許しいただきたい。まあ、〈知らない場〉に行ってみるという取り組み自体が雑多なので、もはやどうしようもない。

せっかくなので、「noteのマガジン作ってみたいな~」という自分の願いも叶えてあげることにしよう。
たぶんマガジンって、こんなに一気に公開するものじゃない気がする。

よかったら、興味がある月だけでも覗いていってください。

※以下、随時更新予定。

1月|いちばん異文化な〈場〉

国際基督教大学(ICU)で開催された、〈TEDxICU〉に行ってみた。
12個の中で、いちばん異文化に殴られるような〈場〉だった。

2月|いちばんゆったりした〈場〉

鳥取県南部町に行ってみた。
12個の中で、いちばんゆったりとした〈場〉だった。

3月|いちばん出会いの多い〈場〉

目黒区にあるクラフトビレッジ西小山で開催された、トークセッション〈しゅたいって?〉に行ってみた。
12個の中で、いちばん出会いの多い〈場〉だった。

4月|いちばん暮らしに活きる〈場〉

都心の住宅街の一角で行われた、〈気持ちに合わせてつくる自分だけのブレンドコーヒー体験〉に行ってみた。
12の個の中で、いちばん日々の暮らしに活きる〈場〉だった。

5月|いちばん言葉にし難い〈場〉

埼玉県東松山市にある丸木美術館 で開催された、ワークショップ〈丸木美術館で変化のかけら探し〉に行ってみた。
12個の中で、いちばん言葉にし難い〈場〉だった。

6月|いちばんカオスな〈場〉

六本木ヒルズ森タワーで開催された、地方移住をサポートするイベント〈ツナゲナイト〉に行ってみた。
12個の中で、(私が移住希望者ではなかったために)いちばんカオスな〈場〉だった。

7月|いちばん影響を受けた〈場〉

一般社団法人NOOKの拠点 Studio04で行われた、アートプロジェクト〈とある窓〉の顔合わせに行ってみた。
12個の中で、今年の私がいちばん影響を受けた〈場〉だった。

8月|いちばん勇気を出した〈場〉

沖縄県立芸術大学で開催されたリサーチ型プロジェクト〈message in a bottle〉に行ってみた。
12個の中で、いちばん勇気を出して足を運んだ〈場〉だった。

9月|いちばん大学に近い〈場〉

代官山T-SITEで、『言語の本質』(中公新書)の出版を記念して開催されたトークイベント〈言語の本質を探す旅〉に行ってみた。
12個の中で、いちばん4年間の大学の学びに近い〈場〉だった。

10月|いちばん物語りたくなる〈場〉

下北沢の書店B&Bで開催された、トークイベント〈本の扉をあけて 山下紘加と語る読書の喜び〉に行ってみた。
12個の中で、いちばん物語りたくなる〈場〉だった。

11月|いちばん馴染んだ〈場〉

3月と同じく、クラフトビレッジ西小山で開催されたトークセッション〈双葉郡との関係の結び方〉に行ってみた。
12個の中で、この1年を通していちばん私に馴染んだ〈場〉だった。
(今回のミッションを踏まえるなら、「馴染んでしまった〈場〉」と言えるかもしれない。)

12月|いちばん思いがけない〈場〉

ミニシアター 新宿ケイズシネマで行われた〈東京ドキュメンタリー映画祭〉の2日目、〈戦争の「声なき声」〉に行ってみた。
12個の中で、いちばん思いがけないことを知った〈場〉だった。

まとめにかえて

〈知らない場〉に行ってみたレポートに、いわゆる「まとめ」はない。

今回の取り組みは、〈知らない場〉に行くこと=未知の世界に触れること自体が目的だった。そのため〈知らない場〉に行った結果として得られたものは、どうしてもばらばらなものになってしまう。

そのばらばらを無理やりまとめようとすることに、私はあまり価値を感じていない。半年後、1年後、10年後にここでの体験がなにか結びつく瞬間があるかもしれないが、ないかもしれない。
今の時点では、なんとも言えない。

ただ、月並みな言葉だが、さまざまな〈場〉との出会いによって私の世界は確実に広がった。
見えるものが増えた。一つのことを見るときの視点が増えた。
それは、とても面白いことだった。

独りよがりにならないためには、自分が大切にしたいものごとや価値観と距離を取る時間が必要だと思う。
普段生きている秩序の外に出る時間があれば、しばらくは「なぜ」と問い続けられそうだ。

来年も続けるかどうかは分からないが、できれば一生続けていきたい。

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