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色彩の教科書(19)黄色の事件とエピソード

公式のテニスボールが黄色い理由

テニスボールには、白やオレンジ色などがあるものの、公式の試合になるとほとんどが黄色いボールを使用している。これには理由がある。暖色と寒色の間に起こる進出・後退の印象の関係だ。屈折率の低い赤などの暖色は、網膜より奥に像を結び、ピントを合わせるために目のレンズが厚くなり、前に飛び出して見える。青などの寒色ではその逆の現象がおきる。黄色は、ちょうど寒色と暖色の中間に位置しているため、ピント合わせの必要がない。見たまま、正確な距離が分かることになる。高速道路でメンテナンスを行う車両が黄色い色をしているのもこの理由による。

日本人は黄色が苦手

明るく、軽やかで、幸福感さえ連想する黄色だが、実は日本人にとってはやや苦手な色の一つといわれている。特に男性にとって黄色は扱いにくく、好きになりにくい色だ。例えば洋服。単に派手な色を身につけるのは恥ずかしい、という以上に日本人の男性はめったに黄色を身につけることはない。黄色い靴、黄色いカバン、黄色い帽子なども同様だ。さらに嗜好品が黄色というのも抵抗がある。例えば黄色いパッケージのウイスキーやタバコは、あれだけ多彩な色が存在する中で、ほとんど日本の製品には見受けられない。

黄色いパッケージのタバコは、日本では見受けられない。


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