2023年11月25日。
佐々木希気分を味わえた日となった。

・・・

今日、夫と公園でストレッチができる背もたれのあるベンチに座り、のけぞるようにして胸を開き深呼吸をし空を眺めていたら、背後から現れた2人の少女が絶妙な距離からチラチラ視線を配りつつ

「ちがうよね…？」「え…どうだろう…？」「でもほら…やっぱりそうだよ…」

と話しているので

「多分違うと思いますよ」

と声をかけて見るものの、

「え…ちがうのかな…？」「でも絶対そうじゃない？」

とまだ2人でブツブツ相談をしている。

もしかしたら佐々木希にでも間違われてサインを貰おうか迷っているのかな…と思い、

「多分違うと思いますが、どうしましたか？」

とやさしく丁寧にもう一度声をかけると、

「……公園で休憩する白い家族…ですよね？」

と聞かれた。

家族で公園で休憩していたし、私は白いジャケットを羽織っていたので間違いではない気がしたが夫は紺色のジャケットだし……てか白い家族って何。

少女たちはまだ少し離れた場所から「…関係者の方ですか？」と私たちに何か希望を見出そうとしている。

2人とも手に何かクリアファイルを持っている。
「謎解き？」と夫が聞くと「はい」と答えようやく謎が解けた。私たちは関係者ではない。

その後も少女たちは、近くのベンチに座っている全く白くもなく1人で休憩している男性がこの謎を解くキーマンなんじゃないか…と推理し声を掛けようかどうしようかモジモジしており、見かねて謎解きのファイルを見せてもらった。

へぇーと眺めサクッと夫が謎を解いてしまい、少女たちの楽しみをサラッと奪う夫の振る舞いにヒヤッとしたが、ファイルをサッと引き下げ2人は納得いかない表情を浮かべ首を傾げながらあっち行ってみよう、などと言って去っていった。

…そうだよ。納得いかないことは無理に納得しなくていい。とことん追求するといい。大人の言うことだからってすぐ信じたり鵜呑みにしないあなたたちは素晴らしい。あとはね、やたら知らない人に声をかけるのも危ないからどうか気をつけて。謎を解くことに一生懸命になりすぎて大事なものを見失ってはいけないの。
…謎は謎のままでいいときも…あるの。

走り去る少女の背中を眺めながら心の中でそうつぶやいた私の横顔は公園で休憩する白い佐々木希だったと思う。

・・・おしまい・・・

おまけ。
佐々木希とは同い年なので許してください…。