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お台場・東京臨海副都心をもっと知りたい人に書籍などを紹介していく話

 お台場を舞台にした『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』をもっと知ろうと思った当初、街を知ろうと思いお台場や東京臨海副都心の文献に当たりました。自分自身手探りだったこともあり、広い目線でお台場や臨海副都心について知りたい方に向けて書籍などを紹介しようと思います。

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もともと人工島に作られた計画都市であることから、この島と街はおそらく他と比べて知る難易度が高いように思います。突き詰めればもともと住民がおらず行政が主体的に開発したので当たる文献の中心が行政文書だからです。まぁそんな苦労も踏まえて、これを先に読めば楽だったなと思う自戒を兼ねた振り返りです。

雨が続いているこの季節、お台場が好きな方も虹ヶ咲が好きな方も街について知ってみるのはいかがでしょうか。

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時代ごとのとっかかりになる視点

 切り口は色々あると思いますが、私はお台場の歴史は以下のタームとテーマで区切ると整理しやすかったです。まぁ参考程度に。

・品川台場築造(1853-1854) ・・・ 国防
・埋立地造成の歴史 (1920s〜1970s) ・・・ 東京港の発展と共に造成される埋立地。(旧防波堤→第十号埋立地→10号地/13号地)
・マイタウン構想〜東京テレポート構想〜世界都市博覧会中止(1980s〜1995) ・・・ 都心部への集中緩和・衛星通信・バブル経済・都と国の開発主導権争い・博覧会中止
・臨海副都心始動後 (1996〜2020) ・・・ 開発見直しと商業・観光を中心に発展する歩み
・オリンピック後 (2020?〜) ・・・ レガシー

ということで、総論から各論の順にサクサク紹介していきます。ソフトな本からガチめな本に並んでます。

『「東京人」2020年 06月号 特集「臨海副都心が面白い」 』

 今読むならこれが一番とっつきやすいです。街の生まれからオリンピック後を見据えた話まで、臨海副都心について多角的に触れられています。街を俯瞰するにはちょうど良いと思います。


『臨海副都心の過去・現在・未来』


 台場築造の歴史から近年の取り巻く課題まで、この地に関わる歴史を広く取り上げている本。

東京人よりももう少し体系的に歴史を知りたい人にはこれが良いと思います。基本的に東京都が中心となって描いたビジョンに沿って開発されてきた計画都市ですが、一歩引いて独自の民俗や文化がない点などにも触れられていることは実感ある話と感じられました。この書籍の参考文献自体が次に取り上げる本になっていたりしますので、通過点として読みやすい本だと思います。

『臨海副都心物語―「お台場」をめぐる政治経済力学』


 ただの更地から臨海副都心がどのように検討され原型が作られていったかが述べられている本。

東京テレポート構想から世界都市博覧会中止後まで、政治経済や国との関係で紆余曲折する様子をよく理解できます。1980年代特有の通信・オフィス需要逼迫・バブルといったバックグラウンドのキーワードを少し押さえていると理解が早くなります。読み物として良いですが、刻々と膨張する開発計画を逐一照らしながら細かく追おうとすると結構カロリーが高いです。

『お台場物語―まちが生まれるまで』


 デックス東京ビーチ建設に携わった方がオープンに至るまでを振り返る本。

進出事業者の目線から何もない街にテナントを呼ぶ苦節や臨海副都心開発の紆余曲折による苦労が良く分かるため、先の「臨海副都心物語」とセットで読むと理解に厚みが出ます。かつて提供されていた地ビールや木製デッキにこだわった話など、施設にまつわる逸話も多くあるので面白いです。

『感動経営学―ヴィーナスフォート誕生秘話』


 ヴィーナスフォートの企画からオープンまでを振り返っている本。

コンセプトやこだわりまで様々なことが描かれており、施設を知るにはもってこいの本です。先日再開発の発表もありましたので、あの独特な空間がどのような考えで作られたか知って歩いてみるのも面白いですよ。

『品川台場史考―幕末から現代まで 』


 品川台場が登場する経緯や設計をこと細かく説明している本です。

正直専門的すぎるため、歴史の面で辞書のように参照した程度でした。それでも築造されてから東京の発達によって徐々に姿を消していくまでの顛末が良く理解できるため、とても役に立ちました。

『東京テレポート構想』

 どのようなコンセプトで街作りを行うか臨海副都心の原型が描かれている東京都の資料。

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当時のビジョンが詰まっています。このあとほぼ半年〜1年単位で開発計画が拡大・変更されていくため細部を追おうとすると本当に沼です。

『世界都市博覧会-東京フロンティア : 構想から中止まで』


 臨海副都心街びらきの起爆剤として予定された世界都市博覧会。その催しがどのように計画され展開される予定で、中止によってどう清算されたかがまとめられている本です。

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途中から臨海副都心開発が博覧会を中心に進んだこともあり、どんな催しと建物が予定されていたか全貌を垣間見ることができます。その節々は現在も街に残っており、私が好きな虹ヶ咲でも桜坂しずくが『Solitude Rain』で立っているカスケードは都市博向けに作られた場所だったりします。

『都市公園』 お台場海浜公園史

 文字通り第三台場貯木場から現在の姿に至るまでの歴史がまとめられているもの。単一の書籍ではなく『都市公園』166号から連載されていた特集です。

この公園のあり方がその時々の土地整備のあり方と合致しているため、この公園を理解すること=臨海副都心をどう開発しリンクしていきます。単に副読本的な具合で読んでも自由の女神設置の紆余曲折などのことも書かれておりとても面白かったです。なぜ13号埋立地があの形なのかなどの考察もあって充実してます。

『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』


 踊る大捜査線では進化を続ける街として描かれたお台場も、24年が経ったら日常を過ごす舞台として描かれるようになりました。

お台場の街が日常になっているイメージ自体が個人的には新鮮で、気付けばそれだけ街が完成に近づいてたんですね。

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そんなお台場を舞台にそれぞれが自分の"好き"を目指しながら街全体で開催されるスクールアイドルフェスティバルを作り上げていく姿はとても背中を押されます。映像面でもお台場の夜景やレインボーブリッジを舞台にしたPVから観光では出てこないような場所も出てきてとても面白いです。

書籍"など"にしていたのは虹ヶ咲のダイレクトマーケティングも兼ねてたからでした。見てみると新しいことを始めたくなる作品、すごく良いですよ。

どこで読める?

 なかなか買うのは難しいって人は以下へ行けば紹介した大半を読めます。

お台場を見下ろしながら楽しめるお勧めスポットです。この施設自体が東京港を理解してもらうための施設なのでとてもお勧めです。

がっつり調べたい時はやはり都立図書館が充実しています。

終わりに


 そんなこんなで、どこかで書こうと思っていた話をようやく書き出せました。作品の展開がのんびりしていた裏返しで街を知ることになったのですが、今となっては自分なりの楽しみ方として確立したような気がしてます。

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虹ヶ咲について言えば作品の聖地巡礼ファンあるあるですが、センタープロムナードとシンボルプロムナードの違いが解っていたりと普通に観光する分にはなかなか意識しない名称がきちんと浸透し使い分けられているのは面白く感じました。解像度を高めて行こうとするとおのずと街の細かいところを発見・知覚していくんだなと思います。

このnoteをきっかけにお台場を知る方が増えてくれれば幸いです。


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