座空寺 炉茶

世捨て人。廃屋だった古民家をリノベーションしてひっそりと暮らしています。 徒然なるまま…

座空寺 炉茶

世捨て人。廃屋だった古民家をリノベーションしてひっそりと暮らしています。 徒然なるままに書き綴ります。  #田舎くらし #地域おこし協力隊 #地方創生 #古民家 #農家民宿 #リノベーション  #Cafe #居酒屋 #映画 #音楽

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Everything Everywhere All at Once で世を捨てる

【ネタバレ】 ✳︎この一文はネタバレを含みます。まだ観てない人は読んじゃダメ。おじさん言いましたからね。 なんかすごい面白い映画があるらしい。昨年のいつだか、TBSラジオ「たまむすび」で町山さんが紹介してくれていた長い名前の映画のことがずっと気になっていました。 かなり癖のある映画をインディから送り出し続けるA24制作の低予算カンフー映画で、流行りのマルチバースで、言っちゃ悪いけどピークをすぎたおばさんおじさんが出ている映画なんだと。 オスカーのノミネーションも相まって

    • ダークグラスで世を捨てる

      【ネタバレ】 ✳︎この一文はネタバレを含みます。まだ観てない人は読んじゃダメ。おじさん言いましたからね。 ダリオ・アルジェントの10年ぶりの新作とあって見に行ってきました「ダークグラス」。「サスペリア」の美しい色彩美、不気味な音楽、残酷な描写。それらが渾然として夢のような、それでいて変に現実感のある作風。この味付けが、まるで吉祥寺の老舗居酒屋の焼き鳥の様に、魅入られた人だけ呼び寄せる。アルジェントは私の中でそんな監督です。 1960年代から2020年代と長きにわたってジャ

      • イニシェリン島で世を捨てる

        【ネタバレ】 ✳︎この一文はネタバレを含みます。まだ観てない人は読んじゃダメ。おじさん言いましたからね。 久しぶりに何か書きたいと思う映画を観てきました。マーティン・マクドナー監督、コリン・ファレル主演の「イニシェリン島の精霊」。 すでにゴールデングローブを受賞し前評判が高かったものの、あまりに地味なイメージのせいか上映館は少なめ。観に行った仕事終わりのレイトショーでは公開翌日で私を含めおじさん2人というさびしさでした。地方ではRRRとかの方がうけるよね。そりゃそうだ。

        • 再生

          Perfumeを見ずして世を捨てる

          東京オリンピックが閉幕しましたね。 おそらく東京以外では開催できなかったであろうオリンピックの開催は、多くの人の心に禍根を残したと思います。五輪で感染拡大が広まったとしたい人々と、この状況でオリンピックを開催できたことは評価されるべきだとする人々。 ふと夜にTwitterを見ていたら閉会式での中継途中からマツケンサンバⅡを熱望するtweetが広がり始め、いつしかYoutubeのマツケン公式のコメントにはこんな意味の書き込みが増えていました。「閉会式で将軍様が見れて嬉しい」。 これらの書き込みと連動するようにTwitterでも「今、閉会式でマツケンサンバやっている。」体でのtweetが増えていき、その世界線を楽しむ現象は、リアルの閉会式がちょっとアレな感じになっていくにつれて加速していくことに。 この「現実はもう、ちょっと残念だけど私の中の世界線ではこうだもんね!」という現象はいつから起きたんでしょうか。ラピュタとかかな?Twitter大喜利からの発展系だとは想像出来ますけれど、ネット考古学者の考察が待たれます。 世界線って言葉も普通に使われるようになった起源、わからないですよね。でもこれって何も特別な概念じゃないんです。日本文学の古典は世界線の宝庫ですし、何よりシン・エヴァンゲリオンは劇場版とは別の世界線です。 歌舞伎や神田伯山師匠(ラジオが面白いのでぜひご一聴を)で人気が復活している講談も、日本の古典芸能は世界線って奴で出来ています。東京オリンピック閉会式で見られた現象は日本人お得意の楽しみ方であったと言えるでしょう。 例えば、閉会式で解説されていたフェンシングの太田さんがぶっちゃけた、「海外選手がギブアップ」が、多くの人に共感されたのは「本音と建前」の建前が取っ払われる瞬間が日本人は本当に大好きだからです。 この「ハレとケの往来」こそが私たち日本人の無意識の奥底にある爆発力であり、それを古代の人々は「ますらおぶり」と呼びました。高校の古典でやりましたでしょうか?呼んだだけでなく詠んだのです。和歌として。 その対称である「たおためぶり」とは女性的で繊細な感性の意味ですが、細部に渡って行き届いた「おもてなし」に通ずる、ある種の完璧さを求める心のありようとも言えます。何かをやるならキチンとやりたいと思う心でもあります。 東京オリンピック2020はどうだったでしょうか。

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        Everything Everywhere All at Once で世を捨てる

          地域おこしで世を捨てる

          今日も暑かったですね。東京オリンピックが開催された2021年は2030年代からどう振り返られるだろうか。誰もが必死にコロナに対峙した1年だったとは、おそらく評価されないんじゃないかと思います。 何度目かの緊急事態宣言は伊豆の山奥に住まう私から見ても効果はほとんどない印象ですし、facebookやInstagramを開けばこんな田舎ですら都内からの観光客が訪れていて楽しそうに自撮りをアップしているのを目にします。 変異株の拡大も飲食店だけが狙い撃ちされる経済の行方も、現段階

          地域おこしで世を捨てる

          そばかすの姫が世を捨てる

          【⚠︎ネタバレがあります。ご注意下さい】台風が来るということでシキミや棚田の作業を前倒し、雨の中屋内でできる作業をする予定に。ならば夜更かししても良かろうと仕事帰りに見てきました「竜とそばかすの姫」。 ポスト宮崎駿として期待されてきた細田守監督作品。事前情報の印象から「サマーウォーズ」の拡大再生産かな?と少し後ろ向きに感じる心持ちでの鑑賞。レイトショーでしたので観客は少なめ。実は内容はシリアスです。 大変に美しい映像でした。主人公すずの仮想空間Uでの姿、Belleの歌唱シ

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          啄木を謡って世を捨てる

          東京オリンピック2020が開幕して、開会式が行われましたね。伊豆の山中で棚田の保全をしながら民宿(コロナで休業中)を営む私にとって、この開会式は心待ちにしていたイベントでした。ある時点までは。 様々なトラブルが表面化する前から雲行きは怪しかったですし、コロナ変異株の感染拡大は間違いない中でも、何か人々の心を前向きにさせてくれるきっかけになってくれるのではないかとの期待がありました。 実際にはどうだったか。全てを見る気もなかったのですがネットに上がった動画のいくつかを見るに

          啄木を謡って世を捨てる