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ベルリン廃墟ツアー②ベトナム人居住区のアパート群

風も強く肌寒い日曜日の朝。今朝は抗原テストを受け、その足で待ち合わせ場所のSバーンへ。そこからトラムをふたつ乗り継いで目的の場所へ。

今日は打ち捨てられたままの「ベトナム人居住区」があるというので、リヒテンベルク区へ向かう。一つ目のトラムを降り、鄙びたトラムの停留所でトラムを待っている間にカメラを取り出して撮影開始。

あれ?モニターに見慣れない色の警告が出ているではないか。いやーな予感がする。もう一度シャッターを切ってよく見ると、

NO CARD

なんとSDカードを抜いたままカメラを持ってきてしまったのである。これ、仕事で一番やってはいけないミス。みんなに迷惑が掛かる。しかも今日は日曜日。市内ならまだしも、近所に売っているお店もない場所だ。

あーーー

そんな開始から、やらかした感満載の今回の廃墟ツアー、気を取り直して目的地へGo!!

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トラムを乗り継いで停留所で降りると、前方にすでにそれらしき建物が目に入ってくる。今回は見つけるのは簡単だった。ただし、建物の周囲はフェンスでぐるりと囲われていて入れそうな気配がない。

それでも諦めずにまずは周囲を歩いてみることにした。

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こちらの思惑どおり、フェンスが破られている箇所を見つける。周囲をさっと確認し、するりと中へ入る。移動は思い切りよく素早く、が鉄則。建物を見ることも楽しいが、個人的にはこの第一関門突破が一番ワクワクする。

子どもの時に立ち入り禁止の裏山で遊んでいる時に感じたような「やっちゃいけないけど、楽しい」類のものだ。

建物の中を通って裏側へ回ると、思ったより敷地面積が広いことに気付く。

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これは一度では撮りきれない(というかそもそもSDカードがない)じゃないか

と自分でボケとツッコミをしながら、そろりそろりとカメラ、ではなくスマホ片手に前進する。こういった閉鎖的な建物は特にひとりで中に入らない方がいい。これは鉄則。裏山で子ども一人で行ってはいけないのと同じことだ。何かあっても助けが呼べないからだ。

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今日、訪れたこれらのアパート群は、東ドイツ政府が「労働力」としてベトナムから呼んだベトナム人たちの居住区だった場所だ。

相方がたまたまどこかで記事を読んだらしく、こんなことを言っていた。

「最長4年契約で労働力として呼んだみたいだよ。女性が妊娠した場合は、ベトナムへ送り返すか、中絶をしたらしい。全部で4000人ほどが住んでいたんだって」

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なんともひどい話である。またきちんと記事を探して読んでおかなければ。そして、彼らの行き場を奪う出来事が起こる。それがベルリンの壁崩壊とそれに伴う東ドイツという国の消滅だ。

次にこの場所を再訪する際は、ベトナム人の軌跡がどこかに残っていないか、もう一度探してみようと思う。取り壊し寸前の気がするので急がねば…

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撮影中なのにカメラを持っていない、というね…(写真提供:@templa_udonski)

サポートは今後の取材費や本の制作費などに当てさせて頂きたいと思います。よろしくお願いします!