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採用

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採用について書いた記事です。
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採用担当が「社内RPO」に陥ってはいけない

採用を成功させる上で事業サイドの協力は不可欠ですが、事業サイドに業務を任せすぎると、人事や採用担当が「社内RPO」に陥る恐れがあります。 例えば、エンジニア採用にあたって現場のエンジニアが求人票を作ったり、採用媒体のスカウト文章を作ってくれたとします。こうなると、採用担当がやることは「エージェントとの連絡」「候補者へのスカウト送信」「候補者との連絡」といったコーディネーター業務であり、クライアントが企画・要件定義したものを実行するRPOとほとんど変わりません。 採用担当の

採用も結婚生活も他と比べない

独身の私が言うのもおかしいですが、結婚生活のコツは他人と比べないことだそうです。夫婦や家庭のあり方は人それぞれであり、家庭Aと家庭Bの正解が一致するとは限らないからですね。 同じことが企業の採用活動にも言えると思います。SNSやnoteを見ると他社が発信する情報が嫌でも目に入りますが、採用のあり方は業界や企業によって異なるので、会社Aの採用活動が会社Bにとっても正解とは限りません。もちろん、他社の活動を見て「これは自社でもやるべきだ」と理解した上でやるなら結構ですが、他社の

カジュアル面接という謎の選考フローについて

最近「カジュアル面接」なるものを求人やSNSで見かけることがあります。単に「面談」の書き間違いのものもありますが、中には「書類選考→カジュアル面接→一次面接」などと書かれている求人もあり、カジュアル面接が正式な選考フローとして位置付けているようです。 どの企業も一次面接との違いを求人で一切説明していないため、このカジュアル面接がどういうものなのか分からないのですが、おそらくこういう意図ではないかと想像します。 従来は面接など通常の選考のみ行ってきたが、母集団を増やすため、

「社長・CEO直下」は採用のアピールポイントになるのか

「社長直下で働ける」「CEO直轄の部署に配属」などと「社長・CEO直下」をアピールポイントにしている求人をたまに見かけますが、これを書いても候補者にはほとんど刺さっていないのではないでしょうか。 社長直下によって候補者が得られるメリットは「トップダウンでスピードが速い」「社長と一緒に仕事できるので視野が広がる」とかが挙げられますが、中には外出や会議続きでチャットのレスが非常に遅い社長もいますし、創業者なだけでリーダーシップやマネジメントスキルには欠ける社長もいます。気まぐれ

業務委託案件では単価を早めに公開すべし

巷の業務委託案件を見ると、エージェント経由では単価が記載されているものばかりですが、SNSや採用媒体だと未記載のものが多くあります。応募後にメッセージで単価を教えてくれるならまだしも、中には面接で初めて単価が公開され、そこで金額のミスマッチ(企業が求める単価に比べて候補者の単価が高い)が判明することがあります。 これ自体は正社員の採用でもあることですが、時間単価で稼動する業務委託にとってはミスマッチな面接が多いほど業務時間と稼ぎが減ることを意味しており、機会損失になります。

採用担当の「上から目線」を無くすための副業のすゝめ

人事や採用担当の「上から目線」が問題視される事案がたまにありますが(有名なものだとトンボ鉛筆やパーソル)、一因として候補者視点を忘れやすいことがあると思います。採用担当は(会社愛が強いためか)現職の在籍期間が長く副業もしない人が多いように感じますが、そのせいで転職活動や案件探しをする機会が少なく、候補者としての感覚を忘れやすいからです。 もちろん、上から目線にならないよう言葉遣いなど気をつけている方もいらっしゃるでしょうが、本人にその気が無くても候補者に「パワハラ」「上から

採用媒体は「スカウト」を別の名前に変えるべし

カジュアル面談にまつわるトラブルを前に説明しましたが、その原因の一つに、採用媒体で使われる「スカウト」という言葉の紛らわしさがあります。 一般用語としてのスカウトは「人材の引き抜き」や「ヘッドハンティング」のようなニュアンスがありますが、採用媒体におけるスカウトとはあくまで面談のお誘いにすぎません。 マッチングアプリに喩えると分かりやすいですが、初回デートしたがピンと来なかったとき、「向こうからいいね送っておいて脈無しはおかしい」と思う人はいないでしょう。「いいね」とはあ

候補者と企業で認識がズレる「カジュアル面談の目的」

カジュアル面談は今では多くの企業が行っている採用手法ですが、その目的は大きく2つに分かれると思います。 候補者に企業の理解を深めてもらうため 候補者と企業の相互理解を深めるため ほとんど同じだと思われるかもしれませんが、この2つの違いは大きく、面談のアジェンダや時間配分などにも影響を与えます。 目的によるカジュアル面談の違いアジェンダ ①の場合、面談のアジェンダは「会社説明」と「候補者からの質問」がメインです。候補者のことを知ることが目的に無いわけですから、「企業か

採用担当やリクルーターも業界特化する時代が来る

BtoBマーケティングで業界経験が重要になるという記事を2年前に書きました。現在では業界経験を要件に記した求人が増えており、業界特化が進んでいます。 一方で、各社のスカウトや発信記事を見ると、採用も業界経験が重要になっているように感じます。 例えば、事業会社が採用広報をする場合、自社製品に興味を持ってもらうために「市場規模」「提供価値」「導入事例」などを発信します。ところが、SIerやWeb制作会社では自社製品を持たないことが多いため、代わりに「カルチャー」「社員」などを

支援会社経由のクライアントワークは信頼構築できるまでお受けしません

※本記事における「支援会社」とは、クライアント向けにマーケティング・採用支援をされる会社全般を指します(広告代理店・制作会社・コンサルティングファーム・MAパートナー会社・RPO会社など)。 以前、エンドクライアント→マーケティング支援会社→広告代理店→私 の三次請け案件の話が来たものの、結局辞退したことを書きました。 この件は私とマーケティング支援会社・代理店との考え方のミスマッチが辞退の原因でしたが、価値観のすりあわせをしなかったのが私の反省点です。広告代理店の人とは

なぜセールスやマーケティングから人事にジョブチェンジする人が少ないのか

事業部→人事のジョブチェンジのトレンド最近は「人事経験不問」「セールスやマーケティング経験者募集」という人事の求人をよく見かけます。私自身、BtoBマーケティングを長らく続けて、3年前から採用の仕事を始めましたが、セールスやマーケティングスキルが採用に活きるだけでなく、事業部の経験があることで人材要件や組織の理解度が深まるので、事業部経験者が人事にジョブチェンジすることで大きな成果を出せるというのは、実体験としても理解できます。 一方で、セールスやマーケティングから人事に

候補者のピックアップ精度が低くなりがちな採用要件の特徴

企業がエージェントやPROに採用支援を依頼する際、 採用要件の理解が浅い 候補者ピックアップの精度が低い という課題がよくあります。私自身、人事不在のスタートアップで採用担当代行をやったとき、エージェントからの紹介人材が10人連続で書類選考見送りになったとか、RPOの方が探した候補者が10人中8人送信NGなんて経験があります。 この問題については採用支援側、企業側の両方に原因があります。要件の理解力が低い支援者がいるのも事実ですが、中にはピックアップのたびにチェックの

過剰な自社自慢はカップルの惚気話と同じく鬱陶しい

自分の友人や知人にパートナーができたとします。付き合い立ての彼/彼女らが惚気話をした場合、最初は微笑ましいかもしれませんが、過剰になると、だんだん鬱陶しいと感じ始めるはずです。その理由は、彼/彼女らはパートナーを大好きかもしれませんが、我々はパートナーをそこまで好きではないため、惚気話にあまり共感できないからです。 企業の採用でも同じことが言えます。カジュアル面談や面接、SNSなどでよく「自社のここが好き」「ここが魅力的」と自社を自慢したり、セールスポイントをアピールする人

人材業界の人はなぜ電話したがるのか

私が中途採用の仕事を始めて3年ほど経ちますが、転職エージェントや採用媒体などとやりとりして気づいたことがあります。人材業界は電話でのコミュニケーションを好む人が多いということです。エージェントに転職相談をするとキャリアカウンセラーから電話がかかってきた経験のある方は多いと思いますが、人材会社はtoCだけでなく、toBでも電話が多いです。 ※ここでいう「電話」とは、事前に開催時間を決めて行うオンライン会議や電話会議ではなく、突然かかってくる電話です。 もちろん、候補者が面接