見出し画像

言葉ってなんだっけ?と考えてしまう仕事。

 コミュニケーション。意思の疎通。気持・意見などを相手に伝えるには
なくてはならないものが言葉。
 海外で日本語を教える仕事をしている私が常に思ってしまうのは、「言葉は道具」であるという事。道具なので、質の良し悪しがある。
しかも、千変万化、変幻自在 軟らかくなり、固くなり、丸くなり、鋭くなり、小さくなり、時には凶器になり、そして仏にもなるんですね。
 その上、日本語には、「同じ言葉でも、の時はOKだけど、この立場で使うと失礼になる。」なんてことが良くあります。

例えば、「どういたしまして」。
財布を拾ってもらった、「ありがとうございます。」
相手は「いいえ、どういたしまして」。この場合は正しいですよね。
 
当然相手がしなければならい仕事を催促してやっと持ってきたとき
日本人は、取り敢えず「ありがとう」を言います。
その時「どういたしまして」と言われたら・・・私は「あれ?」と思っちゃうんです。
「遅くなってすみません」が正しくないか?って。

日本語教材では、
「ありがとう」と「どういたしまして」がセットになっているものも多いので、学習者はいかなる場面の「ありがとう」に対して、なんでもかんでも「どういたしまして」と答えてしまう。

そもそも、日本人は「どういたしまして」を使いますか?
「いいえ、とんでもない」の方が頻度が高いし質が良いように思います。
「どういたしまして」は、わざわざ引き出してくる言葉で、嫌味かジョークの部類と思うんです。
 私は学習者には、「ありがとう」に対しては「いいえ」と答えさせるのが無難と教えます。
言葉は道具だから、正しい扱い方を教えなければ怪我をさせてしまうってことです。
千変万化、変幻自在だから、槍にも盾にもなる。

外国人技能実習生にとっては、厳しい日本社会へ辛い仕事に行くんです。
自分を守る為の質の高い盾となるよう日本語教師は心して言葉という
「道具」を研究し選び、教えなければなりません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?