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20090401 工夫されたスプレー缶

 工夫されたスプレー缶がある。何が工夫されているかと言うと少しでも無駄がない様に工夫されている。整髪剤などの化粧品のスプレーには噴射ガスとして液化天然ガス(LPG)$${^{*1}}$$が使われている物がある。LPGは一定圧力以上になると常温で液体になるので、缶の中の上方の隙間空間では、ある一定の圧力$${^{*2}}$$のガス状態、残りは液体の状態となって缶の中$${^{*3}}$$に入っている。

 LPGは缶の中で液体状態で残っている限り、隙間空間では一定の圧力のガスになっているので、中の薬剤も一定の圧力で噴出してくる。

 LPGよりも値段が安く反応し難いありふれた窒素を噴射ガスに使えば製造費用を下げる事ができるが、窒素ガスはLPGの様に室温では液化してくれない。-150℃位でないと液化しない$${^{*4}}$$。そうなるとスプレー缶の中では常に窒素は気体状態なので、窒素ガスの噴射量によって内圧が低下してしまう。使い始めの噴射の勢いと使い終わりの勢いとが大きく変わってしまうことになる。そこで何が起こるか。最後まで使える様にLPGの圧力よりも窒素の封入圧力を高くしておかなければならない。すると使い始めは、軽くボタンを押したつもりが勢い良く薬剤が出てきてしまうのである。しかも中の薬剤が減るに従って窒素も減って圧力も減るので、スプレー缶のボタンを押す時間がだんだん長くなる。これでは使い難くて仕方がない。

 そこで噴射圧力を一定にする仕組みを持ったボタン付きのスプレー缶$${^{*5}}$$が開発されているらしい。これで噴射ガスに安価な窒素を用いてもLPGと同様に使用できるスプレー供給できるようになる。

*1 最近の災害事例等(エアゾール製品(スプレー缶)にご用心!)
*2 LPガスの情報
*3 花王 製品Q&A エアゾール製品には振って使うものや下向きにして使うものがあるのはなぜ?
*4 3-1-1 物質の三態
*5 安全・安心に使用できる不燃性スプレーとは? | MiTANi jam

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