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20001021 金玉逆火鉢

 トヨタ自動車のセルシオ$${^{*1}}$$という名の自動車には面白い仕組みがある。座席の下に小さな穴が開いていてそこから冷風や温風が出てくる$${^{*2}}$$らしい。革で出来た自動車の座席に座っていると尻が蒸れたりして気持ちが悪くなる場合があるらしい。それを防ぐたにめわざわざ自動車の室内温度に合わせて尻に冷風を送ったりするのだ。

 どういう発想でこういう装備を付けることにしたのか理解に苦しむが、どんな些細なことにも購買者の満足のために、いつも努力をしているということを訴えたかったのかも知れない。

 自動車に乗る時間など長くても連続2時間程度だろう。高級車を所有して自分で運転する人であれば乗る時間はもっと少ないはずである。その短い間に尻がむずむずする確率はどれくらいあるのだろう。座席に座った途端そうなるのであれば、それは座席の座面の設計がおかしいのであって送風機を付けるのは本質的解決ではない。

 この仕組みを見てある人が「金玉逆火鉢」と評した。金玉火鉢$${^{*3}}$$の火鉢代わりに冷風が出てくるので火鉢の逆で逆火鉢。本質的な解決をせずに付け焼き刃的な装備を揶揄しているのだ。

 この装備はマイナーチェンジ$${^{*4}}$$で姿を消すことは間違いない。どう考えても有っても無くてもどうでもよい装備である。こういう意味のない装備の開発や製造などで資源を無駄に消費することは、いくら顧客満足のためとは言え、自粛してもらいたいものである。普通の自動車を製造するだけでも環境破壊に直結しているのだから。

*1 セルシオ
*2 セルシオ ユーティリティ・居住性
*3 茂吉の俗語ほか
*4 マイナーチェンジ早見表

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