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20031002 愛知万博

 愛知万博$${^{*1}}$$が2005年に開催される。今更、日本で万博を開催しようという感覚が理解しがたい。公共投資によって建設業界の再生の為だけに開催するのだが、それを「万博」という形にするという感覚がずれている。現代では、こういう事業は社会基盤がしっかりしていない発展途上国で開催することで本当の意味がでてくる。

 万博では何のためにそれを開催するかを明確にしようとしている。「自然の叡智」を理解するためらしい。科学技術の発達で全地球的な規模で自然を脅かしている人類の活動を、自然と対話することにより見直そうというのだ。今から30年以上前に大阪で開催された万博$${^{*2}}$$の主題は「人類の進歩と調和$${^{*3}}$$」と人類中心の考え方であったが、今度は自然や地球が中心の考え方である。

 ところがその「自然の叡智」を理解するために新たに自然の一部を人類の都合のいいように作りかえなければならないらしい。森林や手付かずの山野を造成しなければいけないというのだ。完全な自家撞着に陥っている。これほどあからさまに矛盾している公共事業も珍しい。

 自然環境を破壊されて困るのは次世代である。人類だけではなく全ての生物にとってである。各種生物の存在目的は自己の種の持続とその拡散であろう。生物にとってこれを妨げられるのが一番困る。主題から考えれば、愛知万博で、人類で一番の主役となるのは子供達のはずである。子供に万博を趣旨を伝えないと全く意味がなくなる。ところが前述したようにあからさまに矛盾している。どう説明すればいいのか。

 会場建設予定地の森に住んでいた動物や虫の環境はどのように保証されたのか。植生はどのように保護されたのか。説明しようがない。

 一番致命的なのは万博のマスコット$${^{*4}}$$である。森の精という設定だが、彼らは一体どこに住んでいたのか。会場建設予定地以外に住んでいるのか。もしかしたら都会$${^{*5}}$$に住む「森の精」なのかも知れない。

*1 愛・地球博:愛知万博公式サイト - EXPO 2005 AICHI,JAPAN
*2 20021215 太陽の塔
*3 Time Capsule TIME CAPSULE EXPO'70
*4 マスコットキャラクターの紹介:愛・地球博
*5 名古屋市

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