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20080114 アマゾンの仕組み(2)

 通信販売の「アマゾン」の特典会員$${^{*1}}$$になると送料が只になる。ただし会員になるには年間3900円$${^{*2}}$$かかる。しょっちゅうアマゾンで買い物をすれば、得かと思ったが、そうでもないので会員になっていない$${^{*3}}$$。

 それにしてもこの会費の「年間3900円」はどこから来た値段だろうか。会員で受けられる恩恵は送料無料の他に、優先的に発送処理をする$${^{*4}}$$手数料も只になる。全てが対象ではなく、優先発送処理が可能な商品とそうでない商品$${^{*5}}$$があるようだ。優先だと一日程度早く届くらしい。

 合計購入金額1499円以下の場合、送料はいくらか。国内なら一律300円である$${^{*6}}$$。優先発送手数料は350円である$${^{*7}}$$。500円の物を一日でも早く手に入れようとすると送料だけで300+350=650円かかるが、特典会員だと商品代金だけで済む。

 会員は一年に3900÷650=6回以上優先発送を利用すれば元が取れる$${^{*8}}$$ことになる。二ヶ月に一度ぐらいは1500円以下の品物を一日でも早く手に入れたいと思うことがあるかもしれない。とは言え大人ならば一週間ぐらい簡単に我慢できそうだから、欲しい物の合計が1500円以上になるまでまてばいいような気もする。逆に一日も我慢できない人は、一度に買う金額はすぐに1500円以上になりそうだ。すると優先発送だけの恩恵となり、3900÷350=11.1・・・で毎月一回以上使わなければ元が取れない。我慢できない人はしょっちゅう買うのですぐに元が取れて得になる。

 以上は利用者の立場で損得を考えた。アマゾンにとってこの仕組みはどのように役に立っているだろうか。顧客は会費を払うと「元を取る」という心理が働いて、その分売り上げが増える。送料に関しては3900円分の先払い以上を利用されると梱包材や人件費、輸送費用の点で負担が増加するかもしれないが、年間3900÷300=13回以上、1500円以下の商品を注文する人は滅多にいないだろう。

 優先発送はどうか。優先発送は発送処理の順番を変えているだけだから実質的な負担増はない。顧客が優先発送を選んでくれれば、本来その都度手数料が入る筈だが、特典会員の顧客から入るのは先払いの会員費が上限になる。儲け損ねる訳である。

 そもそも一日余分に待てばいいのだから、「優先発送」を希望する人はそれ程いないだろう。そこで送料無料も餌にして、特典会員として3900円を先払いをして貰う。手数料も入るし、元取り心理効果で顧客当たりの売り上げも増加する。巧く考えられた仕組みである。

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