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20070426 澪つくし

 澪標(みおつくし)という言葉がある。源氏物語$${^{*1}}$$や百人一首$${^{*2}}$$に出てくる。「侘びぬれば 今はた同じ なにはなる みをつくしても あはむとぞ思ふ$${^{*3}}$$」のみおつくしである。「身を尽くし」と「難波の澪標」とが洒落になっている。

 澪標とは、水路に立てられた標識$${^{*4}}$$のことで、船の行き交う場所にあった。杭の上部に「×」と「一」とを組み合わせて作られていた。「×」だけの標識$${^{*5}}$$もあったようだ。大阪市の市章$${^{*6}}$$になっている。

 この澪標の語源を最近知った。「$${^{*7}}$$」は川や海の底が溝のように深くなって、水が流れる筋になっている部分を指す。「つくし」は土筆$${^{*8}}$$のことか。大抵はこんなことを想像する。

 違っていた。「みを」「つ」「くし」である。「くし」は「串」。「つ」は「の」の意味を持つ古語だった。「天つ風$${^{*9}}$$(天の風)」「まつげ(目の毛)$${^{*10}}$$」と同じ用法で「澪の串」という意味になる。

 水咫衝石$${^{*11}}$$とも書いたらしい。「咫」は長さの単位で、親指と中指とを広げた長さに相当する。この字は八咫鏡$${^{*12}}$$、八咫烏$${^{*13}}$$などで登場する。「八咫」は単に大きいという意味しかないが、みおつくしの「水咫」は何を意味しているのか。「咫」は20cmぐらいなのでそれ程長くない。と言うことは浅瀬という意味か。「浅瀬なので石にぶつかる」所なのか。それとも現代語で言う「水位」という意味だろうか。「水位を示す衝石」なのか。「衝石」は「つくいし」が転じて「つくし」になったのだろう。

 となると「みを」「つ」「くし」なのか「みを」「つくし」なのか、どっちなのか。

*1 源氏物語巻名一覧 あらすじ
*2 20000620 ウリウリ
*3 わびぬれば 今はた同じ 難波なる 身をつくしても 逢はむとぞ思ふ | 小倉山荘(ブランドサイト) | 京都せんべい おかき専門店 長岡京 小倉山荘
*4 大阪NOREN百年会 瓦版 第33号
*5 037.jpg 攝津名所圖會 [5]
*6 大阪市 -大阪市の概要「プロフィール」- -市名 市章 市歌 市の花 市政-
*7 (株)成プロ企画 高樹 澪
*8 土筆 (ツクシ)
*9 天津風 雲の通ひ路吹きとぢよ をとめの姿 しばしとどめむ | 小倉山荘(ブランドサイト) | 京都せんべい おかき専門店 長岡京 小倉山荘
*10 まつげ 1 【▼睫/▼睫毛】 - goo 辞書
*11 Manyoshu [Book 12]
*12 伊勢の神宮
*13 八咫烏 / 財団法人大阪国際児童文学館 子どもの本100選 1868年-1945年

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