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20081101 ノーベル賞(3)

 先月、久しぶりに日本人のノーベル賞受賞者が出た。2002年以来、六年ぶり$${^{*1}}$$である。小林誠氏、益川敏英氏、南部陽一郎氏が物理学賞、下村脩氏が化学賞を受賞した。

 岐阜県飛騨市$${^{*2}}$$神岡町にあるスーパーカミオカンデ$${^{*3}}$$の建設現場に南部陽一郎氏のサインが展示してあった。「世界の科学者のサインドア$${^{*4}}$$」と名付けられていた。カミオカンデを訪れた人々が施設の扉にサインを残していった$${^{*5}}$$そうである。この中に氏のサインが含まれていた。

 撮ってきた写真のその部分を拡大したのがこれ$${^{*6}}$$だ。「Like the Sleeping Beauty I shall wake up after a hundred years to see the Kamioka results on proton decay. 16 Nov 1984 南部陽一郎」と書いてある。意味は「眠れる(森の)美女のように、陽子崩壊に関するカミオカ(ンデ)の結果を見るために百年後、私は必ず眠りから覚めるであろう」と言ったところか。1984年の当時$${^{*7}}$$は、カミオカンデの目的は陽子崩壊の観測$${^{*8}}$$であった。これが観測できれば物質に働く四種類の力(重力、電磁気力、弱い力、強い力$${^{*9}}$$)の統一的な説明が可能となる大統一理論の証拠$${^{*10}}$$となる筈だったが、南部氏が扉にサインをした時点では陽子の崩壊は観測されていなかった。ただし、現時点でも人類は陽子の崩壊を確かめた経験はない$${^{*8}}$$。

 それにしても「百年後に目覚める」ということは、南部氏はそれぐらい経たないと結果が出ないと予測していたのか。24年経過して未だ結果が出ていない処を考えると、流石、ノーベル賞を取るだけあって先見の明がある。まぁ、陽子が崩壊してもしなくても十分な結論を得るにはあと百年はかかりそうだ、と言った程度の意味だろう。

*1 20021010 ノーベル賞(2)
*2 飛騨市公式ウェブサイトへようこそ
*3 スーパーカミオカンデ 公式ホームページ
*4 9507260037.jpg
*5 インタープリターの最先端研究施設訪問記 2. 神岡宇宙素粒子研究施設
*6 Nambu_Youichiro.jpg
*7 神岡施設 - 年表
*8 スーパーカミオカンデ:陽子崩壊の探索
*9 キッズサイエンティスト【自然界の4つの力】
*10 yoshi.jpg


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