見出し画像

1〜3月に読んだ本の感想

お久しぶりです!2024年初めての記事です。
もう3月も末になってしまいましたが、今年の目標を表明しておきます。

・本を読む
・転職する(退職の意思は伝え済み)
・大阪旅行する
・福岡旅行する
・一次創作の漫画を描く
・『金色のガッシュ‼︎』を読む(1年くらい積んでる)
・『ダンガンロンパ』をプレイする(王馬小吉が好きそうらしい)

「本を読む」ですが、今年は読了後に短くてもいいから感想を書き残すようにしていこうと思ってます。
今回の記事は某SNSに放流した感想のまとめ直しです。核心には触れないようにしていますがネタバレが含まれているので、読みたくない箇所はスキップしてください!



安藤祐介『本のエンドロール』

本の奥付に載っている会社名の後ろには、悩みながらも自分の仕事に誇りを持ち、本を造る「人」たちがいる。豊澄印刷の営業・浦本も、日々トラブルに見舞われながら「印刷会社はメーカーだ」という矜持を持ち、本造りに携わる一人。本を愛する人たちの熱い支持を集めた物語が、特別掌編『本は必需品』を加え、待望の文庫化!

『本のエンドロール』あらすじ

今年の目標に「読んだ本の感想を書く」を加えるきっかけになった本です。すごく素敵な作品だったので、「これは読了後に心に浮かんだ言葉を文字にしておきたいぞ…!」と思ってしまったんですよね。

本離れが進み、電子書籍の需要が増し、斜陽と呼ばれる印刷業界で登場人物たちはなぜ働き続けるのか。それは好きを仕事にするため、やりがいのため、金のため、自分のため、家族を養うため、人々に本を届けるため……。理由の数だけ、人生がある。
様々な人生を歩んでいる人々が、仕事を通じて、本を通じて、時に反発し合い、時に影響し合い、紙の本を作っていく……そんな物語です。

私は紙の本が好きです。手にした時の重みとか、ページめくる時の感触とか、本棚に並んだ時の光景とか。紙の本はかさばる? かさばるからこそ良い!
だから、この作品に出会えて良かったと心から思います。
『本のエンドロール』を読んでから、本、特に単行本の装丁を見る目が変わりました。「これが完成するまでに、数多の人の努力があったんだなあ」って。本屋を歩くのがより楽しくなりました。

紙の本が好きな方にはぜひ読んでいただきたい作品です。


辻村深月『傲慢と善良』

婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。

『傲慢と善良』あらすじ

同作者の『琥珀の夏』がとても良かったので、ベストセラーと評判の本作を読んでみました。
一言で言うと、もの凄かったです。

恋愛ミステリと銘打たれていますが、その一言だけでは括れない作品だと思います。
作中、ある登場人物がこう語ります。「現代人は自己評価が低い一方で、自己愛は強い。彼らには、ありのままの自分を受け入れてほしいという傲慢さと、親の言いつけや大勢に従おうとする善良さが、矛盾なく両立している」と。ドキッとしました。なぜなら、身に覚えがあるから。
「傲慢さと善良さ」により、思うように人生を形作れない、いや、そもそも人生のビジョンを具体的に想像することすらできない人間が抱える歪さ、不安、苦しみ、怒り、そして優しさ。辻村深月はそれらの描写に一切の妥協を許さない。
途中「こんな詳らかにしちゃダメだろ……!」と本気で辛くなっていたのですが、解説で朝井リョウも似たようなこと言ってて笑っちゃいましたね。ありがとう朝井リョウ。

帯に「人生で一番刺さった小説との声続出」とあるのですが、確かにこれは、刺さる。しかしそれは生半可な共感ではない、と思います。圧倒的な解像度と文章力が丹念に研がれた鋭い刃として、人が隠したい部分を的確に突き刺してくるのですから。

『傲慢と善良』、刺さりました。でも、「刺さった」と言いたくない作品でした。とても素晴らしかったです。
映画化されるみたいなのでぜひ観に行きたいですね!


谷川俊太郎『自選 谷川俊太郎詩集』

デビュー以来、半世紀を超えて人々に喜びと感動をあたえてきた谷川俊太郎(1931─)の二千数百篇におよぶ全詩から、作者自身が厳選した173篇を収録。子どもが読んで楽しめることばあそびから引用文だけで構成された実験的な長編詩まで、さまざまな文体で書き分けられたリズム感あふれることばの宇宙を俯瞰する。(解説=山田馨)

『自選 谷川俊太郎詩集』あらすじ


私の中で谷川俊太郎といえば「『二十億光年の孤独』の人」でした。『二十億光年の孤独』は中学の合唱コンクールの自由曲の1つで、特徴的な歌詞と一度聴いたら耳から離れないリズムで同級生から人気が高かったのを覚えています。かくいう私もこの曲が好きで、よく友達と歌い合ったりしてました。
ただ当時は作詞家にまで関心を払っておらず、詩自体も馴染みがなかったので、以降谷川俊太郎に触れることはありませんでした。
そんな私が谷川俊太郎に興味を持つきっかけになったのはオモコロの本屋ダンジョン・バトルの記事です。

この記事ではみくのしんさんが『生きる』の絵本を選び、紹介してくれています。『生きる』で一気に谷川俊太郎の感性や言葉選びに心を奪われてしまい、詩集を購入するに至りました。

解説で山田馨氏も述べていますが、谷川俊太郎はいろんな種類の詩を作る作家だったようです(同じ種類の詩を作り続けていると飽きてしまうらしい)。そんな中でも、静謐な愛をうたったような作品や、悲しい事を明るく軽やかな口調で語るような作品が特に好みでした。『生きる』『これが私の優しさです』『あなた』『ふくらはぎ』『あなたはそこに』『おに』『ひこうき』『十二月』『足し算と引き算』『がいこつ』『なんでもおまんこ』『あのひとが来て』『願い』『おばあちゃんとひろこ』『自己紹介』『さよならは仮のことば』あたりが好きでしたね。みなさんはどの谷川俊太郎が好きですか?(突然の問いかけ)

いや〜、詩っていいですね……。これまで触れてこなかったのを悔やんでいます、かなり。これからはもっといろんな作家の詩を知っていこうと思います!


伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。なぜだ? 何が起こっているんだ? 俺はやっていない――。首相暗殺の濡れ衣をきせられ、巨大な陰謀に包囲された青年・青柳雅春。暴力も辞さぬ追手集団からの、孤独な必死の逃走。行く手に見え隠れする謎の人物達。運命の鍵を握る古い記憶の断片とビートルズのメロディ。スリル炸裂超弩級エンタテインメント巨編。

『ゴールデンスランバー』あらすじ

こちらは再読です。SNSのフォロワーさんとおすすめの小説を交換することになり、『ゴールデンスランバー』をプレゼントしたので自分でも読み返してみることにしました。
初めて読んだのは大学生の時だったかな? タイトルとあらすじから「ゴールデンだしエンターテイメントってあるし爽快な作品なのかな〜」と呑気な気持ちで読み始めたのですが、実際は全然そんな作品ではなく……あまりの重苦しさに何度か読むのを諦めようかと思った記憶があります。今回は全貌を知っていたため、勢いのままに読み進めることができました。

やっぱりこの作品めちゃくちゃ面白いなぁ……。
洋画のような話運びと盛り上げ方に何度も鳥肌が立ちました。伏線の張り方と回収の仕方が上手く、再読により気付けた部分も多々ありましたね。
完全フィクションのエンターテイメント小説にも関わらず、作者が様々な文献を参考にしたり有識者に取材を行なっているためか、真に迫った緊張と絶望が押し寄せてきます。「あり得そうで怖いなあ」とつい思ってしまう説得力を感じます。
だがキルオ、お前だけは"オタク"すぎる。こいつだけ別作品のキャラクターですよね?

「人間にとって最大の武器は習慣と信頼である」
この作品を、青柳雅春を表す言葉だと思います。


水森サトリ『でかい月だな』

ぼくを混乱と哀しみに突き落とし、あいつは町から消えてしまった──。
中学生の幸彦は、友人綾瀬に崖から蹴り落とされて、大好きなバスケができない身体になってしまう。無気力な日々を送るなか、やがて奇妙で不可解な現象が起こり始め……。繊細にして圧倒的スケールの青春小説! 第19回小説すばる新人賞受賞作。

『でかい月だな』あらすじ

SNSのフォロワーさんとおすすめの小説を交換することになった際にいただいた作品です。
ジャンル分けするならローファンタジーになるのかな?

相互不理解の話だなあ、と感じました。
登場人物たちは他人の気持ちを完全に理解することも、他人に自分の気持ちを100%で伝えることもできません。些細な仕草で自分と相手の熱量に差があることを感じてしまうし、どんなに言葉や行動で尽くそうとしても埋まらない溝というものは無くなりません。
「コミュニケーションにできることなんて、こんなもんだよな」と思いました。それは決して、悪い意味ではなく。

共存のためにはコミュニケーション、特に対話が大事とよく言われます。それは正しいのだと思います。
でも、どれだけ言葉を尽くしても理解されないこと、理解はできても感情で受け止められないこと、そもそも言葉にしない方がいいことがあるのも事実です。言葉にすることで、言葉にさせることで、理解されることで、共感されることで、自分の中の仁義や隠していたいものが傷付けられるもあると私は思っています。
対話は確かに大切です。怠ってはならないものです。でも、魔法ではありません。
作中で対話の力が過信されず、幸彦と綾瀬の関係があのように落ち着いたのは、私にとって救いでした。

好きな人が自分と違うと知った時、頭ではそんなのは当たり前だと思っていても、どうしても寂しい、悲しいと感じてしまうことがある。いつか分かり合えるかもしれないが、それがいつになるかは分からないし、そんな日は来ないことも十分ある。
彼らは、私たちは、それを受け入れて、死ぬまで生きていかないといけない。

これ言うの悔しいんですけど、めちゃくちゃ中川が好きです。


終わり

以上!
今後も感想が溜まったらnoteにまとめていきたいと思います。この習慣が続けばいいな……。
今は好きすぎてイメージカクテルを作ってもらったことまである、宮部みゆきの『模倣犯』を再読中です。序盤から鬱フルスロットル。これが2535ページも……!?

ここまで読んでくださりありがとうございました👋

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?