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〈著者紹介〉22世紀、ジャスビガン。        山泊リョウ

 皆さんは、ご存じだろうか。21世紀が終わったことを。
 21世紀を終わらせたのは、山泊リョウ。22世紀をはじめた男だ。
「新しい世紀は、時の到来と共に訪れるのではなく、自覚した瞬間にはじまる」
 彼が新世紀の到来を高らかに宣言した時、本気で取り合う人は一人もいなかった。

 世界は、らせん状に進歩する。22世紀は、世界が裏返って上るタイミングだ。
 多様性が叫ばれた世界は、一様性を求めるようになる。科学は自分の外側ではなく、内側を解明する学問になる。労働は大衆の義務ではなく、選ばれた者の権利になる。肉体は自由を獲得し、精神は肉体から解放される。他者との違いより共通点が重要になる。人間は情報になり、情報が人間になる。人生は自分のすべてではなく、みんなの部分になる。まだまだあるが、とにかく反転がはじまった。
 テクノロジーは勝手に進歩して、日常に溶けこむ。技術革新により、どんな仕事が無くなるか、どんな生活になるか。それはたいした問題ではない。大切なのは、どんな時代でも幸せに生きる力を身につけ、伸ばすこと。自分をまっとうすること。隣人を喜ばせること。つまり、世界を一歩前進させることだけだ。

 彼の人となりにふれておこう。山泊リョウは敬虔な仏教徒の家に生まれ、物心つくころから経を唱え、体系的に仏教を中心とする宗教全般を学んだ。

 大学卒業後は、完全歩合制の訪問販売で1日10時間、300軒の戸別訪問を週6日、2年半やりきった。千日回峰行よりキツかった(部分的に回峰行を体験しての見立て)。

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