東北旅行に行った話(3日目 岩手観光)

2022年の11月に学生4人で東北旅行に行った話。
これを書いている今は2023年の2月で、卒業旅行シーズンなんだけど、みんなが海外旅行に行ってしまって実家で暇を持て余している私は、暇に任せて昔の旅行記を書いているというわけです。
この記事は3日目の岩手観光について書きます。2日までの記事はこちらから↓

中尊寺金色堂の観光

朝一で仙台を出発して中尊寺金色堂に向かった。仙台から中尊寺のある平泉までは車で2時間半くらい。今思い返すと2時間半ってかなり遠いし、日帰り旅行でギリギリ遠出で遊びに行くくらいの距離感だけど、旅行中は東北って広大すぎて、2時間半なんて全然近いもんだよねって感じだったな。

中尊寺の歴史

 中尊寺を建てたのは奥州藤原氏の初代の清衡公で、11世紀後半に東北地方で続いた戦乱で亡くなった人たちの魂を慰め、東北に仏の教えを広げるために中尊寺を建立した。清衡自身も妻と子供を戦争で亡くしていて、平和を強く願う気持ちがあったそう。そのかいあってか、それから平泉ではそれからしばらく平和を保っていたらしい。
 百年のその後、平氏を滅ぼした源義経が、お兄ちゃんの頼朝に殺されそうになって三代秀衡公の元に逃げ込む。秀衡公は義経を庇うけど病死してしまい、4代泰衡公は頼朝の圧力に耐えかねて義経を自害に追い込むけど、秀衡自身も結局頼朝に責められ、奥州藤原氏は滅亡してしまったらしい。なんて悲しい話なんだ…次期大河ドラマにどうですかね?知らんけど。
 鎌倉時代以降、庇護者のない中尊寺は次第に衰退し、火災で多くの宝物や堂塔が焼けてしまったりもしたけど、金色堂をはじめとして、3000以上の国宝が綺麗な形で伝わっているんだそう。

中尊寺の境内

 あの金ピカで有名な金色堂自体はすごく小さいんだけど、中尊寺はすごく大きなお寺で、ゆっくり見ると観光に2時間くらいかかる。
駐車場から少し登ったところに、大きな赤い鳥居が建っていて、鳥居をくぐると大きな杉(多分)が両側に立つ厳かな坂。歩きながら心洗われる思いがした(ような気がする)

そもそも鳥居って神社じゃなくて寺にもあるんだっけ?

 境内は紅葉がすごく綺麗だった。
 月見坂という名前の参道(多分)を歩いて行くと、右手に本堂があって、修学旅行生がたくさんいた。ちょうど菊を上手に育てよう大会の発表会(?)みたいなのをしてたみたいで、境内に綺麗な菊の鉢が沢山並んでいて見るの楽しかった。

境内の雰囲気◎
お腹空きすぎてずっと食べ物屋さん探してたの思い出した

 本堂の他にも、参道の両側には不動党とか、大日堂とか、薬師寺堂とか、阿弥陀堂とか、実態のわからn…もとい、やんごとなさそうな古き良き建築が沢山並んでいて、じっくり見ていたら本当に1日潰せそうなくらい立派なお寺だった

本当に金色な金色堂

 金色堂は本堂よりさらに奥に進んだ左手にある。金閣寺みたいな感じに金色の建物がドーンって建ってるのかと思ったけどそうじゃなくて、覆堂(おおいどう)っていう金色堂を守るための建物に覆われてた。手前で拝観料800円を払うと、金色堂と宝物殿が見られる。中は撮影禁止なんだけど、金ピカで、螺鈿と蒔絵の装飾が本当に見事だった。初代清衡公が中央、向かって左に基衡公、右の壇に秀衡公と泰衡公が納められているんだそう。
 こんな立派な場所に納めてもらえる気持ちよさと、静かに眠る場所をジロジロ見られる気まずさと、どっちが勝るのか難しい問題だなとか思いながら昔読んだ「王家の紋章」って漫画を思い出してた。
 宝物殿も前日行った瑞巌寺の宝物殿とはレベルが違って感動した(語彙力がない上に失礼でごめんなさい)歴史的・芸術的に価値のある場所にせっかく来ても、綺麗か綺麗じゃないか、国宝って書いてあるか書いてないかってことくらいしか評価の指標がない教養の貧しさを恥ずかしく思うのでした。(でも次の日には忘れてる)

ほんと悪いけどこれだけは言わせて

 覆堂(おおいどう)っていう、金色堂を雨風から凌ぐために築かれた建物があるんだけど、室町中期から500年間金色堂を守ってきて、50年くらい前にお役御免になって、新しい覆堂が築かれて、旧覆堂は少し離れた場所に移動されてて、金色堂から少し奥に歩いたところで見ることができる。
 移動ってそんな簡単にいうけど、全部壊して建て直したってことだよね。それって覆堂の大移動

甘酸っぱい顔の松尾芭蕉

「奥の細道」の終点とも言われる平泉、「夏草や 兵どもが 夢の跡」という有名な句は、この平泉で奥州藤原氏の栄華を思い詠んだ句だそう。石碑と銅像が立ってた。

甘酸っぱい顔しすぎでは?
恋してるでしょ多分

かんざん亭

 中尊寺の観光が終わる頃はもうお昼前で、めちゃくちゃお腹が空いてた。でもこの日の夜はわんこそばで100杯チャレンジするつもりだったからあんまりガッツリご飯を食べるのも良くないよねって話になって、かんざん亭っていう境内の一番奥にあるカフェで食べた。景色の綺麗なテラスのある素敵なお店だったな。

美味しそうな蕎麦に心惹かれるの我慢してのぜんざい
ぜんざいが全細胞に染み渡った

完成された観光スポット「猊鼻渓(げいびけい)」

 これまた旅行先ゲラ天才観光アドバイザーMちゃんが見つけてくれた観光スポットだったんだけど、ここが本当に良かった。東北に行く人全員にオススメしたい。
 若者からお年寄りまで飽きずに楽しめる工夫が凝らされている、まさに「完成された観光スポット」って感じ。

猊鼻渓とは

猊鼻渓は、岩手県の母なる河、北上川支流の砂鉄川沿いに、高さ50mを超える石灰岩の岸壁が、およそ2kmにわたって続く渓谷です。大正14年10月8日、国の史蹟名勝天然記念物に、名勝指定県内第一号に指定され、日本百景のひとつに数えられています。
http://www.geibikei.co.jp/funakudari/

 猊鼻渓といえば舟下り。舟下りといっても、ほとんど流れのない穏やかな浅い川を、20人くらい乗れる大きな船で、船頭さんが走り高跳びの棒みたいなので押していってくれる舟下り。(これ伝わる?笑)

冬はこたつで鍋しながら川下りとかもできるらしい

 2キロの、両側に岸壁のそそり立つ渓谷を下るので30分、辿り着いた発着場の散策で20分、戻ってくるので30分の合計90分、ベテラン船頭さんの流暢なガイドを聞きながらまるまる楽しめて、一人1800円。
すごくお得だし、楽しかった。想い出しながら見所をいくつか紹介したいと思います。

壮観も壮観

船に餌付けされているカモ

 船が出発すると、船の後ろからカモが沢山お尻振りながらついてきた。船の上でカモの餌を買えて(安定感があって船の上は立って歩ける!)、たった150円でカモにモテモテになれるなんてお得じゃない…。あれ、もしかして私たちが良いカモ…?
 カモはめちゃくちゃ人慣れしてて、カモによっては手から直接餌を食べてくれる子もいた。Y君はカモとずっと見つめあってて、船頭さんがしてくれる、あの岩がどうとか猊鼻渓の歴史がどうとかのガイド全然聞いてなかった。

カモまでたぶらかすY君

運試しスポット①毘沙門窟

 しばらく川を下っていったところに岩の削れて小さな洞窟みたいになってるところがあって、そこに毘沙門天が祀られてる。舟の上で立ち上がってお賽銭を投げるんだけど、距離が離れないでこれがなかなか入らない。
 賽銭箱に細工がされていて、見事賽銭が入ると「チャリーン」ってなるようになってて、テンションが上がる。ちなみに私は見事成功した。ほとんどアトラクション感覚だったから願い事とかするの完全に忘れてた。

運試しスポット②うん玉

 30分ほど川を下った先で降りて、20分くらい10時間があるんだけど、そこで楽しめるのがうん玉投げ。「福」「縁」「寿」「愛」「願」「運」「恋」「絆」「禄」「財」の10種類の文字が入った粘土の玉みたいなのから好きな組み合わせで3つ選んで100円。
 川を挟んで向こう側の岩に空いている小さな岩に玉が入れば願いが叶うという運試しスポット。これがマジで難しい。

猊鼻渓舟下り公式ホームページより

 目当ての穴は小さい上にかなり遠くて、大学生女子の肩ではとても届かなかった。I君だけ見事な投球で一個ぶち込んでたけど、二十人くらいいた舟の客の中で成功してたのは1.2人だったんじゃないかな。
 見事成功した暁には満足感となんかおめでとう賞みたいなカードがもらえる。野球部の人とハンドボール部の人は是非チャレンジしてください。
 私が選んだのは「縁」と「願」と「愛」なんだけど、その玉の投げ入れを失敗するってことはすなわち一生懸命選んだ願い事の石を水面に叩きつけることになるわけだから、すごい複雑な気持ちだった。

「愛」「縁」「恋」とわかりやすく全振りのIくん
迷いすぎて一緒に写真撮れなかったMちゃん

船頭さんの船頭歌「げいび追分」

 船頭さんは川を下るときはあの岩が有名ななんたらでとか、かの有名人が云々とか、色々な面白い話をしてくれたんだけど、帰りは同じ道を帰ることになるので、げいび追分という船頭歌を歌ってくれた。伸びやかな声が渓谷にこだましてすごく気持ちよかった。

盛岡までのドライブ

 猊鼻渓から盛岡までのドライブが気持ち良かったのは今でも鮮明に思い出せる。東北は全体的に、運転するのが気持ちいい。特に朝と夕暮れ時。冬が深まると雪が降ってそういうわけにもいかないんだと思うけど、真っ直ぐで広い道が多くて、見晴らしが良くて、バイクでツーリングとかしてもめちゃくちゃ気持ちいいんじゃないかなって思った。
 猊鼻渓から盛岡までの1時間半のドライブは、Mちゃんが運転してくれたんだけど、運転が上手すぎて男子二人はシンクロ寝落ちしてた

デジタルタトゥーへの細やかな配慮

わんこそばとの戦い

 東北旅行のメインイベントの一つ、熾烈なわんこそば戦記をここに記す。
 わんこそばというのは、一口サイズのそばを店員さんがどんどん器につぎたしてくれて、満腹になって器を閉めるまでそれが続くという岩手のおもてなし。
 私たちが行ったのは「東家」という老舗のわんこそばの店で、盛岡市内に3店舗あって、店舗によっては予約が可能。
 食べ終わったお椀を積んで数えてくれるコースなのか、お椀は順次片付けられちゃって自分で数えるコース七日によって値段が違った。私たちは前者のコースで、大体一人4000円弱くらいだったかな。

わんこそばの心得3条(私たち調べ)

  1. わんこそばを食べる30分くらい前に少しだけ炭酸を飲むべし
     炭酸水で胃が膨らむことで、消化管の動きを活性化させ、わんこそばを受け入れる準備ができます。お腹膨れるほど飲んじゃダメだよ。対照実験をしてないので効果の程は不明です。

  2. 食べやすい服で行くべし
     Mちゃんは旅行に行く前から「わんこそばに行く日はこの服」とお腹の締め付けが緩い服をピックアップしてました。これマジで大事。

  3. 薬味をうまく使って
     わんこそばは途中から同じ味がしんどくなってきて急に「うっ」と来る。薬味をつけない方がお腹一杯にならないと思うかもしれないけど、上手に味変していかないとマジで受け付けなくなるから、薬味大事です。

薬味たち

お姉さんが励ましながら注いでくれる

 空の器を掲げることで、一杯一口くらいの蕎麦を、お姉さんがよそっていってくれるんだけど、「はいどんどん」「はいじゃんじゃん」「まだまだ行けます」とか声をかけながら装ってくれる。わんこそば大体15杯で普通のかけそば1杯分で、女性の平均が40くらいで男性の平均が70くらい(国試勉強頑張りすぎて忘れた)だったかな。
 100杯以上食べると手形で表彰してもらえるから、それ目指してみんなで頑張って食べた。

なかなか終わらせてくれない

 最初の説明で「食べ終わったら“店員の目の前で”空になった器に蓋をしてください」って強調されて、どういう意味なんだろうと思ってたんだけど、終わり際に意味がわかった。
 もう限界と思って器に蓋をしようとしても、店員さんがすかさず新しいそばを入れてくれて、なかなか食べ終わらせてくれない。
 100杯に到達したら「もう10杯どうですか?」120杯にいったら「123杯にしたら綺麗な並びじゃないですか?」とか言いながら杯数を稼がせてくれる、おだて上手。女子には優しく、男子には厳しい愛のムチを振るう素敵な店員さんだった。

「そういうこと言われると傷つきます」

 基本的にはわんこそばに時間制限はなくて、お腹いっぱいになった人から脱落していくんだけど、I君は一番最初にリタイアしてY君とMちゃんが死闘を繰り広げてるのを待ってるうちにお腹に余裕が出て来たみたいで、「今ならもうちょいいけるな」とか調子のいいこと言ってた。「お腹いっぱいになるまで食べさせる」というわんこそばのおもてなしの精神を蔑ろにする発言で、店員のお姉さんに「そういうこと言われると傷つきます」と言わしめてた。

戦果

 全員見事に100杯を超えて手形をもらえたけど、優勝したのはMちゃん、その戦績なんと123杯。これは本当にすごい。お見事。
 食後のデザートが、甘いみかんの上に謎の白いソースみたいなのがかかったやつだったんだけど、モテっとしててコクがあってすごく美味しかった。

積み上がったお椀と手形と謎のスイーツ

八戸へ

 ちょうどハンブレッダーズの新アルバムが出たタイミングだったから、タワレコに寄ってI君がアルバム(「やばすぎるスピード」)買って、車で流しながらドライブした。私は「いいね」と「東京」がめちゃくちゃ好きだったな。
 次の日朝から青森の八戸の有名な海鮮丼屋さんに行く予定だったので、八戸のホテルに泊まった。私はフェニックスキット使いたいくらい疲れ果ててたから、そのまま寝たけど、飲みに行ってた子達もいた。

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