古代遺跡に大はしゃぎ


アユタヤ駅に降り立つと、すぐに客引きのおっさんたちが群がってきてトゥクトゥク(トラック型のタクシー的なやつ)チャーターの勧誘に迫られた。

日本語表記での料金表を提示される。3時間で600バーツ(2160円)くらいだったと思う。

2000円程度で3時間も貸し切れるのだから、日本人の感覚だと十分安い。
だが旅行も後半戦になりお財布の中身が厳しくなっていた私は、節約のために自転車で遺跡巡りをするつもりでいた。

そのことを伝えるとおっさんどもは「わかってないね、兄弟」と、アユタヤの地図を見せてきた。

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おっさん「チャリで周るなんて無謀だ。アユタヤ観光は俺に任せな!!3時間コースならちょうど帰りの発車時間に間に合うぜ」

私「うーむ……」

酷暑の鉄道旅で疲れていたので、おっさんを頼ってみようかという考えが浮かんできたが、600バーツあれば美味しいものがいっぱい食べられる。

拒否し続けていると……


おっさん「じゃあ3時間で300バーツならどうだい」


とディスカウントしてきた。
これは安い!
実は事前にネットで相場をチェックしていたのだが、相場は一人500バーツといったところだった。
相場より格安だったので私は思わず「OK!」してしまった。

だがこの安さは怪しい。知らないうちにオプション料金とかガン積みされてぼったくられてしまうのではないか?

警戒し、先に代金を支払おうとすると、拒否された。ますます怪しい。


時間の都合上、3時間コースになってしまったが、これだと駆け足での見学になってしまい、しかもすべて周りきることはできない。
夜には遺跡がライトアップされるそうなので、余裕があればアユタヤで一泊とるのもアリだろう。
次にタイを訪れる機会があればアユタヤに泊まってみるか。

そんなこんなで、トゥクトゥクは発進した。


アユタヤという町は思いの外広い。自転車移動をセレクトしていたら地獄を見るところだった。

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遺跡にはまったく興味ない私だったが、実際に古代遺跡の数々に触れてみると未経験の高揚感がわきあがってきた。街中とは明らかに空気の質が違う。これがパワースポットってやつか。

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古代といっても400年くらい前のものだが、なんともいえないロマンを感じる。400年前にはここで実際に人々が生活を営んでいたと思うと不思議な気持ちになった。

遺跡がこんなに楽しいものだと知ってたら、カンボジアのアンコール遺跡で初日の出を見るプランを計画したのに。

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西日が強くなってきた頃、トゥクトゥクのおっさんは「食料品の買い出ししてくる」と言い、私を置いてどっか行ってしまった。
日本でタクシーの運ちゃんが同じことしたら大炎上だが、東南アジアの緩い雰囲気だとなんか許せてしまう。


一人になった途端、四方八方からトゥクトゥクやバイタクの勧誘がやってくるようになった。
いやらしい笑みを浮かべたトゥクトゥクババアなどが歯茎を剥き出しながらつきまとってきて、非常にうっとうしい。
それらを振り切って適当に寺院を訪れたりしてブラブラしてると、米や食材を買い込んだトゥクトゥクのおっさんが戻ってきた。

こういった食材はどこで買ってるのだろうか。タイのスーパーで食材を買おうとすると値段がくっそ高く、外食した方がずっと安上がりである。実際、この国ではあまり自炊する文化はないそうだ。
日本でいうなら、オーガニック野菜とか意識高い高級食材を好き好んで買う層が、タイのスーパーで買い物をする。このトゥクトゥクのおっさんがそんなスーパーで買い物できるということは、相当儲けてるに違いない。それだと3時間300バーツの実入りではとても間に合わないので、やはり私のような観光客からボッてるのだろうか。いや単純にそこらへんの汚い市場で買ってきたんだろうけども。

トゥクトゥクはアユタヤ駅に戻り、お支払の時間がやってきた。

約束の金額を渡すと、おっさんはどこかへ消えていった。特にそれ以上請求されることはなかった。

なんだ、普通に良心的なドライバーじゃないか。かなり安く走ってくれたのだから、ちょっとチップを渡してやるべきだったかな。


鉄道が来るまで時間があったので、駅周辺を散歩した。ゲストハウスが立ち並んでいる。バンコクと違ってのんびりした雰囲気で悪くない。

綺麗なねーちゃんが屋台で海鮮串焼きを売ってたので一本もらう。発展途上国で海鮮物ってなんとなく危険なイメージがあったので今まで遠慮していたが、この国に来てもう一週間以上経つ。そろそろ身体が適応してる頃だろう。
食べてみると生焼けで、辛い味付けがされていた。こりゃ不味い。

日が落ちて、バンコク行きの鉄道に乗った。往路と違って乗車率200%超えで、車内はすし詰めだ。
私は運よく自由席に腰を下ろせたので快適な復路となった。
夜なので窓からそこそこ冷えた空気が入ってくる。

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フワランポーン駅に帰ってきた私は、まっすぐ帰らずにヤワラートへ向かった。ここはヤワラートとほど近い。


昼間はおばあちゃん娼婦がいてドン引きしたヤワラート。
夜はどんな感じなのだろうか。昼でさえアングラ感溢れていたのだから夜はもっと楽しいに違いない。期待に胸が高鳴った。

つづく


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