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インボイスの経理コストと計算ミスと

会計事務所職員にとってのインボイス制度の弊害の一つ。
「科目と課税区分が一致しなくて、チェックしにくい」ということ。

消費税の計算をする際には、仕訳毎に消費税の取扱を入力していきますが、
消費税ミスの防止のため、「1科目1課税区分」が有用でした。例えば、
・水道光熱費  →  10%
・保険料  →  非課税
・租税公課  →  対象外、非課税
など。
科目別に集計表を出すと、すぐに間違った課税区分がわかります。
例えば水道光熱費に課税区分を入れ忘れて対象外として入力してしまった場合、
科目別の集計表を見るとすぐ間違ってることに気づけます。

軽減税率が導入され、飲食料品の譲渡と新聞等の定期購読は8%となりました。
これにより消耗品や交際費は標準と軽減が混在することになりました。
でもまぁ、これも何とか補助科目で対応ができる範疇でした。
例えば消耗品ならこんな感じ。
飲み物など  →  8%
それ以外  →  10%

ただ今般のインボイスで、更に免税事業者との取引を更に分けることになります。
例えば消耗品の科目の中は、
・10% (インボイスあり)
・8%(インボイスあり)
・10%(インボイスなし)
・8%(インボイスなし)
と4つに分かれることになります。
これだけわかれてくると、集計表などでの事後的な検証がかなり難しい。「1科目1課税区分」という管理が事実上不可能なケースが多くなります。
どう見直すかといえば、仕訳一つ一つを見直していく。更に請求書自体を見直していく。もしくは入力した人を信じる。(笑)

インボイスは適正な納税のために導入されるようですがそれは、
経理に関わる人すべてが、インボイスを理解して、ミスなく入力できるのが前提でしょう。
でも人は必ずミスをします。全ての会社がチェック体制を整えているわけではありません。
勉強しろ、会社が教育しろ、チェック体制を整えろ、会計事務所がよく確認しろ、と言われれば正論ですし、それまでですが。
ミスの起こりにくい制度かどうか?というのも一つの大事な視点じゃないかなと思う今日この頃です。

余談ですが一律5%とか8%のときは、かなり間違いが起こりにくく楽でした。
中小企業だと、決算書を見ただけで、大体納税額がわかっちゃいましたからね。



















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