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コンサルにおけるイケてる上司とイマイチ上司の違い

上司がイマイチだと、チームが機能不全に

先日、別チームが担当する案件の打合せに参加することがあった。そのチームのPMがクライアントに対して調査・分析に基づく提言を行う、至ってよくある光景である。

しかし、クライアントの反応はよろしくない、むしろ、あまり刺さっていない感じもするし、議論も発展しない、挙句の果てに、調査・分析結果に対して「これ、軸の設定が全然良くないのでは?」と言われる始末。そう、完全に失敗していたのである。

さて、このようなケースは時々発生する。そして、その場合、チーム内に不協和音が漂い始める。進むべき方向性を見失い、取り組む内容が裏目になり、チームメンバーのモチベーションが低下する、その結果、成果物の品質が低下する、といった負のスパイラルに陥り、チームが機能不全になる。

コンサルティングファームに限らず、様々な現場でこのような経験をした人は多いのではないだろうか。

イケてる上司の場合、チームの生産性は上がる

一方で、PMがイケてると、参画メンバーの生産性は向上しやすい印象である。当然、仕事は大変だし、キツイがけれども、何となく安心感を持ちながら仕事をすることが出来る。結果として、成果物の品質もまずまずのものが出来ることが多い気がする。それに伴って、クライアントとの打ち合わせにおいても、比較的議論が発展し、信頼されやすい傾向にあると感じる。

イケてる上司とイマイチ上司、根本的に何が違う?

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では、イケてる上司とイマイチ上司、一体何が根本的な違いとして存在するのだろうか。過去にイケてる上司・イマイチ上司両方を経験したことがある自分の感覚では、主に次の3つの要素が鍵だと考えている。

①:絨毯爆撃型⇒論点・仮説思考×右脳思考型の仕事スタイル
②:当事者意識の有無
③:プランB・Cを持つ余裕

①:絨毯爆撃型⇒論点・仮説思考×右脳思考型の仕事スタイル

1つ目は、仕事のスタイルが絨毯爆撃型ではなく、論点・仮説思考×右脳思考型である点。

「論点・仮説思考型なんて、多くの上司はそのスタイルではないか?」と考える人がいると思うが、意外と絨毯爆撃型の上司は多い。例えば、なんちゃって論点を立てる上司の場合、論点の精度が悪いため、結果として様々な内容を調査・分析し、やっと答えに辿り着く(結局、絨毯爆撃型になっている)ケースが散見される。

また、人によっては、「とりあえず、色々調べてみよう」というノリで仕事を進める人も多い。加えて、メンバーに「とりあえず○○について考えてみて」等の雑な振りをする人も多いのではないだろうか。大抵このような場合は上司自身が論点・仮説を整理できていない。そして、そのような場合にはチームメンバーが疲弊しやすい。

論点・仮説思考がしっかりしていると、目指すべき方向が朧気ながらも見えてくるため、心理的にも安心感を持ち仕事を進めやすくなる。このような状況であれば、作業量が多く大変であっても進めやすくなる。

また、論点・仮説思考に加えて重要なのが、論点・仮説思考に右脳思考が組み込めているか?という点である。「論理的には正しそう、けど、何か面白くない」という事象が発生するケースは多い。このような状態だと、仮に正しい・妥当そうでも、聞き手からの反応が微妙になりやすい。結果として、刺さらない提言になる。

特に日本は論理以上に感性を重んじる傾向もあるため、右脳思考の有無が効いてくるように感じる。(個人的にも、論理的に正しそうでも、面白みに欠ける内容は読む気が失せるので、この点は非常に重要だと考えている)

②:当事者意識の有無

2つ目は、当事者意識の有無である。
コンサルティングファームの場合、「AとB、どちらにしますか?」と判断を仰ぐスタンスのPMが割といる。事業の意思決定に貢献することがコンサルティングファームの提供価値だとすると、このスタンスは一見正しそうに見えるが、個人的にはこのスタンスは良くないと思う。

逆の立場になって考えてみてほしいが、クライアントはAとB、どちらに進むべきかを悩んでいる。そんな時、コンサルから様々な情報を提示されること自体は嬉しいが、それだけでどちらに進むべきかを判断できるほど事象は簡単ではないことが多い。そんな時に、様々な情報だけ提示して「AとB、どちらにしますか?」というスタンスで臨まれると、正直興ざめすると思う。

前述の別チームのPMも割とこのスタンスに近かったと思う。昨今、コンサルティング業界では業務支援・業務代替系の案件が増えてきたが、それらもこのようなスタンスに影響を及ぼしているのかもしれない。

一方で、イケてる上司は、「仮に自分がこの事業の責任者だったら…」や「自分が報告を受ける役員側だったら」等、自分が当事者だった場合、何を求めるか、それに対して成果物は要求を満たす内容か?等の視点で物事を考え案件を進めていた。

このスタンスの場合、クライアントとしては、「なぜ○○という立場を取るのか?」や「逆にこういう視点があるのではないか?」等、思考を深めることが出来、結果として良い意思決定につながりやすい。

③:プランB・Cを持つ余裕

3つ目は、プランB・Cを持つ余裕があるか否か。

プランB・Cとは、今進めているプランが上手くいかなかった時の代替案である。コンサルティングの仕事では、当初の計画から逸れる(=仮説が外れる)ことは良くある。(むしろ、仮説の通り物事が進むのは結構危険。)

その時に重要になるのが、仮説が外れた場合に如何に素早く次のアクションにつなげるか?である。そして、イマイチ上司の場合、この部分の見通しが弱い印象にある。つまり、当初計画から逸れる・仮説が外れてから、次に何をするか考える傾向にある。そのような進め方の場合、往々にして思考に余白が生まれにくく、切羽詰まってしまい、結果としてイマイチな成果物になりやすい。

一方で、イケてる上司の場合、仮説検証を進める際に、「もし○○が違った場合、次にどうするか?」や「検証が上手くいかない場合、どんな代替手段が考えられるか?」等の別プランを頭の中に用意しておく傾向にある。そのような代替手段が揃っていると、上司・メンバー共に安心感を持って仕事を進めることが出来、結果として成果物の品質も担保されやすい。

貴方が上司になった時、どちらになりたい?

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ここまで、イケてる上司・イマイチ上司の違いについて、長々と書き連ねた訳ですが、大事なのは、「自分がどちらになりたいか?」「その為に、如何なる行動をとるか?」という点。

イマイチ上司と一緒に仕事をすることになった場合、文句や愚痴を言うことは簡単。しかし、もし自分に圧倒的な実力があれば、そのイマイチ上司を退けて自分が仕事をリードし、クライアントに貢献することも可能なはず。しかし、それが出来ていないのは、自分にその実力が備わっていないから。

それを踏まえた時に、「自分が上司になった時、イケてる上司とイマイチ上司、どちらになりたいか?」を改めて考えてみてほしい。そして、イケてる上司になるための材料や機会はきっと周辺に既にあるはず。

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