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プロジェクトに現れる抵抗勢力への対処法

プロジェクトに抵抗勢力は必ず現れる

以前、質問箱に以下のような質問が来た。

プロジェクトにおいて、抵抗勢力が現れることはよくある。むしろ、無風状態でプロジェクトが進むことは珍しい。無風だと思っていたけど、実は嵐の前の静けさだったケースも考えられる。

個人的には、プロジェクトに抵抗勢力が現れることを前提に、プロジェクトの設計・管理を行うべきだと考えている。そうすれば、事前に十分な時間をとって策を練り、比較的適切な対応を行うことが出来るからだ。

逆に、無防備な状態で突然抵抗勢力が現れて、プロジェクトをかき乱されたと思った時は、抵抗勢力云々ではなく、自分のプロジェクトマネジメントスキルに問題があると考えるべきである。

なぜ抵抗勢力は現れるのか?

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では、そもそも、なぜプロジェクトに抵抗勢力が現れるのだろうか?大きく、抵抗勢力にも、以下のような思考タイプが存在しており、タイプ毎に異なる要因が存在すると考えられる。

1.「現状維持」思考
2.「追加作業拒絶」思考
3.「根拠なき否定」思考

タイプ1.「現状維持」思考

プロジェクトは、現状業務が抱える課題を解消する目的で開始されることが多い。そのため、既存の業務に少なからず影響を与える。例えば、新しいCRMシステムを導入するとなれば、既存のシステムとはUI/UXや業務フロー等に変更が発生するはずである。

プロジェクトの意思決定者である役員や部長クラスは、これら課題の解消に積極的である一方で、現場では現状業務のままでも特段問題ない(問題は0ではないが、今のままでも良い)と考えるメンバーがいるケースがある。

このような場合に、「現状維持」思考型の抵抗勢力が生まれる。この抵抗勢力は基本的には安定志向であるケースが多い印象である。そのため、変革等に対して疑心暗鬼になりやすい。また、現状業務に慣れていればいるほど、抵抗する力は強くなりやすい。

タイプ2.「追加作業拒絶」思考

プロジェクトは、従来存在しない価値や機能、ケイパビリティが生み出される。そのためには、一定の労力、つまり、作業が発生する。当然、プロジェクトメンバーが主体となり、それらの作業を担当する訳だが、プロジェクトメンバー以外(例えば、業務部門メンバー 等)の協力を要するケースがある。

こういった時に、その協力に応じることで、追加の作業が発生することを恐れ、抵抗するケースも考えられる。これが「追加作業拒絶」思考型の抵抗勢力である。

一般的に、これらのタイプの抵抗勢力は、現業で一杯一杯で追加作業を行う余力がない。そのため、新規プロジェクトによって、追加作業が発生するとなれば、当然拒絶反応を起こす気持ちも理解できる。

タイプ3.「根拠なき否定」思考

組織の中には、特に理由はないけれど、なんとなく否定する、といったタイプの抵抗勢力も時折存在する。そして、この手のタイプと真正面から衝突するのは得策ではない。

なぜならば、特段理由や対案がなく反対している(意思決定を行いたくない)タイプのため、プロジェクトを前進させるための建設的な議論や交渉材料を探すことが難しいからだ。

そして、この手のタイプは、重箱の隅を突き、プロジェクト推進を妨げる存在になりやすい。そのため、3つのタイプの中で、最も注意が必要な抵抗勢力である。

基本アプローチは、先手での対応+相手に合わせた対応

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では、これらの抵抗勢力に対して、如何にして対応すべきか?基本的には、プロジェクトの全体像を想定した時に、どのタイミングで誰から抵抗に合いそうか?を事前に想定し、それを解消するための施策をプロジェクト計画に盛り込むことが求められる。つまり、先手先手での対応である。

一方で、ただ施策を用意するのではなく、相手に合わせた策を用意する必要がある。先程も簡単に説明したが、例えば、このプロジェクトが成功した場合に与えるメリットを説明する場を設けたとしても、相手が「根拠なき否定」思考型であったら、何かしら重箱の隅をつつかれて、良い結果は得られないだろう。

では、タイプ毎に如何なる対応を行うべきか?

「現状維持」思考への対応

まず、「現状維持」思考型に対しては、変化することによるメリットを実感いただくことが重要である。例えば、「現状業務で想定される困り毎を整理し、それらを具体的にこういった方法で解消しようと考えている、実際に現在の業務はこのように変わると考えていて、結果として、皆様にはこんなメリットがあると想定している」、といった形で表面的なメリットではなく、彼らに即したメリット・利点を丁寧に説明する必要がある。

システムプロジェクト等であれば、プロトタイプの画面を利用いただき、UI/UXを体感いただくのも一つだ。実際に使ってもらうことで、案外悪くないかも、と感じて貰えれば、抵抗は弱まる。

「追加作業拒絶」思考への対応

「追加作業拒絶」思考型に対しては、極力、彼らに作業が発生しないよう、協力をアレンジする必要がある。例えば、「何かを記入いただきたいのであれば、彼らに記載いただくのではなく、ヒアリングの時間をとってもらい、記載はこちらで担う」。または、「記載する際も余計な判断・思考・手間を取らせないように、フォーマットに工夫を施す」等、彼らに最小限の協力で最大の効果を得られるようにすることが求められる。

ここで上げた内容は非常に小さな内容だが、実際にはこれが出来ていないケースも多い。つまり、依頼しているのに、大部分を忙しい相手に託している。むしろ、やってくれて当然だよね、ぐらいの勢いで依頼しているケースも見受けられる。それでは、協力は得られない。

「根拠なき否定」思考への対応

さて、一番厄介なこのタイプ。個人的な対応としては、相手にしないことである。しかし、プロジェクト推進上、調整が必要な関係者である場合、どうすべきか?直接この抵抗勢力を交渉するのではなく、この抵抗勢力の上位職へ交渉にいく、これがヘルシーな施策だと考える。

難易度は高いものの、上位職の方であれば、一定の良識はある。そのため、今回のプロジェクトの意義や目的、そして、そのために協力いただきたい内容と現状それが上手くいかない要因を説明した上で、協力を打診する。上位職の方から抵抗勢力の方へ直接指示が飛ぶと、なかなか反抗しにくい。

抵抗勢力も味方になれば強力な支援者に

ここまで抵抗勢力に対する見解を記載したが、抵抗勢力も味方につけると協力な支援者になる。強い矛を持つということは、同時に強い盾を持つことにも繋がるわけである。

参考書籍

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