『インファナル・アフェアⅡ 無間序曲』 『インファナル・アフェア』の続編。中年オヤジたちの存在感がイケメンたちを凌駕する。
評価 ☆☆
あらすじ
20世紀後半。ある香港マフィアの下っ端ラウは組織のボス・クワンの暗殺をする。次にラウに課せられた使命とは、スパイとして警察内部に潜り込むことでした。一方、警察側も香港マフィアに新米の警察官を潜入スパイとして送り込むことにした。
最近のテレビドラマは有名な映画のパクリであることが多い。もう当たり前のようになっていて話題にもならないくらい。多分、テレビ関係者にはプライドなんてないんでしょう。
ただし、僕が言いたいのはアイデアのパクリが悪いとかじゃなくて、面白くて、完成度が高ければいいんじゃないかということです。
潜入捜査官を題材にした映画はいろいろあるが、『インファナル・アフェア』ほどルック、脚本、演出、役者が個性を出し、独特の世界を構築している映画はそんなにない。
『インファナル・アフェアⅡ 無間序曲』は『インファナル・アフェア』の前日談の続編。意外と面白かったというのが正直なところ。特にアンソニー・ウォンとエリック・ツァンというオヤジふたりが圧倒的にいい。
この映画は2003年公開。監督はアラン・マック、アンドリュー・ラウ。前作と同じ。 アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、エディソン・チャンなどが出演している。舞台は前作の11年前。つまり前日譚にあたる。
アンソニー・ウォンは独特の存在感がある。顔が河野洋平に似ている。敵役のフランシス・ンの演じるインテリヤクザも悪くない。自分でバンバン殺しちゃうところが気になったけど、彼のように気弱そうで計算高いキャラクターは面白い。
観たひとならすぐわかるけど、この映画は完全に『ゴッドファーザー パート2』を意識している。冒頭、袋に銃を入れて撃つシーンを見た瞬間に「これから『ゴッドファーザー パート2』をやります」といっている。パクリじゃないか、といわれればそれまでだが。
音楽の使い方、ルックは才能を感じさせるし、話は1作目よりも粗いけど独特の世界観を保っている。
ただし、女性の描き方は相変わらず下手だ。『インファナル・アフェア』の時も女性たちは少ししか出てこなかったし、今回もファミリーを中心に据えているはずの女性たちが登場するシーンは圧倒的に少ない。無理して出すくらいなら、最初から出さないほうがいいかもしれない、という判断もあっただろうに。
裏社会の抗争劇なので銃はバンバン撃っているし、暴力シーンも多いんだが全体としてはクールな印象である。このあたりが『インファナル・アフェア』的世界の特色なのかもしれない。
『インファナル・アフェア』の時にキーパーソン探しのとき、アラン・マックでは? みたいなことを思ったが、今回の映画を見る限りではアンドリュー・ラウの影響の方が大きいのか。うむむ。判断が難しい。いずれにしても、このシリーズは面白いですね。
追記
あれからアンソニー・ウォンはハゲちゃったし、エディソン・チャンはスキャンダルで香港映画界を去った(すぐ戻ったけど)、エリック・ツァンも年を取った。なんか人生いろいろですね。
初出 「西参道シネマブログ」 2006-02-23
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