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Silent Streamer

2000年前後。
いわゆるネット配信者勃興期には雨後の筍の如く、沢山のネット配信者が現れてきたそうです。

個人的には…幸いなことに、オーディオ・インターフェイスにコンデンサーマイクを繋げて配信するまでもなく。yahooチャットやICQで見知らぬ人と話する程度で収まっておりました。

個人で開設するホームページが廃れて、Blog形式の隆盛と衰退。並行してYouTubeでの動画配信が一般的になってくると、2010年頃には配信の形も大手企業や専門業者の手により。美麗かつ有為な動画配信を楽しめるレベルになってまいります。

TV、ホントに見なくなりましたねぇ。(特に民放)

そうなってくると、配信勃興期から日頃の雑談配信してる人にとって立ち位置というか。まぁ、需要はあるから形を変えて残りはするんだけど。絶対数は少しづつ減って来てたんじゃないでしょうか。

で。先月初頭。配信界の草分け的存在の方、自宅孤独死。yahooニュースにも挙げられる、ちょっとした知る人ぞ知る一過性の騒動がありました。この方、セグメントは「おでんツンツン」とか「ドローン少年」の源流にある様な御仁だと認識しておりましたけど。

日頃の煽り配信が原因で、同業配信者から自宅来襲され。バールでマンションの扉を叩き壊されそうになったアノ方です。

こういうのは社会問題化する水面化の問題…みたいなことかしらん。何もすることがない時間。どこか人の不幸の覗き見的な、人間の本性に根ざす部分をくすぐられるところにマッチした内容の配信を楽しみにしてる人が、少なからず居ることを思わせてくれます。

LIVEではなく、他の配信者による一連の編集動画を見てるだけのワタクシの様なヒト。あるいはIDアカウントつくって、コメントを打って参加する人。茶爆(投げ銭)して配信者を沸かせるヒト。携わり方は色々ですが、そこそこ楽しみにしてる人も居たことを考えると。

一般大衆向けではないにせよ、娯楽的要素(麻薬性のある)は確かにあったと思います。

この娯楽的要素の根っこには、回転寿司の迷惑行為客とか。ホームレス女性に恵んであげると偽ってコンビニに行き、精算前に女性を置き去りにして突然逃げてしまうといった行為等々。

ニンゲン間の信頼原則…を冒す様を「笑い」の要素として受け止めてもらおうとするものと、その実、同じなんじゃないかと思えて来ます。

かのヒトは亡くなって後、かつての恋人がかのヒトの母親と通じて、消息を尋ねるべく。官憲に依頼(安否確認)して管理人による部屋の解錠で、その孤独死が判明したということでした。

ご本人、「配信しながら逝きてぇ」と嘯いてもおられましたけど。最晩年は明らかに脳梗塞の症状を呈しながらの雑談配信が主体でしたねぇ。

19年、20年もの間、配信を続けていると。
幾多の女性との刹那の出会いや別れ。見込みの甘さからくる自営業開設や閉店。(生活)資金援助者との決別と貧窮の有様。リアルに展開される人生ドラマが日々の配信で晒されていました。

「あぁ、ウナちゃん逝っちゃったんだ」と、小生が知ったのはyahooニュースからでした。ココ何年かの推移をまとめた動画を眺めながら…何人もの人が彼を知っていることがとても印象深かったです。

あれだけの迷惑行為を繰り返して、何度か警察にも逮捕勾留されつつも、続けることができた「配信者」というオツトメ。揶揄もし、批判非難もして…反面、経済的に支援もしちゃうオーディエンス。

つくづく、この国は平和な国ではあります。

語り手の亡くなったBLOGにSNSアカウント。見られることもなく公開されつづける写真や動画の数々。後世に語り継ぐべくもない内容のそれらは、有縁•無縁の境目を越えて存在し続けます。

ジブンに関わる情報ぐらい、せめて自分の意思で管理はしたい。SNSを使う上での最低限のモラル?は。その辺にある様な気がします…。

そんなことを、今はもう声なき人となったイチ配信者の逝去に思う。初夏の日でございました。

あんたたち、いーわね。いくわよ。
KP!