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4回の新規事業立ち上げを経験して見えてきたこと|新規事業部 部長インタビュー

新規事業部 部長
曽良 竜太

2007年、株式会社アイ・エム・ジェイ(現:アクセンチュア株式会社)に新卒入社。コンサルティングや経営企画室、新規事業の立ち上げなどに従事。2012年にエムスリー株式会社に入社し、医療情報専門サイトの運用チームリーダーを経て、2014年より株式会社ディー・エヌ・エーに参画し、新規事業責任者として保険のオンラインコンペアプリや、カードローンの与信サービスをリリース。
2021年よりZENKIGENにジョインし、新規事業部の部長を務める。

曽良(かつら)さんは、これまでのキャリアで4つの新規事業の立ち上げを経験してきました。本インタビューでは、これまでの経験から学び、新規事業の立ち上げにおける心構えなどについてお話しを聞きました。


3億円の損失からスタートした新規事業キャリア

ーこれまでのキャリアについて教えてください

新卒で入社した会社では営業に配属されました。営業では全く成果を出すことが出来ず、当時のグループ会社の経営者の方々にアポをとって会社がどういうメカニズムで運営されているのか?色々話を聞いていました。買う企業の気持ちを知りたいと思ったのです。そうしたら、当時目をかけていただいていたグループ会社の社長がグループ代表になるという時、「経営について知りたいなら社長秘書をやってみないか」と声をかけいただき異動しました。秘書というポジションではあるものの中期経営計画の策定やM&Aのデューデリジェンスの手伝いなどを行い、経営が何をしているのかを間近で勉強させて頂き、その後経営企画室を立ち上げをしました。その時、はじめて新規事業に携わることとなったのですが、大失敗。社会人3年目で3億円の損失を出してしまいました。

悔しくてしょうがなかったのですが、次のリベンジチャンスがいつ来るかもわからず、「こんなことになってしまったので辞めます」と言って次のチャンスを探りに行こうと思ったのですが、「辞めるというのは責任の取り方として間違っている。失った分は稼いでから辞めるべきだ」と言われ、コンサル部門に異動しました。そこで、本当に運良く良い案件に巡り合わせていただいたおかげで、半年間で3億円を稼ぐことが出来たので転職をすることにしました。

転職先は医療系IT企業で、そこで今もすごく成長しているサービスの運用チームマネージャーを経験し、その後メガベンチャーに転職しました。そこではアプリゲームの分析やレベルデザインを経て、3つの新規事業の立ち上げに携わっています。

ーそこからZENKIGENに入社されたと思いますが、入社の理由を教えてください

前職で最後に携わっていた新規事業が、コロナ禍で立ち上がりが上手くいかず、撤退することとなりました。立ち上げた後は中長期で投資が必要となる事業だったのですが、会社のビジョンに対して一致が無い事業だと短期的に見て儲かっていないからやめようと経営層がジャッジしてしまうことがあります。そういうのって本当に悔しくて。
これまでの経験から、事業を立ち上げることまでは出来るようになったと思っています。その中で、自身が次に事業を作る場所は、ビジョンに共感でき、自身がそこでチャレンジしたいと思えるかという軸が中長期で大切だと思い、ビジョンマッチを1番に転職先を探していました。

ZENKIGENの面接では「有史以来解決できていない課題はコミュニケーションであり、コミュニケーションをアップデートして、みんなの道徳の次元を上げることで、私は世界から戦争をなくしたい」という話を当時の面接担当者から聞いたんです。その時はどうやってコミュニケーションの課題を解決するのか?どうやってみんなの道徳の次元を上げるのか?そもそも道徳の次元とはなにか?それは戦争をなくすことに繋がるのか?全く想像つかず。(笑)

でも、ZENKIGENのビジョンはどうやってやるのか全くわからないけど、出来たらめちゃめちゃ凄いなと思ったのと、みんなが本気でやりたいと思っている事に惹かれ入社を決めたのです。
余談ですけど、当時小学2年生の息子にこの話をしたら、「最高じゃん」って言われたのも後押しになりました。(笑)

ーZENKIGENでは入社から新規事業立ち上げに携わっていますが、苦労したことなどありましたか?

最初の企画を練り直す時が一番大変でしたね。尖ったテクノロジーをベースにプロダクトアウトで作られたアイディアを、どのように世の中の課題にアジャストさせていくのか、つまりマーケットインに寄せたサービスにするにはどうすれば良いのか、正解が見えずにずっと考えていました。インタビューをして仮説を作って、またインタビューをして仮説検証してみたいなことをひたすら続けていましたね。後は、自分自身で正解を考え続けるためにも、「Why me」と言われる、このサービスを自分自身がなぜやりたいのか、なぜ自分がやらなければならないのか。その理由についても考え続けました。壁が多すぎて、意味付けがないと心が折れちゃうんですよね。

ー曽良さんの「Why me」、自分がやる理由はなんだったのでしょうか?

これまでありがたいことにいろいろなチームを持たせていただくことが多くて、そのチームを振り返った時に、私の場合は自分が何をやりたいのかということだけではなく、チームが重要なんだと思いました。僕自身良いチームで仕事をすることが楽しかったのはもちろんですが、チームのみんなが楽しく目的を共有しながら働くことができていると生産性も上がります。チームの良し悪しが、生産性を大きく左右するのであれば、全てのチームを最高のチームにすることができたら世界が変わるのでは、と思い、最高のチームを作っていくことが自分の役割だと定義しました。

経験するからこそ、生きた知識を自分のものにできる

ー新規事業立ち上げを中心としたキャリアから、どんな学びがありましたか?

めちゃくちゃいっぱいあるのですが、直近で思ったのは、事業の成功のためにどんなことが必要かを考えた時に、2つの大事な要素があると思いました。

まずは、当たり前なのですが、世の中の人が課題に感じていることを解決しなければならないということです。全体としてのビジョンをしっかり描ききることはとても重要ですが、そこだけで勝負をしてしまうとビジョンに対して共感する人だけにしか響かないので成功しにくくなります。そのため、必ず世の中の人が感じている課題を解決するということが必要です。
一口に課題と言っても、誰が抱えている課題なのか?それは現象じゃなくて課題なのか?本質的な課題はどれなのか?どの程度の痛みを生み出しているのか?の解像度を高く保つ必要があります。

もう1つは、「ストーリーとしての競争戦略」という本に書いてあるのですが、「賢者の盲点」という考え方です。全体を見た時と部分的に見た時に、どちらも合理的な場合は、みんなが良い事業だと思うので競合が多くなります。一方で、部分的に見て合理的でも、全体で見た時に非合理な場合は成功しないんです。全体で見ても、部分的に見ても非合理な場合はそもそもマーケットとしての価値がありません。

ここで大事なのが、部分的には非合理で、全体で見た時に合理的なケースです。この部分は、多くの人が気づかないマーケットです。全体を捉えることができていない人は、部分的に見て成功しないと思い、切り捨ててしまうので競合が入ってきにくくなります。このような「賢者の盲点」をついた方が我々のようなスタートアップでも勝てるチャンスが多いと感じています。

あくまでも最後はビジョンの達成に向けてという照準はずらさず、まずは足元で世の中の人が感じている課題を解決する手段を作る必要があり、それが賢者の盲点を突いたものであればスタートアップでも成長のチャンスがあり、そこで成長を続けていくということを繰り返すことでビジョンの達成に向かっていくというステップのデザインが重要だと思っています。

このような話は多くのビジネス書に書いてあるのですが、自身の経験として学ぶことで実感を持って捉えることができるのはチャレンジした人の特権です。その恩恵を享受できているというのは贅沢だなと感じています。

ー新規事業を立ち上げる時の心構えなどがあれば教えて下さい。

新規事業の成功率は6%ぐらいだと言われていますが、アイデアを思いつくところが100%で、そこから動いて作り出すまでが大体80~90%ぐらい、ローンチするのが47%ぐらいです。そして単月黒字になるのが20~30%、累計黒字になるのが10%強、会社の柱となるような事業にまで成長するに至るのが6%とかだった気がします。

このように見てみると、47%ぐらいはローンチするので、約2つに1つだということになります。「6%」と言うと、失敗してしまうのではないかという気持ちになってしまいますが、「約50%がローンチします」と言われたらやってみようかなと思いますよね。結果としてうまくいかなくても、ローンチすれば周りのフィードバックも得られるし、経験することで生きた知識として学ぶことができます。可能性が低いことと思わずに、学びがあると捉えて、どんどんチャレンジしていくことが重要だと思います。

インタビュー・文:ZENKIGEN広報担当

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