事務事業評価シートへの記入はどこが大変なのかを考えてみる

 他の事業のその後を調べてみようと思っていましたが、「中小企業者向け省エネルギー対策支援事業」の評価を経年で追っていくと、なかなか、興味深いです。又、”この仕事のどこが大変なのか?”という疑問が出て来たので、このことを考えてみます。
 記載内容を全部書いていくと大変なので、”目標値の設定”という項目に絞って見ていきます。
 なお、この事業のH27以降の変更点ですが、H28に「エコアクション取得事業者支援事業」と合併しています。環境局の他事業でも、事業合併があるので、おそらく、”事業数を減らせ”というお達しが出て、事業合併で形式的に員数を合わせたのでしょう。
 詳細は、こちらのHPから各年度の環境局の一次評価のページを見てください。

1 H27の目標値の設定理由
 特に記載はありませんでした。

2 H28の設定理由
 「省エネ機器更新を促進することで増加を目指し」とありますが、昨年度と同じ30tです。本来ならエコアクション支援事業分が加わって増加するはずなので、実質的には目標値の下方修正です。実績値と比較した記述だったのか?

3 H29の設定理由
 個別事業の目標値の積み上げで30tに設定した、という記載がされました。
「暫時、目標値の上方修正を行っている」とありますが、目標値は据え置きです。

4 H30の設定理由
 H29と一言一句変わらない記入内容になっています。目標値も”据え置き”です。

5 R1の設定理由
 事業が始まったH27~30の平均値としています。いつも思いますが、これだと”目標値”でなく、”予想値”になってしまいます。R2以降も直近何年かの平均値です。

6 どこが大変なのか
 1~5で見たとおり、前年度のシートや各数値の意味をきちんと考えて目標値を設定した、という印象は受けません。今回は1つの事業を取り上げただけですが、他の事業を見ても、同じような印象を受けるものがかなりあります。
 ”評価理由”や”課題と対策”という項目を見ても、文言を考えるのが大変だったろうなという感じはあまりありません。
 評価シートで担当者が記入する部分はそこまで大変なものとは思えません。しいて言えば、”新規事業で目標値を真剣に考える場合”(これも施策-事務事業の体系がしっかりできていれば必要ない話です。詳細はこちらの記事の図2へ)、”目標値をかなり下回った実績しか残せなかったが、ここは頑張ったから評価はそこまで悪くしません”とした場合の言い訳づくりが面倒くさそうです。
例:数値基準B→最終評価Aの言い訳
「委託業務の進捗管理を適正に行い、委託業者との連携を密にすることで、目標値には及ばなかったが、家庭から分別排出された資源ごみを確実に回収し、安定的な資源の有効利用が実施できた。」

7 多分、ここではないか
 担当者が記入する部分はそこまで大変ではないとすると、そこ以外の部分ということになります。ここで考え付くのが、事務事業評価シートと予算書の連携が取れていないことの問題です(詳細はこちらの記事
 静岡市のように連携が取れていないと、次のような作業が必要になります。

 個別の事業予算要求書を取りまとめて、予算書を作成して、執行、決算書を作成する。ここまでは通常の作業です。しかし、決算書を個別事業に分解する作業は事務事業評価を行うために新たに必要になる事務作業ではないでしょうか。私の記憶には、個別事業の予算要求書を書くときに、前年度予算の数値は書いても、決算数値を書いた記憶はありません。
 予算・決算の畑の仕事はしたことがないので、あくまで推論にすぎませんが・・・
 予算書と事務事業評価シートの連携がきちんとできている那珂市が、どなたかの記事の中で「シートへの記載はそれほど大変な事務作業ではない」と回答していたのは、このことを裏付けているように感じます。