自治体の行政評価と議会(その2)富士市の事例

 議会による事務事業評価の事例として、同じ県内の富士市の事例を見てみます。本当は議会事務局にメールなり電話なりで聴いた結果を記事にすべきなのでしょうが、とりあえず、ネットで拾えた情報から書いていきますので、正確性に関しては?がつくことを承知しておいてください。(富士市議会HP
 なお、富士市では、事務事業評価は実施しておらず、”施策評価”を行っています。(富士市HP

1 根拠となる法令
「富士市議会基本条例」の第10条に基づいて実施されています。
(決算審査)
第 10条 議会は、決算の審査に当たり、市長等が執行した事業等の評価(以下「議会の評価」といいます。)を行うため、市長等に必要な資料の提出を求めることができます。
2 議会は、予算編成に生かすため、議会の評価を市長に対して明確に示すとともに、予算に反映するよう求めなければなりません。
3 議会は、審査の内容を充実させるために、学識経験者等による専門的調査等を必要に応じて活用しなければなりません。
 時期的には、9月のいわゆる”決算議会”で行われています。

2 具体的な進め方
(1)各会派で対象となる事業を選定し持ち寄り、協議して対象事業を選定する。
(2)選定された事業に対して、行政が資料及び自己評価書を提出し、それを基にヒアリングを行う。
(3)決算委員会にて意見交換を実施
(4)市長に評価書を提出(会期末(10月))
 現・元議員さんのブログが主な情報源なので、不正確な部分もあると思いますが、大体、こんな流れだと思います。

3 評価書の内容
 簡素な内容です。ボリューム的にはA4半ページといったところです。
(1)評価結果(4段階)とその理由
(2)事業の方向性(5段階)とその理由
(3)翌年度予算への提言

4 評価書を見ての印象
・記載内容に数字がまったく出てこない
 定性的な記載しかないため、なぜ、この評価を下したかの理由が曖昧模糊なものになっている印象を受けます。この資料をわざわざ読む人は市政に関心が高い人である可能性が高いと思うので、具体的な数字の記載がないと、説得力と言う面で欠けるものがあるのではないでしょうか。
行政の自己評価書には数字が記載されています。
・議会ならではの視点をアピールできていない
 市の自己評価と議会評価が異なる事業が二つありますが、評価書には市の自己評価の記載がないので、そのことが自体がわかりません。
 行政と議会で視点や事業を見る視点や評価するポイントがどう違ったかということを明らかにすることは、二元代表制つまり議会の存在意義をアピールするよい機会だと思うのですが・・・
・評価に対して次年度予算で、どのような対応がされたかの情報提供がない
 これは私の調査不足かもしれませんが、評価がどう役立ったかを確認するためにほしい情報です。

 注文ばかりになってしまいましたが、希少な事例なので、充実していってほしいと思います。