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川の話

今年の夏もまた友人の実家が持つ山荘へ。今回は東京でレンタカーを借り、誘う友人を増量してみんなで行ってきた。

去年の山荘のエピソードはこちら


何やら今回は「川へ行く」という。そのための装備を持ってきてねと旅立つ数日前に言われて慌てる場面もあったが、各々いい感じに整えてこれた。

川へ行くパーティーは総勢8人ほど。隊長は川の場所を唯一知っている友人の母だ。

前の晩には、川遊びのためにソールがフェルトになっている靴を買った(高かった)とか、川のコンディションは当日行ってみないとわからないとか、川をどんどん登るから行けそうな人は登って登らない人は下のほうでゆっくりするといいとか、色々話してくれた。

で、隊長の口ぶりからすると、現地はまあまあ秘境のようだった。



当日はコンビニに立ち寄って各々お昼などを買ったあと、山道の入り口にあたる駐車場に到着。これから山に入りますという入山届は隊長たちが出しに行ってくれた。

じゃあ出発しますか〜とぞろぞろ歩き出したところで、友人の一人が持ってきた虫取り網でそのへんにいたトンボを早速捕まえた。

「いや、川まで行ったらトンボなんて山ほどいるでしょ」などと、みんなトンボに興味も示さず放ったらかして先へ向かったものの、結果的にトンボを見かけたのはこれが最初で最後になった。川にトンボ全然いなかったな。

大人一人分くらいの幅の山道を20分ほど下っては上っていく。周囲の草が背丈くらいあるので、なんとなくトトロっぽいと思った。足元には時々ぬかるみや頼りない橋が存在していた。登山靴があると理想だったが、川へそのまま行く用の私のサンダルでもまあ歩けた。次第に水音が大きくなってくる。


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滝についた。高さ数メートルはありそうだ。この上流側へと山道から降りられるようになっており、ファミリーが2組くらい遊んでいた。小学生くらいの子供もいたので(これでも秘境なんだ)と一瞬思ったものの、水が表面を流れている岩場をちょっと登っていくと、あっという間に私たちだけになった。


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最高。


聞こえてくるのはひたすらに水の流れる音のみ。私たちが出す物音や話し声も、ほんの少し離れるとあっという間に全てがかき消されてしまう。比較的平らな岩場に荷物をまとめ、ベースキャンプ的なものとした。隊長のダチのギャルと友人は山荘から持参したバズーカみたいな水鉄砲をいきなり盛大に撃ち合ったが、その光景があまりに良すぎた。あとそのまま書いたけど「隊長のダチのギャル」って表現はどうなんだろう。


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コンビニのサンドイッチやおにぎりもここで食べると何だかうまい。テンションが上がってとにかく写真を撮りまくった。周囲のあらゆるものが絵になる。天気にも恵まれたし、メチャクチャ気分がいい。こんなことあるんだ。

一息ついたあとは、とにかく沢登りがしたい隊長一行と、危険の少ないベースキャンプでゆっくり遊ぶ班で自然と半々に別れた。最初私は残ったが、あっという間に見えなくなった人たちの様子や上流への興味もあって、少しだけ追いかけてみた。するとすぐに360度どこにも、だーれも見えなくなって、壮観だった。


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やがて隊長の息子が遠くに見えた。もう隊長基準で説明し始めてるな。隊長の息子と合流してからはしばらく一緒に登った。思ったよりも私のサンダルはグリップが効いたので、これ下りのほうが絶対おっかないよな〜と思いつつ、結構スイスイ行けた。楽しい。隊長一行は全く見えない。

さすがにこれ以上登ると帰るのが大変になりそうだと思い、追いつくつもりでいる隊長の息子とは途中で別れた。まさかこれが最後の別れになったりして、なんて思わず想像してしまうシチュエーションだ。


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やはり思った通り、登るのと下るのでは大違いで、スイスイ行けた岩場もだいぶ様子が変わってくる。じっくり時間をかけてルートを見極め、無事にベースキャンプへ帰還できた。私が一人で戻ってきた様子を見て「なんだか怖かった」とある友人が言った。その感覚すごくわかる。

隊長一行はまだまだ帰ってこなさそうだったので、何人かは持参していた本麒麟を清流で冷やして、ちびちびと飲んだ。こんな最高のロケーションで酒を飲むことは後にも先にも無さそうだ。また川のいい感じの場所に置いておけば余裕で冷えるにも関わらず、私を含めた酒チームはさらにサーモスの缶クーラーを持参していた。酒へのやる気よ。


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それからはまったりと過ごしてけっこうな時間が経ち、みんな川にもさすがに飽きてきて、若干量のアルコールさえも抜けた頃、ようやく隊長一行が息子ともども帰ってきた。どうやら上流にもう一つ滝があるらしいと聞いていてガンガン進んだものの、登っても登っても滝は結局見つからなかったとのこと。そして荷物を抱えてサクッと撤収する。

帰りの山道では友人が水鉄砲の水を使い切るようにそこらへんの木とかを撃ちまくっていたが、駐車場に着いた時点で何人かは足が泥まみれだったので「ここで水鉄砲使えばよかったね」と誰かが言い出して、うわ〜確かに〜!となった。

丹念に泥を落としてから、予定通りすぐ近くにある温泉へ。川の水が冷たかったのでこのままだと風邪を引く雰囲気をひしひしと感じていたが、温泉であたたまったら完全に無事だった。

清流での川遊びからの温泉、天然の交互浴的な喜悦がある。



東京に帰ってきてから、川で撮ったせせらぎの動画を職場で何回も再生して見ていた。たくさん撮っておいてよかった。絶対こうなると思ってたんだ。

そして見るたびに、また夏になったらあの川へ行きたいな〜と考えている。あれは夢だったんじゃないかというほど何もかもが美しくて、いや実はあれ全部夢だったんです!って言われても、あーやっぱそっか〜って納得してしまいそう。友人たちや隊長やギャルなど、登場人物の絶妙な脈絡のなさも夢っぽい。

まあ、どのような場所か立地も含めて把握はできたので、次回はもっと装備を完璧にして行きたいなと思う。隊長が沢登り用の靴を奮発して手に入れた気持ちも今となっては完全に理解してしまった。

そういえば川からの帰り際、滝の上流から山道に戻った私たちを尻目に、隊長だけはどういうわけか滝の脇を??通って???えっそんなところ行けるんだ、みたいなところからずんずん上がってきたんだった。強すぎる。


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