続・在宅勤務の話

在宅勤務に突入して4ヶ月ほど経ちました。かつての生活が思い出せないレベルにまで馴染んでいます。

3ヶ月前に書いた前回、そろそろ続きを書こうかと定期的に読み返していたんですが、緊急事態宣言中に読み返したときには「呑気に外へお昼に行ったりしていて、僅かな時間しか経ってないのに隔世の感がある」という感想を持っていました。今はそうでもないですね。あの頃の緊張感は本当にすごかったなと思います。

在宅勤務の目処がついたら続きを書くぞとは思っていましたが、やはり目処はつかないので、こうしてまた現段階のやつを書いています。


在宅勤務に関して言えば、やることは前回と何も変わっていません。自宅の環境を試行錯誤して、例えばデスクに無印良品の収納ケースを積んでスタンディングデスク化するやつをやってみましたが、結局低くて腰が痛いので今は普通に座ってやっています。恋人は相変わらず始業時間に起きます。

今回の件で、私も恋人も出社する必要性がほとんどない業務だったということが少なくとも明確になりました。緊急事態宣言が明けたところで勤務状況に変化はありません。行かなくて済むならそれでいいよね、みたいな環境にたまたま籍を置いている感じです。今後は未知数ではあるものの、ありがたいことです。もう戻れる気がしない。

それぞれ一度ずつだけ、大した用事ではないながら朝を避けて出社したタイミングがありました。私は緊急事態宣言が明けたある日のことでしたが、次にデスクへ来るのがいつかわからないので私物を全て撤収して、ただその日は手持ちのタスクが重かったので半日デスクで最後まで仕事しました。

で、やってみて思いました。「家でよくない?」モニターはでかくて椅子も立派だけど、Macbook一台でやれるように少しずつやりくりしてきたので、作業効率はすでにほとんど変わらないと感じました。

職場でのパフォーマンスを100としたら在宅だと60〜120と前回は書きましたが、今は100〜150出ている気がします。一方でサボる時間も増えましたが、集中してやるときは捗るのでそれでいいのです。メリハリです。


Nintendo Switchを手に入れました。前回も買ったと書いてましたが、あの時はまだ手元に届いていませんでした。届いた瞬間から「あつまれどうぶつの森」を開始して、すでに3ヶ月近くやっています。

Switch本体は恋人と共用のため、あつ森の仕様上同じ島に住む別々の住人として遊んでいます。これにはちょっと葛藤がありました。簡単に言えば、恋人は散らかすタイプで、私は片付けるタイプです。現実もどうぶつの森も、これは変わりません。

私としては、ビシバシに管理した整然とした島を志向しがちなのですが、恋人は色んなものを家の前に放置したりして、私からするとだいぶ散らかっているように見えます。正直これが、慣れるまでしんどいものがありました。今はもう「そういうものだ」と納得しています。二人の島ですからね。

遊ぶスタイルとしては、友人やよその島との交流はやや控えめ。私がなんとなくいい感じを目指して島を改造しつつ、恋人はひたすらレア花を生み出そうとしている感じです。意見が衝突したことも色々ありましたが、それを差し引いても家にいるしかないタイミングであつ森に夢中になれたことは、二人にとってめちゃくちゃに助かっていたと思います。今も毎日やってます。


ブルーインパルスが飛んできた日がありました。すでに遠い記憶にも思えますが、偶然にも我が家からは飛行ルートの何割かが見えました。飛ぶこと自体にいろいろな意見があったかとは思いますが、それはそれとして、見えた瞬間は非常に盛り上がりました。

編隊を組んで飛行機雲を放つ5機と、その少し後ろにいる僚機が1機。事前に公開されていた飛行ルートどおりに東京上空を旋回して見えなくなり、また見えたと思ったら猛スピードで去っていきます。やがて轟音を立てて近くまでやってきて、出していた飛行機雲を止めるタイミングまで見えました。旋回時、ちょうど陽の光を浴びて機体が輝くのが美しかった。ほんの20〜30分間に東京上空を2周していて、東京をこんなに狭く感じることがあるんだと思いました。

最初にも書きましたが、やはり外に出てはいけない風潮がピークだった時の緊張感は凄まじかったように思います。ちょうどブルーインパルスが飛んでいたころ、ピークを避けて21時過ぎにスーパーへ向かうと、すでに街は深夜のような静けさに包まれていました。スーパーの棚は所々がガラガラで、欲しいものが何日も見つからないことはざらでした。

私たちは二人とも在宅勤務ができていて、比較的生活に支障が少ない状態ではあります。仕事の手を止めて、ブルーインパルスを夢中で眺めるひと時を持つことができました。そして前回は24時間一緒に過ごしててもそこまで負担ではないとも言いました。が、やはり外に出ることすら満足に叶わず、それが1ヶ月以上続いていたこともあって、フラストレーションが溜まってきた時期はずっとピリピリしていました。普段なら愉快だと思えるような言動に苛ついてしまうことがあり、酒を飲んでいるうちに口論っぽくなってしまうこともありました。

私は確実に一人の時間がほしい側の人間ですが、恋人は日頃の言動などからそうではない側の人間という認識を、おそらく私だけでなく恋人自身も持っていたように思います。だからまあ、私が買い出しや散歩にでも出て一人の時間を捻出していけばいいかなと思っていたんですが、どうやら恋人も一人の時間がわりと必要であることが、このストレスフルな状況になって初めて理解できてきました。

で、私はそれがわかった瞬間、ストレスの何割かがすーっと軽減した感覚をもちました。なんとなく私だけが割りを食っている印象が正直あったのですが、実は二人とも同じだとわかったことで、一気に見通しが立ったような前向きなビジョンを得ました。ストレスはその原因がわかるだけで負担が軽くなるものだとあらためて感じます。私がのんびり外へ出ている時間が、恋人にとっても息抜きになる側面があると理解できたことは収穫でした。


最も大変だった時期はなんとなく過ぎ去って今があります。おそろしい勢いで社会が変化していますが、私たちにも色々な課題や収穫があったように思います。もちろんそれは、どうぶつの森やブルーインパルス、その他多くの書ききれないものたちに助けられて、乗り越えられた部分があるはずです。

最近の生活面のアップデートとしては、梅雨に備えて除湿機を買ったり、あとは新しい服やサンダルなどを買ったりして、ぼちぼち日常が戻ってきています。動かしやすいソファが欲しいなと思いつつ、例の10万円は住民税で全てふっ飛んだためどうしたものかと思っています。

ずっと家にいるからと勢いで手に入れた角瓶(ウイスキー)の業務用5Lボトルは僅かな期間で消滅しつつあり、ついでに味にも飽きてきたところですが、なんとなく外へも飲みに出られるようになってきたことで救われています。久しぶりに餃子の満洲で生ビールを飲んだときは、久しぶりに生ビールを飲むことなんてあるんだと思いつつ、得難いタイプの感動があったように思います。数ヶ月ぶりに行った鳥貴族では破裂するほど食べてしまい、〆のとり釜飯までたどり着けませんでした。無事再開できた友人の店で一杯やっていたときは、こみ上げる感情がうねりを上げていました。偶然友人に会えたケースが何度かあって、どれも嬉しいものでした。

在宅勤務の状況もそれ以外も、まだまだわからないことのほうが多いのが現実ですが、やはり適応しつつやっていくしかありません。前回は最後に「生き延びる」という表現を使いましたが、今は生き延びるというより、この中で生きていくフェーズに移りつつあるように思います。この激動の時代にいられることの面白さを、できるだけ味わっていきたいですね。

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