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青い光/ブルートパーズ

 昨日は動画配信の日だった。11万人の肉体のない視聴者が聴き入っていたが、現実界の視聴者は約2名であった。配信のあと視聴者たちからうねりのような、うずのような反響があり、わたくしはかなり訳が分からん賛否の中で、よくわからない説明のつかない感覚になり、どこに身をおけばよいか分からず、とりあえず茶を飲んだ。
 そのあと君とセックスした。46日ぶりだったので激しかった。
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 わたくしという存在は君という青い光に照らされたときいちばん見える。わたくしが君に魅了されるのはなぜ?わたくしを照らす青い光はわたくしという存在を単なるモノから動く光に変えてくれる。わたくしの光は何色か自分では見えないが君の光でわたくしが光りだすのは分かる。
 わたくしが求めれば求めるほど光はかすかすぎてわからなくなりわたくしはわたくしを見失う。だからわたくしが魅了されてることにもわたくしは制御をかけなければいけない。
 わたくしという存在はあまりにもモノすぎるから光はすぐそこにあるのに君という肉体を占拠したがる。
 わたくしという存在は君と同じ光で本当は光と光が共鳴してれば距離は関係ないだろ、と、わたくしはいつもわたくしに制御をかけなければいけない。
 例え、肉体の距離を0.00001ミリに近づけたとしても君の精神が0.00001ミリに近づいたことにはならないだろ、と、わたくしはいつも制御をかけなければいけない。
 君の裸を上から下まで舐め回したら君のかすかな光は消えてしまうだろ、と、思いながら、君の両手を握ってその花弁にキスした。君は悶えて体が収縮する。こんなことをしてはいけない、と、君も思うし、わたくしもちゃんと自分に制御をかけなければいけない。
 だけれどわたくしはずっとずっとその一言が君の口から発言されるのを待っている。ずっとずっとそれまではわたくしは決してその先に進まない。ずっとずっとそのまま進まない。君の口からその一言が、わたくしの求めるその一言がしっかり発言されるまで。その通り。分かっている。こんなことをしてはいけない。わたくしは制御をかけなければいけない。
 入れて
 聞こえない
 入れてください
 わたくしは君の心を破壊しているのだと、このような非常なる罪悪感も、君の心を征服したつもりになってよろこぶわたくしの欲望の前にはまったく無力なのであって、そのようなことをしてはいけないことは分かっている、分かっているし、わたくしはわたくしの欲望に制御をかけなければいけない。でもわたくしはわたくしを制御することができない。
 君はイき、わたくしは君の顔にほとばしった体液をティッシュペーパーで拭き取っている。君は口を開けたままイっている。鼻の穴にも入ってしまった。さあ、しずかに眠ろう。
 余談であるが、わたくしは君がイった顔を眺めるのが好きだ。ずっと眺めておきたい。わたくしはかなりの君のイった顔コレクションを所持している。誰にも見せることはできない。
 朝起きると君はもうおらず一階に降りると君は台所で味噌汁を作っていた。わたくしという存在は君のエプロンの下のジャージをパンティーごとくるぶしまでずり下げたい衝動を抑えることに集中しなければならなかった。それをやってしまったら全部取るまで終わらなくなってしまうからである。わたくしは、おはよう、と何食わぬ顔で挨拶をかわし早朝のキスをした。そのあと飯を食った。そして会社に行かなければいけない。
 いってらっしゃいのときにまた、いつもの衝動が始まる。制御できる時もあるしできないときもある。今日は、わたくしは君の微笑みを3枚、スマホに収めた。会社で眺めるためである。
 わたくしは、いってきますのキスをしたあと外に出るときに思う。ああ、君がそのままの姿で開いた玄関のドアの外まで見送りに出てきてくれたら、と。わたくしはドアを開けたままにして住宅街の道から見える4枚目のほほえむ君をスマホに収めた。

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