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プロヴァンス想ひ出紀行「ひとり蜜月 ハニームーン」

-トスカーナ想ひ出紀行の続き-

ジェノヴァからニースに移った。プロヴァンス旅が始まる。陽光降り注ぐ春の地中海、美しい街並み。上質なワインを飲んでいるが如く、余りにも煌めきが多く悩みが忘却される街、ニース。ごちそうさま、ニース。美麗過ぎて、平民の私は落ち着かない。ニースから日帰りでモナコにも一応行ってみたが、ニースよりも落ち着かない。モナコは10分だけ滞在し、逃げるようにニースに戻った。

地中海沿いのキラキラ都市から、少し内陸に行く。超有名観光地アルルに来た。歴史と伝統、そしてゴッホゆかりの街だ。冬が明けた南仏、春祭りが催され賑わっており、観光客もやたらと多い。観光案内所でホテルを探してもらったが空きがない。粘っていたら、やっとの思いで予約が取れた。そのホテルの部屋に入ると、思いっきりゴッホ部屋。俗っぽさが気持ちいい。

アルル 春の音楽祭り

貸自転車でゴッホの聖地巡礼をした。ゴッホの風景画の題材を実際に見て、絵と照らし合わせて満足感を得る、という行いだ。おにぎりを見て山下清に思いを馳せることと原理は同じである。ドーデ作「風車小屋だより」の風車も見た。また、円形闘技場を訪れたら、ちょうど復活祭の初日に闘牛が催されるとのことで、運良く闘牛観戦もできた。

跳ね橋(復元)                      アリスカン
 病院の中庭       ドーデの風車
アルル円形闘技場 4景

充実したアルル観光をした後、マルセイユに出向いた。マルセイユ発祥のブイヤベースをいただくグルメ紀行だ。マルセイユ湾を臨むレストランでブイヤベースをいただく。ブイヤベース、要は、気まぐれ漁師の今日のおすすめ魚介鍋だ。仏式牡蠣の土手鍋と言ってもいいか。不味いわけがなかろう。

プロヴァンス旅の最後はエクサン・プロバンスに滞在した。街並みの雰囲気が明るい。この街は、「クイズ私に聞きました。住んでみたい街ランキング」の上位に入る素敵なところだ。セザンヌゆかりの街でもあり、セザンヌが数多く描いたサント・ヴィクトワール山が近郊にある。

エクサン・プロバンスの街並み

山...。岳人としての血が騒めいた。貸自転車でサント・ヴィクトワール山に向かい、軽く登山をした。天候が良い、空気がきれい、水がうまい、車が少ない、強風はない。道中のサイクリング環境が良すぎだ。

南ウェールズ旅で出会ったNさんがきっかけで海外移住を想定している中、エクサン・プロバンス移住を夢想した。旅を終え帰国した際に、フランス移住についていろいろ調べた。フランスはビザのハードルが高過ぎだ。くぅ〜。
※南ウェールズ旅につきまして、拙文『南ウェールズ想ひ出紀行「Nさんとニールジェンキンスさん」』をご覧下さい。

サント・ヴィクトワール山

そろそろ、マルセイユ発ミラノ経由成田行きの捕鯨船アリタリア号が出航する。2週間ほどのトスカーナ・プロヴァンス旅が終わった。ミラノやフィレンツェ、ニース、アルルなどの素晴らしい観光地を巡った今回の旅、まるで新婚旅行のルートだ。ひとり密月紀行。ひとりハニームーン。観光に励み過ぎて、忙しい時間を過ごしてしまった気がする。理想の旅を探す旅はこれからも続く。

乾季の涼しさが終わった破滅的な曼谷にて
2024年1月 全裸紳士

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