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私が殺した少女/原尞

いつもお読み頂きありがとうございます。
全力教室 古川でございます。

今回は無料公開で読書感想文を書こうと思っておりますが、話しの展開を事細かに説明して、その度感想を書く。
う~ん、読書が仕事でもない素人の私の解説読んで、誰が面白いのでしょうか?
そもそも内容に興味があれば、ご本人が読まれたら良い訳だし。
私は本のあらすじを語るより、読んだ中で共感した考え方や、今後の自身の糧となった箇所を感想を交えながら書きたいと考えております。
関心のない方にはこれ程関心の持てない読書感想文はないかもね。
それでも是非どうぞ!

母からの勧めで、原尞さんのシリーズを熟読しております。
ネットで調べたところ、ハードボイルドとは何ぞやを日本に定着させた、偉大な作家でした。
経歴も相当変わっており、ジャズピアニストからスカウトでデビューされたそうです。

インターネットの中だけを見ていると、それ程に世間で有名な作家ではなさそうです。
ただ、余り身内を褒めるものではありませんが、母が私に勧める小説のセンスは、度肝を抜かれるほど素晴らしいのです。
人には一長一短ありますから、一長を言っているだけで、母親をべた褒めしているわけではございません。
ノン!マザコン!
心震えたな…今後の人生で必ず活きるであろう考え方を知れたな…。
このように思えた作品ばかりでした。
これはインターネットでは解決する事のできない、本当の読書家が教える最強のアナログ術です。
母の勧めてくれる作品には、心から感謝しております。

原さんはデビューが遅かったとはいえ、生涯で発刊された総冊数も少なく、本当に自分が面白いと思った内容を、自分の書きたい時にだけ書かれたように思われます。
皆しも望む書き方だとは思われますが、収入の面や締め切りがあり、そうは出来ない作家さんがほとんどだと思われます。
なので、ある意味理想的であり天才の書き方だと感じました。

原さんの作品は主に沢崎という私立探偵が軸になり、周囲で起こる事件を解決していきます。
設定は在り来たりではありますが、何といっても沢崎の人間性・精神性が抜群です。
嫌味で根性の悪く、それでいて頭の回転は速く自身の信念は絶対に曲げない。
公権力や反社会勢力との対決や押し問答は、読みながら心の奥をゾクゾクとさせるものがあります。
応援しちゃいますね、いけいけーっと。
札束で頬叩き懐柔を促されそうものなら、怒髪天をつくほど怒り、今でいう圧倒的な論破でねじ伏せます。
ほんま気持ちいいっすねー。
感情的になった時ほど人の言葉って稚拙になりますので、怒りを感じても如何に平静を保ち、冷静な言葉で返す必要性があるのかを感じさせられます。
私自身激情的な一面を自覚しておりますので、身に染みるお説法のようにも感じますね。
なむ~~~。

その時の時代背景もありますが、原さんの作品はとにかく喫煙シーンが多い!
ご本人自体相当な愛煙家である事が伺えます。
カテゴリーはミステリーなので、何事にも伏線があると考えながら読みますが、喫煙シーンだけは物語りの謎に何一つ関係はありませんでしたね。
それ程に愛煙への感情が伝わりました。
今でこそ社会悪の一つのように言われておりますが、というか、副流煙は他人の肺に悪影響を与えますので、他害行為である事に違いはありませんよ。
ただ、他人への配慮は喫煙でなくても、出来る人と出来ない人は居ります。
喫煙が社会悪なのではなくて、何時でも悪いのは道具ではなく扱う人。
私の顧客にも喫煙者は居られますが、全員他者への配慮は出来る方ばかりです。
自身への健康被害、他者への他害効果がなければ、私も喫煙しているかも知れません。
特に主人公の沢崎は非常にヘビースモーカーで、また美味しそうに吸うのです。
事の展開のキーになる箇所では必ず喫煙しますので、これが何とも渋くてですね。

江戸時代の落語の描写で、キセルを吸うシーンはよく登場します。
描写術の上手い落語家さんほど、何とも美味そうに吸うのですよね。
「おう、どうしたハチ!?す~~~、すぱ~~~~~。灰を囲炉裏にとんとん!」
てなもんです。
渋いな~、激渋。
キセルは紙たばこと違って紙を燃やさないので、臭いもあまり出ないそうです。
格闘技止めたら嗜好品としてキセルデビューしちゃおうかしら♪
あ、今のところ生涯現役で格闘技教室のスパーリングに入り続ける事が目標なので、止める=寿命の全う。
やはり無理かな?

喫煙シーンがとんでもなく多く、物語の進行とは全く関係ありませんが、作家本人の嗜好なので、それは個性として読み込んで良いと思われます。
反社会的勢力とのやり取りも抜群ですよ。
ヤクザは他人に迷惑を掛け他人を傷付ける存在であるとハッキリと伝えながらも、情に訴えられると無下には出来ない。
まあ訴えられている際も、これでもかと辛らつな言葉で打ちのめしますし、痛快極まりなしですが。
ただ、本当の、本物の優しさとはこうであるのではないかと、考えさせられます。
それが一言で表すと、ハードボイルドなのかも知れません。
渋さに憧れを持った独身男性にとって、私立探偵の沢崎は至高の存在であるように感じました。
あれ?私にドストライクやないか。

原さんの作品は残すところ後2作品となりましたが、全てを熟読し、身体に沁み込ませ糧にしたいと考えております。
軽く読まれたい方には少し重いかも知れませんが、読まなくても良かったは決して思わせない作品です。
是非。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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