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「町の鉄工所が溶接のテーマパークを全国にフランチャイズ展開!」株式会社長田工業所 代表取締役 小林輝之さん

●enmonoとの出会いについて

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三木:小林さんお久しぶりです。お元気でしょうか。

小林:はい。年だけ取ってます。

三木:小林さんがzenschoolを卒業したのは今から5年前?

宇都宮:2015年ぐらい?

小林:14年。6年前。たぶんそんなぐらい。

三木:このインタビューの趣旨は卒業してその後いかがですかということで、皆様の活躍ぶりをお伝えするインタビューになっておりますけども。6年前に初めて我々のほうに…あれは何かを見てご連絡いただいたんでしたっけ?

宇都宮:本を読んだんですよね?

小林:『マイクロものづくりはじめよう』を。

三木:『マイクロものづくりはじめよう』を読んでご連絡をいただいて、大森でしたよね?

小林:はい。大森です。

三木:すごいあの時7回ぐらい連続でしたっけ?

宇都宮:8日間ぐらい?

小林:2日を4回に分けたんでしたっけね。

三木:よく通っていただきましたね。

小林:そんな県外に勉強に行くっていう経験がその当時は全くなくて。

宇都宮:そうなんですか?

小林:そうですよ。初めてみたいなもうえいやっていう気持ちで大森に乗り込んでいきました。

●zenschoolでの思い出

宇都宮:何か記憶に残ってることってあります?

小林:宇都宮さんに詰められた記憶しかないっていう…

詰められる

宇都宮:嘘(笑)?

三木:遠くから4回も来られて。

宇都宮:しかも詰められる(笑)。

三木:大変でしたよね。大変だったっていう思い出がある感じですかね?

小林:はい。今までと何かもう考え方が全然違うところに。

三木:出てきたコンセプトは最初火祭りだったんだよね。本人はあんまり腑に落ちてない感じだったんだよね。

小林:そうですね。発表会で火祭りっていう感じで気分を盛り上げて発表したつもりなんですけど、その時はいけるかなってチラッと思ったんですけど、ちょっと無理しすぎかなっていうところで考え直してトーンダウンして。

発表会

三木:火祭りのコンセプトと今のコンセプトって違うのかな?

小林:やりたいことは同じ感じなんですけど、火祭りは工場をパフォーマンスステージにするような感じで、毎日フェスティバルのようなイメージだったんですけど、そこまでしなくても今いる職人さんを一般の人が見るだけで十分これはもうフェスティバルなんじゃないかっていうところにいきまして。

●溶接のテーマパーク「アイアンプラネット」の発想とクラウドファンディング

三木:アイアンプラネットが生み出されたのは卒業してどれぐらいだったっけ?1年半ぐらい後でしたっけ?

小林:卒業して3ヵ月ぐらい経ってクラウドファンディングに挑戦したんですよね。

三木:めでたく終了して。

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小林:はい、終了を何とか。

宇都宮:クラウドファンディングをやってみた感想は?

小林:当時は結構話題性のあるキーワードだったので、宣伝広報にはすごく活かせていただきまして。でも実際はもう身内からお金をせびるみたいな泥臭い感じだったので。

三木:そんなものですよ、クラウドファンディング。

小林:あとはそれをやることでもうやるしかないと。社内に対しても父親に対してももう後戻りできませんっていう雰囲気になっていきました。

三木:気持ち的な部分が大きいですよね。お金というよりは。

小林:はい。

三木:それで今(画面の)背景にあるアイアンプラネットができて。

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●アイアンプラネットのフランチャイズ展開について

三木:当初からフランチャイズにするっていう発想はあったんでしたっけ?

小林:いえ。夢の段階でアイアンプラネットだからそういうプラネットがあっちもこっちも日本全国にできたらいいなぐらいの話は飲みながら皆さんとしてたような気もします。

三木:今全国に7ヵ所が動いているという。

小林:今うちを含めて7ヵ所オープン予定ですかね。

三木:すごい一気に広がりましたね。

アイアンプラネット ベースオブ 沼津

小林:はい。実際にできるのは来年の春から秋にかけて順番にっていう計画なんですけど、特にこういうコロナなので現地に行けないっていうことで、あと控えてる5社をどうやってオープンさせていこうかなっていうのが今すごいプレッシャーかかってます。

三木:基本的には現地に行かないでやるっていう感じなんですか?

小林:はい。

三木:オンラインのみで?

小林:オンライン。はい。

三木:すごい(笑)。

宇都宮:すごいな(笑)。それも新しい試みですよね。

小林:そうですね。できれば1回は行きたいんですけど、この先の状況次第で。

三木:ぜひVRを活用してみていただければ。

小林:はい。

宇都宮:フランチャイズが広がった理由ってこういうコロナの情勢が起きたことも影響してたりするんですか?それとも元々の流れでフランチャイズが広がっていったみたいな感じなのか。

小林:たぶんコロナは関係ないんじゃないかなとも思うんですけど。元々は2018年12月ですから、1年半ぐらい前に「フランチャイズやります!」っていう感じでプレスリリース出させていただいてから2019年の間に3社お声掛かったんですね。

三木:結構たくさん来たんですね。

小林:はい。もうすでにその時点で僕らと同じような年代の2代目、3代目さんで事業承継してその後にどういう風に自分の会社で色を付けていこうかと悩まれてる方が声を掛けていただいたという形です。

三木:だいたい年齢的には近い社長さんなんですか?

小林:そうですね。40代後半の方、前半の方、色々。

三木:皆さん社長をお父さんから引き継いでこの鉄工所をどうしようかっていうステージの方が多くて。

小林:はい。

三木:鉄鋼新聞とかに載ったんですか?そのフランチャイズの話は。

小林:溶接ニュース。

宇都宮:そういう業界の?

小林:業界紙に。3週枠で広告を出させていただいたっていうぐらいですね。

三木:そんなにたくさん問い合わせが来ると思っていましたか?

小林:全く思ってないです。

三木:全く(笑)…全く思ってなくて来た時の感想は?

小林:「本当ですか?」みたいな(笑)。「いいんですか?」っていう。

宇都宮:当然有料ですよね?フランチャイズっていうことは。

小林:はい。有料です。

宇都宮:それなりの金額ですもんね。アイアンプラネット自体は2015年ぐらいに実際完成して動き出したんでしたよね?

小林:はい。

宇都宮:それが動いて3年か4年ぐらいしてフランチャイズのリリースを出したっていう時間の流れがあるじゃないですか。その期間回してたことで何か悶々として広げようみたいな意識に変わっていったんですか?

小林:そんなに悶々としてたわけでもなくフランチャイズは全然頭になくて、とにかく目の前のアイアンプラネットの運営であったり自社の経営をしっかり見直して、実際に社員数も増えたり平均年齢も下がったり売上も上がってきたので、アイアンプラネットが直接の原因じゃないかもしれないですけどきっかけではあったので、そういった経験を同じような立場の人にも体験してもらえるんじゃないかなと。

●アイアンプラネットのブランディングで会社の売上アップ

三木:売上が上がったのはどういうわけなんですか?

小林:これは人数が増えたからかなと思っています。

三木:その人数が増えたのは採用がうまくいったっていうところ?

小林:そうですね。

三木:採用がうまくいったのはアイアンプラネットっていうブランディングがあったからっていう?

小林:はい。

三木:全部つながってるんですね。それは一応自分の筋書き通りでしたか?

小林:そうですね。まだまだ小さい数字ですけど。

三木:いやいや、売上が倍になったのってすごいですよ。

小林:はい。うちはどちらかと言うと機械に働かせるような会社じゃなくて人に動いてもらって人工仕事がメインで、やっぱり人数が増えてちゃんと社員として動くことができれば売上は作れていけるのかなと思うんですが、その前にうちが知られてないものですから、人が入って来ないっていう根本のところがアイアンプラネットで解消されてきたのかなと思っています。

●アイアンプラネット事業の目的

三木:よくこういうビジネスを考える時にフランチャイズみたいなのをみんな安易に言うじゃないですか。でもそんなのはまず「妄想だよね」みたいなみんなに言われるじゃないですか。でもそれを実現させつつあるっていうのはすごいなっていうか。

小林:実際はフランチャイズを広げてうちの売上を増やそうっていう目的じゃないので、そういうお金お金してる人達からするとたぶん物足りない事業になるのかなと思うんですが。

三木:どちらかというと仲間づくりがメインなんですか?

小林:はい。仲間づくりと業界の知名度であったり溶接っていうものとかそこで働く職人さんを知ってもらいたいっていうのが目的であるので、そこにちょっと最低限のうちのコストがかかる部分だけは何とかしてもらって、あとはそこで儲かる事業かなとは思ってないので。

三木:業界が活性化すればいいっていうことですよね。

小林:はい。

宇都宮:その仲間の方々とはよくコミュニケーションを取ってるんですか?

小林:そうですね。例えば今オープンした沼津の鉄工所さんは自社(長田工業所)ができないこともできたりする鉄工所なのでそういった協力関係で話ができるというか、お金の高い安いのつながりじゃなくて同じ志を持つ同じ事業をしてる仲間っていう感じでコミュニケーションを取れてます。

三木:横受けというか一緒にお互いのできないところを補完していくっていう。

宇都宮:それって地域創世みたいな文脈もあったりするんですか?その会社が持続していってそこで雇用していってみたいな文脈だとかそういうのを狙ったりもしてるとか?

小林:そうですね。結果的に今はそうなっていってる感じですかね。珍しいので鉄工所がそういう開放して溶接のテーマパークって何だっていう噂が広がって、今までにないテレビとか新聞に取り上げられる機会が地域で増えているとなると、そこで働く職人さん達も自分の会社が注目されてうれしいでしょうし、周りから見ても楽しそうな会社だなって思ってもらえることでっていう感じですかね。

●父親や会社の職人さんの反応は?

三木:記事にお父さんとか他の職人さんの反応とか書いてあったんですけど、割と皆さん好意的に協力していただけてる感じですね。

小林:そうですね。

三木:一番最初に御社に我々がお邪魔した時は何かすごい怪しそうな感じで「この人達大丈夫?」みたいな感じで(笑)。

小林:「騙されてないんかい?」みたいな感じ(笑)。

宇都宮:そんな反応がありましたね。確かに。

三木:結果としてはあれが契機になったっていうことで僕らもすごいうれしいですよね。往々にして我々は怪しまれるので(笑)

宇都宮:怪しまれ慣れてるので(笑)。

三木:でも世の中で新しいことってほとんど怪しいところから発生するので。

宇都宮:アイアンプラネットも6年継続してるわけですもんね。

小林:そうですね。継続できたのも父親が結構ノリノリで先生役をずっとこの6年間やってくれていることがあって。若い女性がこんな工場に入って来て色々教えることができる、会話ができるっていうのはすごい刺激になるというか……

宇都宮:先代との関係性も良くなったわけですね。

小林:と思います。はい。

●アイアンプラネットのお客さんの反応は?

三木:今利用頻度ってどれぐらいなんですか?月に何回か入る感じですか?そのアイアンプラネットは。

小林:今コロナで半年ぐらいちょっと自粛というか受付しなかったんですよ。今10月から様子見で再開してからまだ10人ほどですかね。5~6組。

三木:すごい。そんなにニーズがあったんですね。

小林:問い合わせは色々あったんですけど、こういう状況でっていうことでお断りはしてたんです。

三木:来られた方の反応はどんな感じですか?

小林:もちろんすごいワクワクして写真を撮るのが楽しみなお客さんがいたり、どちらかと言うと今観光客の方は少ないので地元の方でガラス細工をされてる方がスタンドを鉄で作りたいというような方もいたりして、リピートというかああでもないこうでもないとうちの父親と色々打合せしながら進めていったり、そういうちょっと玄人系の方が今は増えています。

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三木:でもそれはいいことじゃないですか。リピートで来てたりして。もしかしたら将来的にそれが製品づくりにつながることもありますので。素晴らしいですね。でも小林さんが続ける力が強い方だからここまで来れて事業がうまくいってるのかなという気がしますよね。花火的に打ち上げるだけじゃなくて続けていくというところが亀の力というか…

小林:たぶんお二人みたいにあんまり無理をしないっていう…無理してお客さんを集めたりイベント的にお客さんを集めてどうのこうのするっていうのはちょっと止めたんですね。もしくは「問い合わせがあったら対応します」ぐらいな感じでズルズルズルッと続けられたのかなと思いますけど。

三木:素晴らしいです。

●zenschool受講を考えている人達へメッセージ

三木:最後にこれからzenschoolを受けてみたいなと思ってる人達に先輩としてメッセージをいただきたいんですけども。

小林:なかなかたぶん僕1人ではこういう状況まではなってなくて、例えばクラウドファンディングの達成セレモニーの時に宇都宮さんから「誰か有名な人呼べないんですか?」って言われて考えたら市長とか呼べるかもしれないなと。「じゃあ呼んでくださいよ」って言われて(笑)。奇跡的に呼べたんですけど…

CFセレモニー

宇都宮:すごいですよね(笑)。

小林:僕1人ではそういう突拍子もない発想の飛ばし方とかできなくて、この2人の話を色々聞きながらああだこうだしてるとたぶん自分が思ってもないところにいけるんじゃないかなと思いますのでzenschoolおススメでございます。

宇都宮:無責任に無茶振りしてますので適当に受け止めていただいて。アイアンプラネットを世界中に今後広げていっていただければなと。

小林:はい。

三木:ワクワクは超パワフルな力となると思いますので。どうもありがとうございました。

宇都宮:どうもありがとうございました。

小林:ありがとうございました。

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