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パンプとダンプ

パンプとダンプ

小山田
から
青山に
思いがうつって

そのころ
もう二十代も
終わろうという
あたり

もういい加減
若気を締めくくんなきゃ
とか
思っていたから

若気を締めくくる
最後のブームが
悪趣味
というわけで

つまるところ
怖いもの見たさと
粋がり
そこを過剰に
受け取った

それから
ひとに加害することを
なんとも思わない

平常で
残酷な
人たちの存在も
わかって

あれこれが
むなうちに渦巻いて
三十路を
迎えて行ったのだ

真に受ける人たちの怖さ
真に受けることの怖さ
真に受ける
困ったイノセント
それらは今も
ないまぜに
こころに置かれる

惨劇寄りのものが
好き
しかし
本物の惨劇は
絶対に忌避

怖いものに囲まれた
水槽の
中にいて

見ているつもりが
見られたがった

青山正明は
学生時代

突然変異
という
ミニコミを出した

実際に
読んだことはないが
内容についての
記事は
読んだ

書影を
ネットで
見ることが出来る

たしか
黒い表紙で
カラフルな何かの
絵が
数か所に散らばっていると
記憶していたが

その絵は
中国の
お面だった

いくつものお面をかぶった
キョンシー
みたいな踊り子が
踊る

ぱっと
お面が
早変わりする

あれ
何かのパーティーで
実際に見た

ぜんぜん
楽しくなかった
むしろ
なんだか
怖かった

ぴょんぴょん
テーブルからテーブルへ
跳ね躍る

笑った面が
別の
笑い顔になる

目の波線に
心がない

黒い衣装は
肉感なく

あたれば
吹き飛びそうな
その
躍動が
不気味だった

装丁に
その絵を持ってきたのは
どういう意図でのことだろう

晩年
青山は
睡眠に快楽を
見出していた
とにかく
薬剤を使ってでも
ずっと眠っている
寝ている姿が
本物だと
書いていたような
記憶がある

しゃれがわからない
連中と
起きていたくは
無かったのだろうか

たしか
キョンシーは
最後のお面を
とったあと
人間の
顔を見せる

面のような
化粧につつまれ
にっこりと
笑う

そこで私は
ほっと
息をついたのでした


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