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『ブエノスアイレス 4Kレストア版』

原題「中 春光乍洩 / 英 Happy Together」

◆あらすじ◆
南米アルゼンチンへとやってきた、ウィンとファイ。幾度となく別れを繰り返してきた2人は、ここでも些細な諍いを繰り返し別れてしまう。そして、ファイが働くタンゴ・バーで再会を果たすが...。



※ 『春光乍洩』とは雲間から春の光が地上に射し込む様子。それが転じ、一瞬感じる刹那的なエロティシズムの意を持つ様になった。



冒頭の大胆なセックスシーンから始終2人の痴話喧嘩を見せられる今作が何故今も名作と言われるのか?

観終わった時、原題『春光乍洩』の意味とラストでガンガンに鳴り響く英題のタイトルソング『Happy Together』の効果が齎すこのストーリーの"愛の表裏"と言うテーマ性を無条件に感じるからなんだな。


加えてクリストファー・ドイルが映し出す映像の妙技。

ただの腐れ縁をここまでアート的に観せられるとは!
何度観てもその凄さに唸らずには居られない。

2人が出会いずるずると関係を続けた香港を離れ、今度こそと関係をやり直す為に訪れた地球の裏側アルゼンチン。
彼等の関係性と地の表裏を表すカラーワークやカメラワーク。
当時感じた斬新さが今も薄れない。

そして主人公2人の明暗を分ける"出会い"。
その出会いが齎す2人が知る両極の地とはまた別の地への臨み。

"表裏"を前進と滞留と言う状況に置き換え「涙を捨てて前に進む」ファイ(トニー・レオン)の未来と有り得ただろう喪失を漠然と理解するウィン(レスリー・チャン)の姿を描くラストはホントに素晴らしいのだ。

時々挿し込まれる、ファイが拘った【イグアスの滝】の映像が若い彼等の沸々と湧き上がる激しい感情の様にも思える。


火事でフィルムの一部を喪失したとは思えないリストア版。

公開当時、劇場で見逃したからスクリーンで観る機会を得られて嬉しい限りだ。



 

【余談】

とにかくファイとウィンのくっついたり離れたりをずっと見せられてたからファイが働く中華料理屋のバイト、チャンを演じたチャン・チェン(「DUNE」でウェリントン・ユエ医師を演じた記憶が新しい)の若き姿があまりにも美しくて参っチングww
もうめっちゃ綺麗 ԅ(♡﹃♡ԅ)


あと何かとカーウァイ監督トニーに白ブリーフ穿かせ率高い?ww

それにしても1997年香港返還直前の作品だと言うのもちょっと曰くあるよね。返還後だったらお蔵入りだったかもね。

でもそうならず公開後、数々の作品に影響与え続けた作品として今も尚生き続けてるんだもんな。
バリー・ジェンキンス監督の『ムーンライト』だって影響された作品の一つ。
素晴らしい映画だよな。

やっぱりスクリーンで観るのはイイね。

『ブロークバック・マウンテン』もまたいつかスクリーンで観られたりしないかしらん・・・。

2022/09/27

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