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『マトリックス レザレクション』

原題「THE MATRIX RESURRECTIONS」

◆あらすじ◆
もし世界がまだ仮想世界=マトリックスに支配されていたとしたら?ネオは最近自分の生きている世界の違和感に気付き始めていた。やがて覚醒したネオは、マトリックスに囚われているトリニティーを救うため、何十億もの人類を救うため、マトリックスとの新たな戦いに身を投じていく。


鑑賞前に過去3部作を復習したので"思い出しながら"の鑑賞ではなく観られたのは正解だった。


トーマス(ネオ)の現在はゲーム業界を舞台に繰り広げられるんだが今自分が身を置く"平穏な日常"からいきなり"あの世界"に引きずり戻される、半ば無理矢理「救世主よ再び!」だ。 

よりファション性を纏った新キャラ達が登場。リーダー的存在のバッグスがネオをバックアップする。

彼らにとってネオはカリスマであり必要な人間なのだ。期待感も半端無い。

『マトリックス』シリーズは設定は複雑だが全てを削ぎ落とせば完全なる【愛】の映画だと20年前にも思ったが今作もそれは変わらない。

過去作から歳を重ねて登場するキャラも何人か居るから「あっ!」と思う場面も幾度か…

あと、ティファニー(トリニティ)の夫、その名もチャド役でなんと『ジョン・ウィック』シリーズのチャド・スタエルスキ監督が登場するなど監督の遊び心にも触れられるのは楽しい。

だが新しい設定は特に無く、恐らく過去作を観ていれば尚更、観てなくても世界観にはすんなり入り込めると思う。

そう言う意味ではやや上書き的な部分は否めない。

しかし、この作品の本質は全く違う所に在ると私は感じた。



それは・・・

ラナ・ウォシャウスキー監督自身が自分に内包する想いに真正面から向き合い自身を描いた様な作品だった事が大きい。

空を失くしたザイオン
『レヴォリューションズ』でネオとトリニティが激戦を飛び超えて見た空
今作で見る創造のアイオの空
そして2人が飛び立った夕陽に染まる空

それらを踏まえての最後の言葉…

「空を虹で飾る」🌈

この言葉には泣いちゃったよ( இωஇ )

むしろ設定の不変は昔も今も社会は何も変わっていない事へのメッセージかもしれない。


現実は無数の敵、見えない悪意に囲まれている。

"ザイオン"は抑圧や攻撃から逃れたマイノリティの世界であり戦う事は必然。
"マトリックス"は波風の立たない平穏な偽の世界。

自分はどちらを選ぶのか?

全てに通ずる二者の選択。

自分は何者か?
何がホントで何故偽らなければならないか?

自分に迷った全ての人へのエールでもあり内在する自分の本質や才能を顕す方向への導きでもあった。

彼から彼女へ…ラナの20年の歩みそのものだと私は感じた。


しかし、トレイラーでも劇中でも使われてるJefferson AirPlainの『WHITE RABBIT』はもう54年も前の楽曲だなんて思えない程カッコイイよ。全く色褪せない。今聴いても不思議な感情が湧いてくるんだよなぁ。


2021/12/24

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