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「むずかしい話は苦手」な人向け背伸びしないサッカーの見方を実演します。


どうも、ゼロファジです!


唐突ですがまずこちらのツイートを見てください。

こちらはRangnism(@rangnism)さんという方のツイートで、日本代表vsクウェート代表?の試合の失点シーンをとりあげたツイートです。


ぜひとも、この動画を通しでまず一回見てみてください。



はい。これ日本代表が見事なバイシクルシュートを決められて失点してしまうというシーンなんですが、この中でRangnismさんが問題を設定してくださっています。

”日本代表が4-2-2-2ぽいプレッシングをして、外される場面なのですが。皆さんは、どこに問題があると思いますか?”

こういう問題ですね。


で、こういううまくいかなかったところや、逆にうまくいったところ、その理由について考えるというのがサッカーはめちゃめちゃ面白いんですが、正直そこがハードル高くて「いや、分かりたいけどムズイわ・・・」ってなるひと多いんじゃないかなと思うんですよ。


そこで、今回はハードルはあくまで低くだけどそれなりに深堀出来る考え方を実演しながらお見せしていきます。一つのシーンからわかることを理詰めでちゃんと考えていけば、こういう一つのシーンをきりとった動画でもいろいろと見抜くことができてとても楽しいです。あくまで、ゼロファジ式ですがそれでもかまわなければお付き合いください。(ちょっと長めなのでゆっくり読んでね)


1.問題文をしっかり読みこなそう


まず最初に、Rangnismさんの設問の意味こちらをしっかりと確認しておきます。これは国語の問題ですね。こんなのでした。

”日本代表が4-2-2-2ぽいプレッシングをして、外される場面なのですが。皆さんは、どこに問題があると思いますか?”

この言葉の意味わかりますかね?「失点したのは何故でしょう?」じゃないですよ。問題は「プレッシングが外されてボールを運ばれてしまったこと」です。ついつい勘違いして問題を取り違えないように注意。


問題:なぜ日本のプレスは外されてしまったのか?


2.プレッシングを外されると何がいけないの?


問題が確認できたところで次行きましょう。日本のプレスが外されるとどういう問題があるのでしょう?あなたはどう思いますか?


ちなみに、こちらの動画で守備について解説しているんですが、


サッカーの守備はつまるところ通せんぼすることが大事なんですね。

なので、

プレッシングが外されてしまう
=相手が自由にボールを進めることができる
=通せんぼに失敗している(=相手に前進を許している)

だから、よくないんです。日本はプレッシングをしっかりハメてクウェートが前進できないように手厳しく通せんぼする必要がありました。前進できなければシュートが打てませんから失点することもなかったはずなんですよね。

プレッシングを外されたら何が問題?=相手に前進を許している

ハードル低めでサッカーみるときは大づかみに試合を眺めることがおすすめです。ですから、相手が前に進めている=守備に問題があるかも?と頭においてそういうシーンをどんどん見つけましょう。それができれば確実にレベルが一個あがります。



3.ハッ!と問題点に気づくのが一番大事な力


さて、問題となるシーンはどこなのか少し丁寧にシーンを追っていきましょう。

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いま、(白い丸)クウェート代表のCBがボールを持っていますね。これに対して、(青い丸)日本代表のFWがプレッシングに出ていこうとしています。次に進みます。

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ここはちょっと立ち止まって情報を整理しましょう。

先ほどの(白い丸)クウェートのCBにはそのまま日本のFWの選手がプレスに出ていて、一つ奥の(黄色の丸)のクウェートのDFには日本代表の左サイドの選手(左SHかな?)がプレスに出ているのがわかりますね。ゼロファジ式”背伸びしない見かた”であれば、ここまでのシーンで特に注意深く見る必要はありません。次行きましょう。次超大事な話します。


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はい、このシーンを見てあなたはどう思いましたか?


A「いやいやいや!・・・なんでや・・・」
B「?・・別に?」


どちらでしょうか?




Aだと思った方。

あなたはこの先読まなくても結構です!あなたにはゼロファジ式は簡単すぎますので、これにて卒業でございます!

もうちょい付き合ってもいいよ?という方だけ先にお進みください。


Bだと思った方にはゼロファジ式でお役に立てることがありそうです!丁寧に説明していきますので続きを楽しんでいただけたらと思います。


このシーン、守備が失敗してます。

なぜならばタテパスを通されてクウェートにいともやすやすと前進を許してしまっているからです。さきほど、守備は通せんぼすることが大事と言いましたよね?どうでしょう?このシーン。ものの見事に通せんぼに失敗していませんか?

「相手が前に進めている=守備に問題があるかも?と頭においてそういうシーンをどんどん見つけましょう。」と先ほど申し上げた通り、このシーンは守備おかしいやん!て気づくきっかけになるシーンなんですね。ですから、このシーンを見てなにも気がつかないってことは問題点を見逃しているってことなんですよ。

サッカーを読んで楽しむうえでこういうポイントをサラッと見逃さずにいかにキャッチするか?というのは超絶重要ポイントになります。そういうことができる達人みたいなのが指導者や記者はじめプロの人たちってわけですよ。

試合の中で「いいところ」「わるいところ」を見つける力が大事


では、Bを選んだ皆さん。「ここがおかしいぞ?」ということわかりました。では次に何を考えましょう?


次は、「何が問題でこうなったんだろう?」です。


4.問題点から原因をたどってみる



このシーンではタテパスで前進を許していましたよね?ドリブルと違って、パスは最低でも2人の選手がやりとりに絡まないと前に進めないという特徴があります。いいかえれば、パスの出し手か受け手、あるいはその両方を自由にさせなければパス自体成立しなかったわけです。


まず出し手を見てみましょう。パスの直前のシーンを見てみると、

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日本代表のFWの選手がプレスに詰め寄りますけども、外側に逃げていくクウェートのCBとの距離がやや長くパスを蹴る自由を奪えるほどには詰め切れていませんでした。出し手がフリーな状態ですね。

では、受け手はどうか?

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パスが出るちょいまえのシーンですけど、まあドフリーですよね。誰がこの選手をマークするのかもわかりません。最寄りのボランチの選手はあまり警戒しているようにも見受けられませんでした。

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そしてパスが出た時点においても、受け手は全くのフリーですね。こうしてみると、出し手も受け手もどちらもフリー。そりゃ防ぎようがないよなぁというシーンだったことがわかります。



さて、ここで考えます。

出し手であるクウェートのCBの選手を自由にさせてしまった原因はなんだろうか?ということ。そして、受け手であるクウェートの選手はどうしてあんなにフリーだったんだろう?と。こういう風に、みつけた問題点→原因と探っていくと飛躍的に知識も経験値も増えていきますのでおすすめです。

ここから先はちょいとだけ背伸びして自分なりに考えてみてください。原因をみつけられなかったら人の回答を堂々とカンニングして考え方をラーニングしていきましょう。それで全くかまいません。我々観客は正解を出すことを競うゲームをやってるわけじゃないのですから。


あくまで”ザックリ考える”のがゼロファジ式なので思いつくことをいくつか列挙していくと、

・クウェートの3CBをFW2人+左SHの3人で抑えに行く練度低そう
・左SHがクウェートの右CBに食いつくとき内側のパスコース空けすぎ
・FWのラインと中盤のラインが間延びしすぎでスペース広すぎ
・フォーメーションの噛み合わせ問題未解決

こんなところでしょうか?

それぞれについてそう思う根拠を述べていきます。

・クウェートの3CBをFW2人+左SHの3人で抑えにうつ練度低そう


→FWがプレッシングに出ていくのに一拍遅れて左SHの選手がプレッシングに出ていていて足並みがそろっていない。それ以前にプレスに出て行って無理っぽいときの次善の策がなさそうで「とりあえず行く」約束事に忠実。その分判断を変えられないようにみえるから。


・左SHがクウェートの右CBに食いつくとき内側のパスコース空けすぎ

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→左SHの選手が青線のように内側をえぐって外にプレスに出ていけば、クウェートの出し手と受け手のタテパスの線の上に立ちふさがるようにして出ていく形になるのでクウェートのCBはタテパスを蹴ることができなかったはずだから。


・FWのラインと中盤のラインが間延びしすぎでスペース広すぎ

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→クウェートがバックパスをした時に日本代表は全体がググっと守備を押し上げるチャンスだったと思うんですね。ところが、FWは前から行こうとしている割に中盤と最終ラインの押し上げが中途半端で、パッと見ただけでも黄色の丸エリアみたいなスペースがポコポコできてしまっています。これはボールを受ける方にとって有利な状況だから。


・フォーメーションの噛み合わせ問題未解決

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→おそらくクウェートのフォーメーションは3-4-2-1だと思います。これに対して日本代表は4-4-2(あるいは4-2-2-2)。いま、それぞれ日本代表の選手が担当できそうな相対する選手を線で結んでいます。442の陣形で、3421のチームの組み立てを通せんぼする時に、結構キモになるのがこの黄色の四角の選手なんですね。

いわゆるシャドーといわれるトップ下の選手なんですが、この位置の選手はDFが対応するのかボランチが対応するのか処理があやふやになることが多くて対応が難しくなりがちなんですね。だから、出し手が封鎖できないときは受け手を封鎖する。特にこのシャドーを誰がつぶす?というのは示し合わせていないと、

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こんな風に守備の急所ともいえるボランチの両脇をスコンスコン抜かれてしまうんですよ。もしこのシャドーがスピードもテクも高い選手だったら一気にスピードアップしてゴールまで殺到されてしまうかもしれません。さきほど言いましたけどこの選手を日本代表の左ボランチの選手が積極的にケアするそぶりはありませんでした。よく見てみると、最終ラインをチラ見していて「こいつどっちがいくの?」と迷っているようにもみえなくもない。いずれにせよ、整理された対応ではなさそうなことは読みとれます。


さて、このようにいくつか原因らしきものが見つかりました。では、次に何を考えるか?というと、原因からチームの現状や課題を考えるフェーズに入ります。


5.原因から課題点を考える


原因から考えると、この日本代表はチームとしてのまとまった守備において意思統一ができてなさそうだなと見えます。おそらく前からプレッシングに出るという約束事はあったはずですが、それにとらわれて「プレッシングありき」な硬直的な判断になってしまっているきらいもあるのかなと。ボランチの選手も本来消すべきクウェートの選手を放置して、FWに追随してプレスに意識が傾いていましたし(迷っていたのかもですが)。もしかしたら、監督が代わって間もないとかチームが始動してまもないとか、あるいはこの出場メンバーでの経験値が高くないのかもしれません。

それから、ボランチ脇をあれほどスコンスコン抜かれてしまった噛み合わせ問題が未解決なのは気になるところです。もしかしたら相手の情報が少なかったのかもしれませんが、そうであってもこのやられ方はないなと。代表チームですしね。


とまあ、ざっとこんな感じです。ここで大事なのは特定の選手だけが単純によくなかったのか?それともチームとしてよくなかったのか?をちゃんと切り分けることです。ついついよくない場面の責任を個人に帰してしまうことがありますけども、それは機能していないチームの問題がその選手の持ち場で露見してしまっただけということが腐るほどあります。

まーでも、ついついこのシーンなんかでもパス通されて「FWプレッシングぬりーよ!」とか、「ボランチ何やってんのフリーじゃん・・・」とか言いたくなっちゃうんですけどね笑

それをこらえてもう一歩深い原因はないかな?と考えて見るとよりスケールの大きな課題を見つけやすくなると思います。

途中、ツイートについているリプライからいくつか紹介させていただきました。このように自分より詳しい人の見かたや考えを参照できることほど勉強になることはないんですよね。どんどんカンニングして、「そうやればいいのか!」って教えてもらえたら、こんなにいいことはないっす。そして自分なりに考えられるようになったら、他人の解答案と比べてみる。これがほんとに楽しい。そういう人がひとりでも増えたらいいなと思っています。


ということでいかがだったでしょうか?知識の積み重ねも大事ですが、何を察知して、どう判断するか?そして、どういう風に考えを進めていくか?サッカーを読むだけといっても実にいろんな力を使うことができます。だから、これをやってると単純にあたまよくなります。なんせ30歳からはじめたおっさんですら10年もやれば、若いころ以上に成長できたことを感じたくらいですからね。


最後におしらせです。


5月の9日まで、このような募集を行っております。


https://note.com/zerofagi/n/n630eda7df9c4


この記事のようにゼロファジ式でサッカーのみかたをお伝えしていくグループを作ろうと思っています。twitterでなくともこちらのnoteにコメントいただいてもかまいません。もし興味を持ってくださった方はご応募ください!







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