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私の遭遇したイカサマ現場【コラム】

・怒号

「お前!手ぇ見せてみろ!」

ソファーで寝ていた私は、常連のその怒号で目が覚めた。

他人と喧嘩どころか、罵ったことすらもない私は、かなり穏やかで我慢強い性格だと思う。そんな穏健派の私だから、雀荘でのトラブルに遭遇するたびに無駄に気持ちが昂り、自分は全く関係ないのに夜寝られなくなったこともあった。

若かった、と思う。

しかし、雀荘にトラブルはつきもの。
特に昔気質、場末の雀荘ではトラブルやトラブルイーシャンテンの小競り合いは日常茶飯事である。
取っ組み合いの喧嘩も何度も見た。

(人間って1枚皮をめくったら欲の塊であり、醜い生き物なんだ。)
トラブルに遭遇するたびに慣れてきて、何とも思わなくなる自分がいた。

顔を真っ赤にして飛沫を飛ばしながら汚い言葉で罵る人を見て、反比例するかのように自分の心は冷めていく。

今なら冷静にウィルス感染の心配をするだろう。

いつからか私はトラブルでアツくなる人間を見ながら、反面教師にするようになった。

しかし、このときは本当に驚いたものだ。

…カラン
3人に囲まれた男の手から、牌が1つ2つこぼれ落ちた。

え?!
この人が!!!?

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・実録イカサマ事件

私はずっと性善説を唱えていた。

そりゃマンガや動画でイカサマをやる人はいる。
ネット麻雀で不正する人もいる。

でも、リアルの麻雀でイカサマをするやつなんてそうそういないだろう、と。
実際、私の麻雀人生の大半で、そういう場面に遭遇することは無かった。

黒川さんで話題になった「テンピン」以下のレートでは、本当に都市伝説に近い話だとは思う。

しかし、である。
とある時期に、私は急に連続でイカサマに遭遇するようになった。
あまりにたくさん遭遇するものだから、ちょっとした人間不信になったくらいだ。

今回は、その中でも一番衝撃の大きかった事件を書いていこうと思う。

店の名前や場所、詳しい時期などは言及しないが、実際にあった話である。

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・死神さん

掴まれている男は、齢60くらいだろうか、いや70と言われても驚かない。
かなりの痩せ型で背は小さい。頬はこけ、歯が無く、さながら死神のようだ。

ここでは死神さんとしておこう。

アイマスクをしてソファーで寝ていた私は、何が起きたかわからなかった。

1人の常連に掴まれているのは死神さんだ。
そんなに乱暴にしたら骨が折れてしまうのではないか、と心配になるくらいに死神さんは追い込まれている。

「ずっとわかってたんだぞ、カメラもここに置いてある。さぁどうしてくれるんだ」

カメラ?何が起きているのか、さっぱりわからなかった。


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