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スライド読みは自己満足【麻雀】

牌譜検討や研究会で1半荘につき50回くらいは出てくる単語が「スライド」である。

「この1pはスライド濃厚…」
「いや空切りもあるか」

というように使う。
もうこれ言っときゃ上級者っぽい!という理由でスライドという言葉を使っている人もいる。

しかし残念ながら今回は、スライド読みは自己満足という事実をみなさまに突きつけたい。

なぜ自己満足になるかと言うと、スライドが確定する頻度が低く、かつ選択に活かせる頻度がさらに低いので、掛け算で学習効率はますます低くなるからだ。

この記事では、

・スライドとは
・スライド読みの効用
・スライド読みの条件

という3本立てで解説してまとめていく。今後、みなさまが世に跋扈(ばっこ)するスライド読みとどう付き合っていくかの一助になれば幸いだ。


・スライドとは

牌図A

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上図のように、123と持っているところから、4をツモって1を切ることをスライドと呼ぶ。

なお、1をツモって手牌にある1を切ることを空切りと呼ぶ。

とある特定条件下で、このスライドが完全にわかることがある。
それがスライド読みだ。


その条件を紹介する前に、まずはスライドが分かるとどんないいことがあるかを解説していこう。

・スライド読みの効用

① 通せる牌が増える

これが一番有名か。
牌図A↑のように、相手の打1pがスライドとわかったとすると、47pが通せる。スライドされた牌の筋は通り、さらに近辺の25pや36pもないとわかるのだ。
これはかなり大きい。

(なぜかというと、47p待ちだとしたら、スライドした234pと足して23456pとなり、147p待ち、すなわち1pがフリテンになっているのでありえない、というのが読みの根拠だ。)
()の理屈は無理に覚えなくてもよい。

② 通せる牌が増える Ver.2

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かなり限定的な状況だが、上の仕掛けにスライド読みで発を通せることがある。

何らかのヒントでマンズのソウズの関連牌を持っていると断定でき、そして打1pがスライドとわかったときは、マンズ・ソウズ・234pでブロック構成されていて、発を持つ隙がない。

これは他の読みとの組み合わせだし、かなり高度な読みなので忘れてもらって構わない。ただ年に何回か読めることがあって、かなり感動する。
どうしても気になる方は木原さんのこの動画を見るべし。https://youtu.be/k6izxJ6kiOg


③ 打点が読める

メンツ構成がわかることによって手役が限定され、打点が読める時がある。

図B

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たとえば、さきほどの手牌がこんな仕掛けだったとしよう。
捨て牌をみると派手にソウズを切り飛ばしており、相手からしたらマンズのホンイツかチンイツに見える。そんなときに打1pがスライドだと読めたら、染めではないとわかり、攻めやすくなる。

④ ワンチャンス・ノーチャンスに使える

234pと持っていることがわかれば、他家からのリーチにワンチャンスやノーチャンスとして2pや3pを通すことができることがある。


いろいろ紹介したが、メンツ構成がわかれば、待ちや打点など、多くのことがわかるのは当然のことだ。

うおースライド読みすげーじゃん!
となるのが普通だと思うが、まぁ落ち着こう。
ここからが本番だ。スライド読みの条件を挙げていく。

・スライド読みの条件

スライド読みの条件は以下の3つ。

① 相手が理論的に打っている
② 直前に安全牌を切っている
③ 出てきた牌が4枚目

①②③を全て満たした上で、先に2を切っている人がそのあとに1を切ってきたら、その牌はスライド濃厚と読むことができる。
(3のあとの1や2も同様)

どれも重要で、1つとして抜けがあってはいけない。
1つずつ見ていこう。

① 相手が理論的に打っている

相手が理論的に、そして真っ直ぐ打っていることが最初の条件。
相手の雀力が低くければ低いほど選択にノイズが増え、あてにならなくなる。
また、仮に相手の雀力が高くても、不可抗力でノイズは出てくる。
ふと魔が差したとか、エロいこと考えていたとか。
天鳳で言ったら宅配が届いたとか、嫁が怒り狂っているとか。

そういう意味でも読みは100%のものにはならないことを覚えておこう。

② 直前に安全牌を切っている

出てきた1pが直前に切られている牌より危険である必要がある。そうしてようやく関連牌、と断定することができるのだ。

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相手がこういう捨て牌だったとする。
2mツモ切りの後に1pが手出し…キター!!スライドだ!

とはならない。単純に1pは安全牌と入れ替える暇がなくてずっと残っていただけのケースがある。というかその可能性が高い。

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だからこうなっていないといけない。こうなってさらに、場を見て西と1pの危険度を比較する。西より1pは明らかに危険→関連牌→今度こそスライドだ!と読めるのだ。

いや、まだ甘い。ソースイートだ。

③ 出てきた牌が4枚目

ここが最難関。
1pが4枚見えないとスライドと断定することができない。

・1pはトイツ落としかもしれない。(その場合はその後にわかる)
・1pは暗刻から切って両面待ちというケースがある。

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ここから2pを切って、西をツモ切って、リャンメンが入って両面待ち、というケース。この場合は ①通せる牌が増える が使えない。
47pだって普通にある。

・1pは空切り、というケースがある。
この場合は ①通せる牌が増える が使えない

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ここから1pをツモって手の内から打1p。47pが当たり牌。
スライド読みの効用で一番大きいのが ①通せる牌が増える だと言ったが、この場合は47pは当たるし36pも当たるケースは簡単に作れる。

いやむしろ、最近の戦術では1pはツモ切りせずに空切りして、47pを引き出すのが上級者のセオリーとなりつつある。

ただ、空切りがわかれば、メンツ構成がわかるので ②通せる牌が増えるver2 と ③打点が読める は使える。
しかし、相手が理論的な打ち手なら、自分が不利になる空切りを使ってくることは無いとも言える。(ツモ切る)


・まとめ

一通り効用と条件を挙げてきたが、最後の方は頭が痛くなってこないだろうか。

これだけの条件が揃いきらないと、スライド読みは全く使えない。
また、スライド読みがわかっても、それが選択に反映される機会はほとんどないのだ。

たまにスライドだってわかると嬉しくなる。
わかる頻度はそこそこある。

うお!条件満たした!相手は絶対234を持ってる!234を持ってる!
うっひょおおおお!あなた234持ってまーす!知ってまーす!

…で?
で終わることが大半なのだw

だから私はスライド読みは自己満足、と結論付けた。

じゃあ今後スライド読みを放棄すべきなのか?

いや、私は今後とも、スライド読みを駆使していく。

大半は自己満足に終わろうとも、徒労に終わろうとも、稀に使えるその瞬間のために、相手の河を注視していくのだ。1㍉でも役に立ちそうなことは積み上げていきたい。

そもそも私にとっての麻雀は、少しでも強くなりたい、という自己満足そのものだ。
髪の毛のような微差を埋めていく。
それくらいしか打ち手にできることはないのだ。

スライド読みを身に付けたいと思った方は、条件と効用、そして例外をしっかり把握し、ほとんど使う機会がなく成績向上にはあまり役に立たないことを踏まえた上で学んでいくとよいだろう。

目指そう、最高級の自己満足を!

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