「この一点は大きいよ」の意味するところ
先日、ドイツ語の和訳問題をやってて
という文の、Der wichtigste Grund を日本語にしようとして詰まった。以下は心内文
(「その最も重要な原因は」と訳してしまうとどうもぎこちない。「原因」が「重要」って、原因そのものが「大事」みたいなニュアンスになってしまう。「原因」って大事にするものじゃないだろ。むしろ追及したり発見したりするものだし、諸悪の根源的な感じだしな。じゃあ「その最も重大な原因」とするか。でも「最も重大」って語感としては変だ。意味が空回りしてる。「一番重大な」とかにすればいいのか…)
と完全に沼にはまったので、おとなしく解答を見た。
なるほど、「最大の理由」か。しっくりくる。「重要」という言葉がないのに、その意味がちゃんと言葉に宿ってる。でもなぜ「最大の」という言葉で重要という意味合いが出せるのか。
考えていくと、文脈によっては「大きい」という言葉に「重要である」という意味があるなと気づいた。「この一点は大きい」とスポーツ中継とかで聞くたびに「まるで点数にサイズがあるみたいな言い方だな」と思ったことがあるが、これはつまり「この一点が勝敗を左右するくらい重要なもの」という意味だったわけだ。
気になったので手持ちの辞書で「大きい」にこの意味がないか調べてみた。
引き比べてみると、「大辞泉」や「大辞林」のように「重要である」「価値がある」という意味で載せているものもあれば、「明鏡」や「新明解」のように「程度がはなはだしくて無視できない」という影響力の大きさという尺度で意味を規定しているものもあった。この意味での「大きい」をどこに分類するかは辞書によっても異なるが、「明鏡」や「新明解」の語釈は「この一点は大きい」には当てはまらないと考える人もいるかもしれない。
完全にドイツ語の勉強を放り出してしまったが、やはり辞書の横断はためになる。
ちなみにドイツ語の問題の元ネタはこちら。
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