落語のススメ 〜寄席にいこう〜
前に書いたノートで触れました、落語についてのお話の続きです。
とにかく落語が好きと語ったはいいものの、肝心なことを述べ忘れました。
「落語って、どこでどうやってきけばいいの?」という点です。
落語をきく方法
一番簡単なのは、家で適当な動画サイトを開き、「落語」と検索すること。
名人の落語の音源、運がいいと映像つきのものが結構でてきます。(ただ、非合法に無断でアップされているものも多いので、微妙なところではあります)
次に簡単なのは、CDを借りに行くこと。
TSUTAYAなどのレンタルショップへ行くと、たいてい音楽コーナーのスミにひっそりと落語コーナーがあります。バリエーションは店舗次第ですが、名人と呼ばれる師匠方の有名な落語なら1つや2つはあるかと思います。
ですが、一番いいのは、生で観に行って、直接きくこと。
これに尽きると思います。
「耳できく芸なんだから、別に音源だけでもいいんじゃないの」という方がいらっしゃいましたら、それは誤解です。落語には「所作」があります。噺家(落語家)は、手ぬぐいと扇子という2つの道具だけで色んな仕草をします。
また、ただ物語を語るというわけではなく、「交互に別の人が話す様子を一人で演じ分ける」のが落語なので、ナマで見ればその表情の変化も楽しめますし、耳だけできくよりは、話の流れや登場人物も理解しやすくなります。
落語をききに行こう!
落語をきける場所は、意外とたくさんあります。
地方ならば公民館のような大きめのホールで開かれる会、都心に住んでいる方ならば浅草や新宿などにある寄席、最近は落語をきけるカフェなんかも増えているようです。
また、「落語を初めてきく人のための落語会」というコンセプトで作られた会もあり、これは本当にオススメです。ご興味のある方は是非、渋谷らくごをご覧ください。ほどよい長さ(2時間程度)で、ほどよく古典と新作を楽しめる、素敵な落語会です。
と、色々と場所はあるのですが、私はやっぱり、寄席を推します。
寄席は、有名なところだと「新宿末廣亭」「浅草演芸ホール」、ちょっとコアな人が集まりがちな「池袋演芸場」、他にも「上野鈴本演芸場」「横浜にぎわい座」「両国寄席」などがあります。
場所や出演者によって変わることもありますが、だいたいは、
・入場料は大人2500〜3000円前後(学生や子供はさらに安い)
・12時開演から16時30分までの昼席、15時開演から21時までの夜席がある
・「昼夜入れ替え」がなければ、12時から21時までずっといられる
・途中入場、途中退場も可能(ただし一旦出るとチケットは買い直し)
といった感じになっています。
つまり、3000円払えば9時間好きにボーッと楽しんでいられるのです。
ただし、寄席の椅子はそこまで柔らかくないので、正直、お尻と腰がもちません。また、どんなに落語が好きでも、9時間ぶっ続けで落語をきくというのは、なかなかの苦行だと思います。(私は正直むりです・・・)
寄席って、おもしろい
途中からネガティブキャンペーンみたいになりましたが、それでも私は寄席が好きです。その理由は色々ですが、あえて絞るならば、
・いろんな演者さんの芸が見られる
・お客さんがおもしろい
・落語をきいているという空気感が良い
の3点でしょうか。
12時から16時30分、17時から21時、それぞれ大体4時間の間に、20人程度の噺家・芸人さんが入れ代わり立ち代わり出てきます。
落語だけではなく、色物(いろもの)と呼ばれる、マジックや紙切り芸、漫談、コントも見られるうえに、ひとりの持ち時間が約15分ほどなので、決して退屈することはありません。
こんなにいろんな芸を見られる場所は、寄席くらいのもんじゃないかと思います。
そして、おもしろいのは舞台の上の噺家さん、芸人さんだけじゃない。
寄席には本当にいろんなお客さんがきます。
若い綺麗な浴衣のお姉さんもいれば、ビールを飲みながらゲソをつまんでいるおじさんもいる。熱心に落語の題名をメモする難しい顔したお兄さんもいれば、最前列で高い声で笑いすぎて噺家にツッコまれるおばさんもいる。
途中で疲れて眠っちゃう人も、もくもくとお弁当を食べている人もいます。
(寄席は基本的に飲食OKです。過度でなければアルコールもOK!)
時々、舞台上の噺家よりインパクトのある笑い声のおばさまなんかがいると、寄席の空気はガラッと変わります。芸人さんがそのおばさまを中心にいじったり、噺家さんが笑い声で落語のテンポを崩されたり、ちょっとしたハプニングもあって、リアルタイムで観る面白さをつくづく感じます。
老若男女がごっちゃりと椅子に座って、ワイワイガヤガヤしている。化粧ばっちりのお姉さんも、家着みたいな格好のおじさんも、みんな落語をききに、この場所にきている。
あの空気感が、私はたまらなく好きです。あれは、寄席に来ないと味わえないものだと思います。
CDやDVDじゃわからない、ナマの落語の空気がそこにはあります。
もちろん、噺家と客の相性が合わなくてウケない空気が続いたり、あまりにマナーのひどい客がいたりすると、「あーあ、今日ははずれだったな」と思うこともあります。
ですが、それでも寄席に通ってしまうのは、自身が客として参加して、ナマで観ることの楽しさがあるからだと思います。
さいごに
いかがでしょうか、少しでも興味を抱いていただけたなら嬉しいのですが。
寄席に行くなら、はじめは新宿末広亭や浅草演芸ホールをオススメします。
どちらも「いかにも寄席!」という感じの佇まいで、なかなか味があります。
また、前もってネットで「誰が出るのか」を確認して、気になる名前があったら観に行く、という形がベストだと思われます。
正直、何の目当てもなく、落語の知識もなく、はじめて寄席に行くのは、結構ハードルが高いです。
まずは、有名どころ(例えば笑点の出演者とか)、自分の知っている名前があるときに行くと、「とりあえずこの人が出て来るまでは見ていくか」という感じで楽しめると思います。
(ただし、有名人が出る回はそれなりに混雑しますので、少し早めに行くことをおすすめします)
マナーは映画館とだいたい同じです。というより映画館よりゆるいくらいですね。途中入場、途中退場はオッケーですし、飲食物の持ち込みも大丈夫です。
ただし、あまりガサガサ音をたてたり、演者の行為を妨げるようなことはやめましょう。入退場は、演者が切り替わるタイミングで行うのが、他のお客さんの邪魔にならないのでベストです。
色々と書きましたが、まずは行ってみてご自身で判断していただくのが一番です。
私は寄席が大好きですが、ホール会場の方がチケット前もって取れるから好き、とか、家でのんびり音源きくほうが好き、という方ももちろんいらっしゃると思います。
もしご興味を抱かれたのであれば、いろんな形で、落語にふれてみてください。きっと新しい世界が広がります。
ではでは。
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