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10年越しにハリーポッターを読む -壁編-

以前、「全てのエンターテイメントを心の底から楽しめるか?」という議題で記事を書きました。

結論としましては、「言葉、時代、慣習」・・・これらが、”エンターテイメント”を楽しむうえで、大きな壁になっている、と私は結論づけました。

シェイクスピアって有名だけど、読んでも面白さがわからない。
それは、シェイクスピアの時代の背景を知らないから。

歌舞伎って伝統芸能として高く評価され続けているけれど、よくわからない。
それは、武士の時代の行動の意味や、その価値を知らないから。

で、今回話すのは、小学生の頃に挫折して以来、最近になってやっと、10年越しに読破した『ハリーポッター』シリーズについてです。

まえがきとして

私は『ハリーポッター』シリーズについて、「面白い」と思っています。
読み終えたとき、「読んでよかった」と心の底から感じました。

ですが、若干の”読みづらさ”があることは、否定できませんでした。
正直、何度か、読んでる途中で投げ出しそうになりましたし・・・。

そのへんの文句というか、自分が「ここがこうだったら良かったのになあ」と思った部分について、変なモヤモヤを溜めておくよりは、文章にしてサッパリ流しておこう、という意味でまとめる所存です。

ここから先に書くことは、あくまで個人の感覚であり、『ハリーポッター』シリーズ、並びに関係者の方々を貶すつもりは一切ありません

ただ、ハリーポッターに関する”文句”なんてちっとも見たくないぞ!という方は、読まないことをおすすめします。

大きすぎた言葉の壁 -原著で読ませて-

今回、私は電子書籍で『ハリーポッター』全巻を購入したのですが、ネットでチラホラと、ある噂を目にしていました。

「ハリーポッターの翻訳がひどい」という噂

誤訳・珍訳まとめとして、こんなサイトまで作られちゃうくらい。

で、小学生のときに『炎のゴブレット』まで完読していた私は「そこまでおかしな訳あったっけ?」と疑問を持ち、読み直してみたところ・・・

ありました。めっちゃありました。

挙げ連ねるとキリがないので、ここでは一例にとどめておきます。個人的に一番”ひっかかった”シーン。
とある巻で、ハーマイオニーが叫んだ「マーリンの猿股!」というセリフ

マーリンって誰???
なんで猿股?????

・・・ここ、原著で読むと「Merlin's pants!」になっているそうです。
訳すと「マーリンのパンツ」。ふむ。わけがわからん。

しかし、原著を読んでいる人には、きちんとわかるみたいです。

ハリーポッターの世界においては、"Oh my God!"(なんてこった!)の意味合いで、"Merlin's beard!"(直訳:マーリンの髭)という言葉がよく使われるらしいです。
ハリーポッターのどこにマーリンが出てきたかはわかりませんが、おそらく現実世界でのGodに相当するような大魔法使い、といった感じでしょうか。

というわけで、驚いたときなどに「マーリン!」「マーリンの◯◯!」と言うのが、魔法界における常套句。

しかし、ハーマイオニーは魔法界の出身ではないこと、さらにロンがしょっちゅう下品な言い回しで「マーリンの◯◯!」と改変しているのを聞かされていたせいで、正しく「マーリンの髭」と言わずに「マーリンのパンツ」と言ってしまった・・・という、賢くて真面目なハーマイオニーが、ロンにつられてお茶目なミス(?)をするホッコリシーンだった、というわけです。

・・・わかるかい!!!!!

今までずっと"Merlin's beard!"を「おっどろきー!」だとか「おどろ木ももの木さんしょの木!」とか訳していたのに、突然最終巻で直訳に変えてきたせいで「えっ何!?どういう意味!?」と困惑してしまいました。

インターネットで調べてようやく意味がわかった、「マーリンの猿股」。

・・・英語勉強して、原著で読みたいなあ、と思った瞬間でした。


あふれる登場人物 -こいつ誰だっけ-

私が小学生の頃に『ハリーポッター』を読破するのを諦めた理由。
それは「登場人物が多すぎる」ことです。

いや、仕方ないとはわかっています。
『ハリーポッター』はそもそも学校が舞台ですし、そりゃ同級生もたくさんいます。先生だって色々います。さらには魔法省の役人、ヴォルデモートの部下たちもいるし、街にもたくさん人が住んでいるし。

ハリーポッターの世界観をつくるうえで、どんなモブキャラであってもきちんと名前があるのは、すごいことだと思いますし、大事なことだと思います。ちゃんと全員に名前があるからこそ、リアリティにつながる。

ただ、いかんせん、人数が多すぎる。

せめて巻頭ページとかに登場人物一覧の名前とか、もっと言うと名前だけじゃなくて「魔法省所属」とか「◯◯学の先生」とか「グリフィンドール寮所属、ハリーと同部屋」とか、わかりやすくまとめておいてくれたら非常に助かるんだけどなあ・・・と思いました。

「こいつが裏切り者だったのか!」とか登場人物たちが衝撃を受けていても、読者の自分が「こいつ誰だっけ・・・」状態で話についていけないあの感じ、本当にさみしい。私の記憶力が悪いだけかもしれないけどさみしい。

思春期暴走特急 -ラブストーリーは突然に-

これまた仕方ないことだとは思っているんですが、『ハリーポッター』、少年が青年になる過程を描くので、どうしても入ってくるのが「恋愛要素」

恋愛自体を否定したいわけじゃないんです。むしろ、愛がテーマの物語なんですから、そういうのがあってしかるべき、とも思います。

でも、でも、ちょっとリアルすぎない・・・!?

私が何度か途中で読むのを投げ出しそうになった最大の原因がこれです。

ハリーが恋する描写は4巻あたりからガンガン出て来るんですが、そのお相手のチョウ・チャンという女の子が、もう本当に”THE 女の子”って感じで、読んでいてつらかった。
なんかもう、こっ恥ずかしいし、イライラするし、私は一体何を読んでるんだ!?ラブストーリーか!?と投げそうになった
ハリーも「女の子って、謎まみれだ・・・」と困惑していましたが、私はそれ以上に困惑したよ!!!

なんというか、ティーン・エイジャーがリアルすぎるというか、女の子の行動とかが本当にリアルで、妙にそのへんは読んでいて疲れました。しかもこの恋愛描写が結構、まとめてドン!と出るのではなくて、忘れた頃にチョロッと出したり出さなかったりという感じなので、余計むずむずする。

女の子キャラがイヤというわけではないんです。
私は不思議っ子ちゃんのルーナ・ラブグッドが好きなのですが、彼女は空気を読まないというか、ズバッと本質をついてくるので、読んでいて本当に楽しかったです。ハーマイオニーもサッパリとしているし、ジニーもかっこいいので大好き。

さいごに

とまあ、散々いろいろ書きましたけども、やっぱり『ハリーポッター』は面白かったです。

あとはダンブルドアがまわりくどすぎるとかそのへんも書こうかと思ったのですが、そこはむしろ「まわりくどくすることで正しくハリーを導いた」というのがポイントだろうと思うので、文句をつけるのは違うな、ということでやめました。ダンブルドア先生、深すぎてわからない。

とりあえず、まずは英語で読めるか頑張ってみようかなあ・・・。

エンターテイメントを楽しむためには知識が必要、ということを改めて痛感する。泥水でした。

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