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【春のめざめ/ミュージカル】に、時代が追いついてきたのかもしれない。

2009年に劇団四季で上演されたミュージカル、【春のめざめ】に出演していたメンバー&バンドさんと、リモートで【The Song of Purple Summer】という曲を歌って演奏しました。

私もお声がけいただき、関わらせていただきました
(*^-^*)

とても素敵な編集をしてくださったのは、チェリストの手塚春菜さんです。
よろしければお聞き下さい(*´꒳`*)


少し思い出話…


自分が関わらせていただいた作品は、全部思い入れがあるのですが、この作品は運命的なものを感じるので、少し思い出話を…。


この作品は2006年にブロードウェイで『Spring Awakening』という名前で上演され、その年のトニー賞の『作品賞』をとった作品です。

私はそのころNYに一人で行く機会があり、この作品を観て、素晴らしさに大号泣しました。


そして忘れもしません。私は客席の上手側の5列目ぐらいの席でした。
最後にキャストが客席に向かって歌いかける【The Song of Purple Summer】という曲で、自分の目の前にいたイルゼというキャラクターが、一人で大号泣しているアジア人が面白かったのか、「ニヤリ」と不敵に笑ってずっと歌いかけてくれたんです。

その2年後に、自分がイルゼを演じさせてもらえるなんてその時は全く思いませんでした。


そして、とにかく自分が【The Song of Purple Summer】を歌うときは、運命の不思議を噛みしめながら、お客様一人一人に語り掛けることを意識していました。



【春のめざめ】は超センセーショナルな作品


【春のめざめ】は14歳の少年・少女が主人公。
『子供でも大人でもない存在』である彼らの、「どうして大人達は本当のことを教えてくれないのか」「どうして理不尽な事をするのか」という怒りや「性のめざめ」の葛藤や混乱が描かれていています。

この作品がブロードウェイで作られたきっかけは、アメリカの若者による『銃乱射事件』だったそうです。

「若者の心が悲鳴を上げている」という事に危機を感じた演出家達が祈りをもって作った作品で、特に若い世代から「これは自分達の物語だ!」と強い支持を受けたのだそうです。



ストーリーは、

・ヒロインが、主人公の子供を身ごもる ⇒ 闇医者の堕胎手術が失敗し、ヒロイン死亡。

・主人公の友人は、親に自分の事を理解してもらいたいのにそれがかなわず絶望 ⇒  拳銃で自殺。

・親に虐待(性的虐待も含む)を受けている女の子が2人も登場 ⇒ この作品内では特に救いの描写は描かれない。

など、とんでもなく重いエピソードのオンパレード!(どんなミュージカル!?)

その内容を、演出の力で素晴らしいエンターテイメントとしてまとめていますが(本当に素晴らしいんです!)その表現の生々しさ故、劇団四季で上演されていた時は【PG-12】の指定がかけられていました。




もし今の時代に上演されたら、日本の若者たちはどう感じるのだろう?


初演の2009年から、11年。
今の若者は、「大人しくて人とぶつかることをしない」なんて言われたり、「恋愛に興味がない子が多い」なんて言われたりもするけど、本当の所はどうなんでしょう?

今の若者達だってきっと、思春期のもやもやした思いを、心の奥底で静かな青い炎として燃やしているんじゃないでしょうか?

11年経った今、日本でも虐待の問題が大きく取り上げられるようになり、先日は15歳の少年の拳銃による自殺などもありました。
コロナの影響で、望まない妊娠をする10代の若者のニュースもありました。

またLGBTQなど、性のアイデンティティの多様性の話も、日本でも常識的にされるようになっています。

当時の日本では、『センセーショナルなフィクション』として捉えた方が多かったかもしれないこの作品に、時代が追いついてきたのかもしれません

時代が追いついてきた事は良いことだけじゃ無いけれど、でもこの素晴らしい作品を、若い世代のパフォーマーが今の若者達へ向けて上演したら、

「誰にも言えなかった気持ちを代弁してくれた!」

と、癒される人がたくさんいるんじゃないかな…?
リモートワークに関わりながら、そんなことを思ったのです。


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