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24/3/28 陰の光

明大前駅で井の頭線に乗り換える。先週の日曜日のマルシェで隣の隣のブースだった方に遭遇する。もちろんお互いに驚く。今思い返してこういう驚きのときの顔って素敵だなと思う。僕も素敵な顔をしていただろうか。
その後僕のnoteを読んでくれたようで嬉しい。その人はこれから下北沢に行くらしく、僕は渋谷に行く。Puma Blueのライブに行く。さらに驚いたのだけど、どうやらその人の恋人もPuma Blueのライブに行くみたいだ。
下北沢駅で扉が開く。お互い楽しんでと別れの言葉と笑顔を交わし、電車は動き出し、渋谷へ向かう。

ライブは友達3人と行く。一人とは岡本太郎の前で待ち合わせをし、一人はTSUTAYAの入り口辺りで待ち合わせをする。

整理番号がいい番号だったので、今日はいつもより薄手で来た。寒いような気もするけど、そこまで気にならない。

WWW X入り口の階段を何階分か登って、ロビーに入り整理番号が呼ばれるのを待つ。整理番号が呼ばれた後は、今度は階段を降り、ドリンクカウンターを通り過ぎようとする。喉が渇くかもしれないので、お茶を頼む。できることならペットボトルで欲しかった。

ずっと楽しみに待っていたアーティストの開演前というのは、とても時間が長く感じる。それこそPuma Blueはここ数年僕が特に好きなアーティストの一人で、ずっと来てくれるの待っていた。その数年よりも、開場から開演までの時間の方が長く感じる。過ぎてしまった今ではそんなことはないと思うのだけど。

サポートアクトが終わり、いよいよ、もうすぐ会うことができる。時間はより引き延ばされているように感じた。定刻の時間を10分を過ぎてもこないので不安になるが、ステージ脇の階段から人影が見えた。ステージにPuma BlueことJacob Allenが現れた。

とても美しい人だった。どの仕草、どの角度、どの部分を見ても美しい。こんな人が本当にいるのかと思った。
艶やかで、美しい。少しだけ動画を撮ったが、それ以外は撮りたいと気持ちに抗いたくなった。何か今このときに漂っているものを捉えてしまうのはもったいような気がする。捕まえてしまってはいけないような気がする。マナーやモラルの話ではない。もう記憶も記録も辞めて、今ここで音楽になりたい。ときに体を揺らしながら、しっとりと、艶やかさと陰に揺れながら。

アンコール前、しゃがんでチューニングをするときの横顔だけ写真に撮りたくなったけど、それも辞めておいた。たった一つの出来事。心も時間も奪われた。陰に光があるならこんな感じだろうか。いや、これこそが陰の光なのだろう。

この出来事をライブという言葉にするのも、違和感がある。この出来事は何かということにしよう。空間であり、時間であり、出来事である何か。願わくば、その何かをまた体験したい。その何かになりたい。

外に出たら雨が降っていた。渋谷の雑踏は容赦なく余韻を飲み込もうとする。何かはまだ残っている。徐々に私から何かは離れているけど、この後もずっと残るだろう。
友達と一緒に井の頭線に乗る。各駅停車、それも富士見台行きのに乗ってしまったので、いつもより時間がかかる。いつもより長い帰り道。雨は強くなっていた。寝る前、雨の音。雨の音を聴きながら眠る。

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