ミライアカリがここから這い上がるためには

2017年末、突如としてバーチャルYouTuberブームが巻き起こりました。そのブーム当時に活動していた初期VTuberは今でも特別な扱いを受ける事もあり、メディアにも多く露出しています。その中でも特にブームが起こる以前から活動していたバーチャルYouTuber四天王の"5人"はVTuber界隈でも特別な存在です。

 その5人のうちの1人であるミライアカリ。キズナアイ、電脳少女シロに続きデビューした女性VTuberです。2017年末の年越し生放送では3万人を超える人を集め、年末年始のYouTube生放送ランキングでトップ。投げ銭も180万円を超えていたそうです。年末年始の大ブーム時ではキズナアイや電脳少女シロを超えトップの人気を誇っていたと言っても過言ではありません。

 そんな彼女は現在、VTuberブームが落ち着いた事やその他生放送特化型のVTuberなどに視聴者を奪われた影響からか、視聴者数は1300人程度まで落ち込み、投げ銭もピーク時の10分の1以下です。キズナアイや電脳少女シロなど初期VTuberもブーム時と比べると視聴者数が減った事に変わりはないですが、ミライアカリほど落ちた事はなく一定のファンは変わらずついている状態です。

 平たくいえば、ミライアカリはVTuberブームの象徴的な存在でしかなかった、もしくは、そのブーム時の象徴的存在から脱却できずにいる、と言ったほうがいいかもしれません。VTuberブームが終わったといってもその後も地道に活動を続けVTuber四天王を超える人気を獲得したVTuberもいれば、ゲーム実況特化型でニコニコ生放送を見ていた層を引っ張り込むなどしてブームが終わったあともVTuberを一つのジャンルとして形成していった後発組たちが今では主流になりつつあります。

 ミライアカリは何がいけなかったのか?どうして視聴者を手放してしまったのか?その解答を一言ではなかなか言い表すことはできませんが、簡単に言うと「成長」ではなく「変化」してしまったのが原因かと思います。

 ミライアカリがデビューしたての頃に評価されていた部分は、VTuber界隈では見られなかった下ネタを振ってもある程度は大丈夫であるという事と、前のめりでメンタルが強い部分だったように思います。キズナアイや電脳処女シロに見られなかった今どきの活発な女の子らしい部分というのが彼女の特徴で、それが妙に生々しくキャラクターでもあるという、VTuberを表現する際に用いられる「2.5次元」を素で演じられる部分が彼女の良いところだったのです。

 ブームが過渡期に入った頃、雑草を食べた話を平気でする月ノ美兎や、中身も声もおじさんなのにキャラクターは可愛い女の子というねこますなど、個性がやたら強いVTuberがどんどん注目を浴びるようになりました。VTuberとして活動するなら個性がなければ注目されない――そんな風にミライアカリ自身は捉えたのかもしれません。いつしか彼女の武器は活動初期に見られていた部分は消え失せ「下ネタ」「芸人要素」が武器になっていきました。

 VTuber四天王に限っては活動初期や2017年末のブーム時から応援しているファンが基本的に大半を占めています。ミライアカリはおそらく新たに入ってきたファンを獲得するための動きだったんだろうと思います。ただその動きは付け焼き刃でしかありませんでした。VTuberとして新たにデビューしはじめた人たちが持っているのは確かに強い個性ではありますが「素」でしかないのです。応援する人たちもそういう個性の強いVTuberの「素」を見に来ているに過ぎません。なのにミライアカリは「素ではない」部分を作り売りにしようとしたわけです。それが大きく衰退する動きにつながったのだと思います。

 彼女にも評価すべきことはたくさんあります。活動初期にあった前のめりな姿勢、人見知りをしない性格の良さ、器量の良さ、ベテランに対する社会人としての振る舞いなど、VTuber界隈では珍しい「正しい一般人」な部分を彼女はたくさん持っています。彼女の武器は間違いなくコレなのです。

 ただ、それを今からVTuber界隈でアピールしていくにしても遅すぎます。見限ったファンたちが帰ってこなければ復活はあり得ません。そしてその復活は二度とないでしょう。ミライアカリにも運営にも落胆しきっているのです。

 なので、落胆していない人たちを獲得するしかないと僕は考えます。それはどういう人たちか?仕事をいただく会社です。ファンと向き合うよりも会社など案件を中心に活動していくのがベストだと思います。これはVTuber事業がどう動いているか定かではないので雑な意見かもしれませんが、ひとつひとつ頂いた案件を丁寧にこなしミライアカリを会社に売り込んでいく事が成功するための唯一の道だと思っています。

 僕が最近見た限りでは案件もロクにできず予習もせずスベり倒す姿しか見かける事がないのですが、今から挽回していくにはこれらを完璧にこなすことが重要だと思います。そのためにも現在のような「下ネタキャラ」や「芸人キャラ」は封印し、女性VTuberタレントとして活動していけるようにがんばっていくのが良いのではないでしょうか。

 そろそろまとめに入ります。少しきつい事を言ったかもしれません。ただこれは僕が初めて見たVTuberも初めてファンになったVTuberもミライアカリだからなのです。現在は今の姿が目も当てられずファンを半分やめた状態ではありますが、VTuber四天王の名に恥じないようなVTuberに戻ってもらう事を強く望んでいます。

 この記事はこれにて終了です。最後まで読んでいただいた方、どうもありがとうございました。

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