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詩「置き土産」





春一番が吹き荒れ
ようやく静寂が訪れようとする午後
読みかけの本をそのままに
うたた寝をしている窓辺を
トントンと叩く音がした

顔を上げて見ても誰もいない
風の悪戯だろうか
ただ木漏れ日が映し出す
光と影がベランダで揺れている

窓を開けると
梅の花びらがひとひら
そしてまたひとひら
舞い込んできた

きっと春の嵐の名残の風が
お騒がせしましたとばかり
挨拶に来たのだろう
春の香りを置き土産に

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