写真詩「廃屋」
崩れてゆく物の美とでも言うのだろうか
そんなイメージに魅せられて
廃屋の写真を撮り歩いている
いつか写真に収めた一軒の廃屋が
知らぬ間に壊され
空き地になっていた
庭を彩っていた花だけが
今も名残り惜しそうに咲いている
時はすべてを過去に向けて押し流してゆく
かつてそこにあった団欒も
語られた夢も
漏れ聞こえた笑い声さえも
あたかも幻であったかのように
非情なまでに出際よく
そんな過ぎゆく時に抗うように
僕はまたシャッターを押す
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